イマワノキワ

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黄昏アウトフォーカス:第11話『進路』感想ツイートまとめ

 黄昏アウトフォーカス 第11話を見る。

 三者三様の恋模様を描き切り、個別ルートが終わった後でのグランドエンディング…その序章という手触りのある、最終話一つ前である。
 それぞれのハッピーエンドを引き継ぐように、メチャクチャイチャイチャしまくる恋人たちの姿に頬も緩むが、最後に小さな一波乱、思わぬバズとすれ違う心…といった塩梅。
 最初の物語として、作品が持っているロマンティックで前向きな青春と恋への視線を、僕に教えてくれた張本人なので、真央と寿が最後のバトンを受け取ってフィナーレを走るのは、いい感じの納得があった。
 最後は君たちがやるのが、多分一番いい。

 前半は恋人たちがたどり着いた場所を軽やかにスケッチしていく感じで、皆メチャクチャラブラブで素晴らしかった。
 やっぱあんだけ濃厚に心と体が重なる様子を描いたのだから、恋を成就させた後の日々はダダ甘ハッピーでいてほしくて、そういう視聴者の願いをちゃんと叶えてくれる描写があると、なかなかに嬉しい。

 あんだけ他人を蔑ろにするビッチとして自分の物語を始めた詩音が、どっかの誰かの幸せを祈れるところまでたどり着いていたのが、一番良かったかな…。
 やっぱそういう、恋を通じての内面的成長を大事にしてくれる話であり続けてくれたのが、僕がこの作品を好きになる足場になってくれた感じだ。

 

 後半戦は真央がモノローグ担当者となって、寿とのこれまでとこれからを想う感じの展開。
 やっぱこのお話の独白は凄く濃厚で、少年たちの心が何に弾み何に揺らぐのかを、過剰なまでの内心吐露で埋め尽くす作りに、独自の味わいが宿る。
 それは僕の理解だと極めて少女漫画的で、そういう仕草を異性たる”ボーイズ”に託しているネジレが、なかなかに興味深い。
 モノローグの外側にあって、計り知れない誰かの気持ちを常に推し量り、あるいは自分自身の不鮮明な気持ちの行方を、己と対話するように言葉に紡ぐ内言。

 たっぷりと溢れるこれらの言葉は、ダイレクトに恋人に投げかけられるのではなく、研ぎ澄まされた短さにまとまり、甘やかな愛の告白として、あるいは自分を解ってくれない相手への糾弾として、心の内側から放たれる。
 他者と共有される言葉がどんだけの威力を秘めているのか…逡巡と困惑の果てに飛び出す重たいものなのかを、視聴者に示し共有するように、饒舌に積み上がっていく真央の気持ち。
 その過剰で繊細な手触りは、少年を実在の男から遊離させ、現実と夢を重ね合わせたファンタジーの住人へと羽化させていく。
 生身の男が言わない…あるいは思っていても口に出さない、出さないからこそ”男”でいられる過剰な内面を、言葉にしなければ作品が成立しない、奇妙で甘いネジレ。
 それはやっぱり、このお話の特色と感じられる。

 進路のこと、恋人のこと。
 真央は色んなことにナイーブに(現在では不適切となった表現を、不適格に使えば”女々しく”)思い悩み、内言を積み上げる。
 しかしそのモノローグは現実の微かなすれ違いを埋める役には立たず、結局適切に言葉になったもの、言葉になりきれず口づけで伝えるしかないものだけが、結局は解りあえない他人同士を繋げていく。
 とめどなく溢れてくる己の内側(モノローグ)が、どうやって誰かに繋がる言葉(ダイアログ)になり、言葉を超えた重なり合いに愛を確かめる関係を築いていくのか。
 それをそれぞれのキャラクター、それぞれの恋人たちなりのやり方で探ってきた物語も、残り一話だ。

 最後に真央と寿が…この物語を駆け抜けた少年たちが、どんなふうにお互いを愛するのかを改めて描く契機が、思わぬバズによって学校の”外”と繋がったことなのが、このアニメらしいな、と思う。
 裸で抱き合うことをお互いに許すような、緊密で閉じた関係に結び付けられながら、少年たちは映画部の外側、自分たちの外側に、常に開けてもいる。
 そこで生まれる風が何かを生み出し、それに翻弄されて自分を見失わないための特別な楔として、少年たちは恋人の体温を必要としている。
 この内側と外側、閉鎖と開放のバランスが僕はやっぱり好きで、最後にそれを確かめて幕を引いていくのは嬉しい。

 どぉぉぉっせ見てて砂糖吐くほどにラブラブな二人、微かな波風が立ったとしてもむしろそれをきっかけに、自分たちを繋ぐ縁の深さを確かめるだけなのは、見なくても解っている。
 でもやっぱり、このお話がずっと見守り描いてきたものが揺るがぬ真実なのだと、改めて削り出して終わってくれたほうが、気分は良いし美しいし、何より嬉しい。
 少年たちの揺れる青春の、瑞々しい感触を最後まで確かめながら見終わることが出来そうで、最終話もとても楽しみです!