あのときの出会いから始まった物語が、たどり着いた答えは。
Liella! の核弾頭・唐可可の秘めたる思いが故郷に炸裂する、スパスタ三期第6話である。
大変良かった。
第4話におけるナッツもそうなんだが、ニ期までで「コイツどうなの~?」と思う部分もあったキャラが、三期でメイン貰うと一気にエモーションの極限までぶち抜いて好きになっちゃう現象、喜んで良いのか怒って良いのか、正直分かんねぇ…。
「出来るんだったら早くやっておいてよ!」という気持ちと、「それでもこの子の本当教えてくれて、ありがとう!」という気持ちが、混じり合わないまま共鳴して揺さぶられる。
三期始まってからずっとそんな感じよ。
ともあれ上海決戦後半戦、今まで匂わされつつ深堀りされてこなかったクゥクゥの家庭環境や過去、未来への思いにググッと踏み込み、仲間たちの後押し、”最初の二人”であるクーカーの絆を爆裂させて、非常に心揺さぶられる物語が展開された。
ステージに至るまでの流れは正直強引な部分もあるが、んじゃああそこでかのんちゃんが思いのままに駆け出さず、11人のLiella! が見れねーで満足していたかと問われれば、道理をねじ伏せてエモで殴りつけてくるラブライブ式決闘法、大正解だったと言わざるを得ない。
まさかまさかのラスマス・フェイバー作曲・編曲が、異常に脳髄に刺さるんだよな”絶対的LOVER”…。
一見家族の問題のように見えて、唐家の人たちはみーんなクゥクゥちゃんのことが本当に大好きで、娘が選び取った未来なら全部祝福してあげたくて、問題は全てクゥクゥの心の中にある。
ここら辺はぶっちゃけ後付の方向転換だとは思うのだが、家族思いの優等生な素を、憧れの華やかな制服に包んで、日本で期限付きの”スクールアイドルごっこ”に興じてきた子が、自分自身がかのんの人生を変えた「好きなことを頑張るのに、おしまいなんてあるの?」という言葉に背中を押されて、心の底から望む未来へと進み出すまでの葛藤を、落ち着いた詩情が良く語っていた。
今までのハッチャケパンダ小娘っぷりは、ある種のロールプレイというか…。
同時にここまでの情熱一本大暴走っぷりは、期限付きだろうが嘘っぱちだろうが”なりたい自分”を必死に追いかけたからこそエンジンかかってた疾走ではあり、そんな(僕らがよく知る)クゥクゥらしさをかのん達から手渡され直して、本気の虚像をこそこれからの未来に変えていこうと決めたステージは、アイドルの物語としてかなり良かった。
今回は一回スクールアイドルの”てっぺん”踏んでるかのんちゃんの舞台度胸とか、ファンを前にしたLiella! が今どういう空気の中にいるのかとか、デカい舞台だからこそ描けるアイドルっぷりが冴えてて、そこも素晴らしかったな。
コール&レスポンスの中に愛を語る”絶対的LOVER”自体が、ドルヲタだからこそアイドルになったクゥクゥが、アイドルに憧れ異郷に飛び出した過去の自分を抱きしめ、今目の前にあるファンと仲間に向き合う曲でもあったと思う。
観客席の中にかつての自分を見たクゥクゥは、あのときのサニパさんのように大きなヴィジョンの中、将来と家族愛に悩む等身大の自分ではなく、もっと大きくて華やかな幻になった。
それは明るい嘘っぱちでしかなく、でもその虚像に何が出来るのか、Liella! を三年続けたクゥクゥは良く知っているし、形にもしている。
あの美しい幻想はクゥクゥ自身の到達点であり、Liella! と彼女たちが頂点に立つスクールアイドルそのものの、最も美しい明滅に照らされていたと思う。
そういう美しい夢が、三期折り返しに描けたのは凄く良かったし、これまでLiella! のエンジンになってきた元気小娘の高いスペックが何処から来たのか、確かめられるエピソードでもあった。
Liella! 二大道化の両方が、ピエロなりの悲しみとプライド、夢と涙を背負ってスクールアイドルやってたと描かれたことで、キラキラ輝く青春絵巻を走り切るのに必要な”苦み”が、三期に足された感じもあんだよなぁ…。
俺は元気な笑顔の仮面の奥、涙を抱きしめ疾走る道化がいっとう好きだから、こういう話があるのは嬉しい。




というわけで今回は、前回観光客たるLiella! の視線で描かれた上海を、クゥクゥの視線で描き直すエピソードでもある。
ラブライブ的都市論、ある種の到達点ともいえる複雑さで描かれる上海は、クゥクゥにとっては日常を過ごし家族に縛られる故郷であり、先週よりもリアルで落ち着いた色合いで、街は描かれる。
その地に足がついた現実味は、ここでライブをやるのだと見定め、汗を流すLiella! の身体にも追いついてくる。
観光地ではなく”練習場所”になった上海は、それでも広々と美しく、歴史と華やぎを宿した街だ。
明暗が濃い現実の中で、クゥクゥはSunny Passionという幻影に出会い、運命に魅了される。
この幻を追いかけて原宿へやって来て、スクールアイドルという夢をたった一人誰かに手渡していた時、それを掴んでくれた人。
唐可可にとって澁谷かのんという女が、どんだけデカいのかを改めて、過去の方角から照らし直すエピソードだといえる。
三期、マジで神話再生(クーカー・リヴァイヴァル)に本気すぎて、ずっとそこにこそ魂の足場を置いてたオタクとしてはありがたい限り。
華やかな幻に惹かれ、一瞬限りの夢と諦めようとして、自分が運命を動かした女とその女に動かされた自分に、嘘をつけず”今”を歌いきった夜。
クゥクゥの愛する故郷は最高の華やかさで輝き、少女が選び取った夢幻が諦めるべき嘘ではないことを、己の存在でもって示してくれる。
11人のLiella!が、そのセンターに立つクゥクゥが、パフォーマンスでもって示した愛に、美しい上海の夜景自体が答えてくれる情景それ自体が、夢の答えと選んだ”絶対的LOVER”に語られる愛のコール&レスポンスそのものであるのは、大変良い。
俺は表現者がその身を捧げたパフォーマンスが、舞台を超えて世界全部に広がり、その存在を嘘じゃないと肯定してくれるような話が大好きなので、上海全体をステージにして二話分描かれたこのエピソード、大変好きだな…。




最終的に自分が何処に立つのか、その実存を掴み取るまで、クゥクゥは鏡像の中で淡く揺らめいている。
過去を知る前なら「脳髄ブチギレ女の儚さにときめくなんて…騙されるな俺ッ!」と自分の顔面殴ってたところだが、過去の優等生っぷりを見るだに鏡の中のクゥクゥこそが”素”であり、アイツはもともと儚い子だったのだ。
フフフ…識者ぶっておきながら、唐可可のコトなんも知らねぇの!
俺ってバカみてぇ! と叫ぶには、やっぱ後出し凄すぎてオレなんも悪くないでしょ感がかなりあるけども、この鏡像を出してくれたおかげで、唐可可に立体感が出たわいな。
父母の求めるままに優等生としてひた走り、スクールアイドルへの憧れをショッピングウィンドウの中に見出し、あるいは期限付きの青春を終わらせる決断をかのんの前で語る。
どのクゥクゥも実像というにはあまりに儚く明滅していて、その危うさが逆に、その全てが実像であると告げても来ている。
クゥクゥの中で家族への愛はこっちの想像より遥かに大きく、それを裏切り飛び出(す行為だと自分の中で思い込んで)スクールアイドルに勤しみ、愛を裏切らないために自分を殺す。
どんな自分が一体本当なのか、クゥクゥ自身わからないからこそ、合わせ鏡の中にその姿は分裂し続ける。
そしてかのんに抱きとめられて、自分の中の真実を強く吠えた時、Liella!のセンター・唐可可の姿はヴィジョンによって拡大され、虚像と実像は重なる。
未来に悩み愛に苦しむ等身大のちっぽけな姿を、かつて自分が憧れ夢に飛び込む原動力になった”アイドル”へと拡大することで、夢と現実は歩調を合わせ、沢山の人がクゥクゥの叫んだ”今”に声援を送る。
そうしてもらえる存在がスクールアイドルなのだと、かのんちゃんは解っていたから上海のファンに呼びかけたし、ステージをやり遂げて実感したからこそ、クゥクゥは家族だけでなくファンにも向けて、己の決断を投げかける。
虚像と実像の重なったこの”今”こそ、私の…私達の本当なのだと。
この虚実が入り混じり一つの未来を指し示す描き方は、期限付きの”部活”の先に永遠を見ようとするスクールアイドルのスケッチとして凄く優れたものであるし、悩めるクゥクゥと支える仲間、輝くアイドルと見つめるファンとの呼応を活き活き炸裂させることで、非常に広く大きなモノが描けていたと感じた。
それは”てっぺん”取ってしまったLiella!の現在地であり、ようやっと11人でのパフォーマンスが見れた満足感にも照らされて、ひどく眩しく幸せな夢であった。
奇跡のような”ほつれ”を飲み込んで、一つのステージを輝かせる偶像特有の眩しさが、良く描かれたエピソードだったと思います。




今回のエピソードにおいて、クゥクゥがなかったことにしようとする真実を萌萌お姉ちゃんはずーっと見つめ続けて、だからこそその視線は噛み合わない。
お姉ちゃんが確信を持って見つめられる、スクールアイドルを続けるクゥクゥの未来は、優等生の心に突き刺さったやましさに屈折させられて、当人には虚像でしか無い。
虚像だから嘘なのかと問われれば、そうじゃないのが難しい所で、それを本当にしたい気持ちもありつつ、そうしてしまえば逃げていくものを複雑な視線で見つめもして、クゥクゥの姿はこれまでにないほどのリアリティをもって、複雑に揺らぐ。
クゥクゥの伏せた視線、物わかりのいい笑顔の奥の影に気づくことのないお姉ちゃんを見ていると、留学前扉越し、背中合わせに顔を見ないときのほうが、心が繋がっていた皮肉も鮮烈になってくる。
ここら辺、お互いの部屋に踏み込めないからこそ本物の思いを通わせ、それを示すために牛久マジカルステージを形にした鬼塚姉妹の関係性がフラッシュバックしてきて、「三期…マジで姉と妹の神話…」という気持ちが強くなる。
姉妹の繋がりに一種神話的なものを幻視している超狂人(スーパーイカレびと)としては、スパスタが”そこ”に力入れてくれていることには、マジで感謝しか無いです。




ここら辺の表象が豊かに揺らめく中、成り行きで付いてきたトマーテはあくまでLiella!の部外者、カンケー無いねと顔を背けると思いきや!
カレーはバクバク食うわ近づいた距離を匂わせるわサイリウム二刀流でよっしゃ行くぞーだわ、やる気満々!
舞台裏で両腕組んで”ライバル”の動向を睨みつけている様子、あまりにも完璧なベジータ系女子過ぎて、どんどんウィーン・マルガレーテが好きになっちまうー!
ホントさぁ…こんなにオモシロかわいい子だったてんなら、ニ期でもっと好きにさせてよ! 二年も嫌いにさせてないでよ!!
四話を経て冬毬も一気のデレを見せるかと思いきや、まぁまぁいい塩梅の”外部”を頑張ってくれていて、ありがたい限りである。
サニパさんを越えて”てっぺん”とっちゃったLiella!が、あと1クールの物語を走るために必要な”外部”を無理くり外側に作り出すのではなく、結ヶ丘の内側に抱え込む奇策は、やられてみるとドンピシャの妙技であった。
ウィーンさんが勝負ガチ勢として吹き上がってくれるおかげで、勝ち負けを通り越した所に行っちゃってる他メンがなんとか、”ラブライブ”に引っ付いてられるのは間違いないからな…。
そこで変な新要素引っ付けて、もう一度蒸し返すと話濁りそうだし、マジ頑張ってくれてるよ…。
一年組がなかなかデレないからこそ、はようデロンデロンに先輩共に甘やかされ素直に愛を爆裂させる瞬間への、期待は高まっている。
いやマジ、俺はずーっと待ってるからね、桜小路後輩が先輩面する瞬間を…。
トマカノーテがLiella!へ合流するまでを、三期を貫通する大きな柱として選んだ以上、彼女たちの可愛げで俺等の脳をチリチリ焼きつつ、全てが決着する運命の瞬間を可能な限り先へ伸ばすのは、一つの大事なミッションである。
未だ来ない約束の時が間違いなどではないのだと、バッチリ先輩とのパフォーマンスも輝かせるトマーテ見て確信させてもらった今回、一年生の物語へのジャンプボードとしても、凄く良かったです。




見慣れぬ中華式制服に身を包んだ、優等生の唐可可。
彼女が”スクールアイドル”に出逢うまでの灰色の影と、とびきりの輝きが新たに描かれて、これまでの大暴走に複雑な陰影が乗っかった。
「なんだよ今更だよ!」と口ではほざきつつも、Liella!の暴走ピエロ担当してくれいた子がホントはどういう気持ちを抱えて、どんな夢と幻を追いかけて突っ走っていたのか、”答え”を出してくれたのは大変嬉しい。
夏美の時もそうだったが、「そうだったら良いなぁ…」と年単位願い続けてきたものが、脳髄をオフィシャルに殴りつけてくる瞬間の衝撃と悦楽…。
中国エリート予備軍が身を置く、学歴地獄のプレッシャーを確かに暗く刻みつつ、だからこそクゥクゥが出会ってしまった光は強く強く、その瞳を焼く。
この衝撃はこれまでLiella!のメンバーとなった皆が、運命的な何かとであった時に目を見開いていたそれであり、別々の思いに身を置きつつ、同じ眩しさに導かれて一つになった運命が、クゥクゥも見逃していなかった事を語っている。
やさぐれた瞳で物語を始めたかのんちゃんに、同じ輝きを取り戻させた女の”始点”が何処にあったか。
ここを描かなきゃクゥクゥの物語も、Liella!の伝説も終わりゃしないわけで、描かなきゃいけないシーンである。




この眩さに目を焼かれたからこそ、一瞬の夢だと諦めなきゃいけないという思い込み(あるいは家族思いの優しさ)がクゥクゥにはあって、姉やすみれにも見せないその明暗を、澁谷かのんだけに夕焼けの中預けていく。
二期第9話では決定機をすみれに譲ったかのんだが、ここはボールを貰う資格は十分、身を乗り出して前のめり、マブダチの重荷を背負おうとカリスマの本懐見せてきて、大変良い。
恥ずかしさも照れ隠しも過去に置き去り、もはや素直な「大好き」を言うべき頃合いにしっかり言うようになってる三年生の姿が、なんとも頼もしい。
ここまで主役として物語リソースをたっぷり貰い(時に貰いすぎ)、己の陰りをしっかり語り切れる立場にあったかのんちゃんは、輝きを前にしてなんの躊躇いもない。
しかしここでようやっと、暗い影や内心を表に出せるタイミングが来た暴走小娘が、背負う影は(極めて適切に)濃い。
周りに認められ、後押しされてこんだけめんどくさく影に囚われる内心の複雑さを、あんま表に出すことなく三期まで走ってきたんだから、クゥクゥも中々難儀なキャラだなぁ…と、今更思う。
しかしそんな鎖の重たさを照らさなければ、唐可可の全てを描き出せないというのなら、徹底的にやり抜く以外に道はないのだ。
そして、三期はそういうコトやる。




思いが炸裂する一瞬前、上海上陸前からず~~~っとクゥクゥの事を見つめ続けてきた女が、笑顔の奥に秘めた陰りに踏み込むッ!
かのんが2年越しのロングパスを活かし、ゴールネットを揺らした愛のスーペルゴラッソが目立つ今回だが、すみれの地味なアシストは大事だと思う。
すみクゥ一本槍が強かったニ期に比べて、育んだ絆を活かしつつ別のキャラにゴールを任せて、クゥクゥが生み出したもの、手に入れたものの横幅をしっかり見せる運びにしてきたのは、大変良かった。
あとこの土壇場で、グソクムシネタを擦らない理性な…。
お姉ちゃんが笑顔の奥の陰りを視れない描写が多いからこそ、かのん以外で一番クゥクゥの顔をしっかり見て、ちゃんと言葉にして思いを伝えに行ったすみれの率直さは、素直に胸にしみる。
やっぱり減らず口も出るけど、さっすがにニ期第9話であんだけのことがあった二人、もはや茶化したり照れたりしていては乗り越えられない一大事が人生にあることを、実感として学んでいる態度を見せる。
ここら辺のどっしりした嘘のなさが、三年生が三年生になったという手応え…三期の面白さとしてかなりガッツリ感じ取ってる部分を改めて見せてくれていて、かなり好きだ。
あるいはそういう立場になってもなお、迷い向き合えないモノと、故郷に戻り家族と再開したクゥクゥは、今向き合ってるという話かもしれない。
ここですみれが真っ直ぐ突き出した思いは、クゥクゥを決定的な場所へと連れて行きはしない。
そこへクゥクゥを進める(あるいは戻す)仕事は今回かのんがやるわけだが、すみれの実直な思いをここで受け取っていなければ、クゥクゥはかのんと影の中で対峙し、自分が動かした運命を受け取り直す事が出来ただろうか?
澁谷かのんという存在、彼女と出会えた唐可可がクローズアップされる回だが、やはりそこで閉じず、Liella! であること、平安名すみれと友達になれた事が、クゥクゥの中で大きな意味を持っていて欲しいと、僕は思う。




そして勝負を決めるのは原宿のカリスマ、Liella! という物語を中国から来た少女とともに始めた女、澁谷かのんである。
闇の中灯るはずもない光を、強い視線と言葉とともに連れて来るかのんちゃんの神々しさもいいが、自分が迷って決断した答えを跳ね除けられて、歪むクゥクゥの顔もいい。
故郷に戻り、持ち前の”いい子”っぷりを取り戻してしまった唐可可が、良かれと選んだ道を澁谷かのんは、幻だとはねのける。
そうする根拠は自分が選んだ道だけではなく、クゥクゥが選ばせてくれた道にこそある。
あの時誰も手に取ってくれないチラシを、必死に手渡す女の子のために立ち戻らなければ、物語は始まらなかった。
諦めようとした夢を、諦めなくて良いのだと叫んでくれる誰かがいなければ、澁谷かのんは今ここにいない。
その自覚が分厚くあればこそ、かのんちゃんはクゥクゥに彼女自身の言葉と思いを手渡す。
そう出来るのは、あの時たった二人で物語を始めた自分たちだけだからだ。
ここに帰還することで、期限付きの青春を諦めようとする物わかりの良さを、エゴイスティックにかのんちゃんが跳ね除け、彼女が知る元気なスクールアイドル狂、Liella!の元気爆弾を取り戻そうとする歩みが、俺はやっぱ好きだ。
他でもない自分が、歌い続けるクゥクゥを見ていたい。
そのエゴイズムに自覚的だからこそ、かのんちゃんは思い悩んでいた未来を「ウィーン行き」にここで絞り、自分自身が夢に向かって身を投げる当事者であり、クゥクゥの同志なのだと示そうとする。
ここでスパーンと、かのんちゃんの進路問題もぶっ飛ばしたの、勢いあるし潔いしでかなり好きなんだよな…。
安全圏の外野に身を置いて、女の心が動くわけがねぇと知ってるからこそ、かのんちゃんは湧き上がるエゴを己に引き受けて、クゥクゥの未来を明るい方へと押し出そうと足掻く。
その時頼りになるのは道理でも理屈でもなく、気持ちと身一つ、なんだよなぁ…。




かくしてセンターの心は決まり、舞台はあるべき形へと加速していく。
思い立ったら一直線、理屈より感情に突き動かされて突っ走るかのん&千砂都の在り方が、日式の制服に身を包んで”スクールアイドル”という夢を演じてきた、爆弾小娘の勢いそのまんまなの、俺すげぇ好きなんだよ。
こういうパワーで押し切るやり口、良くも悪くも”ラブライブ!”ってかんじではあるけど、それを飲ませるだけの強さが確かにあって、それを体現してくれてたからこそ、これまでのクゥクゥが俺は好きでさ。
それをLiella!のど真ん中に立つ二人が、継いでるのが良いんだ。
それにしたって衆人環視のかのちぃ抱擁に爆沸きする上海のオタク、”理解ってる”としか言いようがなくて面白い。
かのんちゃんが親友のために生み出した、最高に沸騰したステージへ嵐部長が抱きついて、11人のLiella! ていう夢が魔都の夜景に実現するの、やっぱアガるぜ…。
あの時見上げるばかりだった輝く偶像に、クゥクゥ自身が今なっている。
そうしてくれる全てがタカラモノで、その思いを伝えたかったらパフォーマンスに託すしか無いことを、”スクールアイドル”になってしまった今のクゥクゥは良く知っている。
アイドルの答えは、いつだって舞台の上にある。
今回そういう話なの、俺すげぇ好きだ。




というわけで学园偶像への愛全てを詰め込んで、上海を愛し上海に愛された少女が今上海に送る”絶対的LOVER”…素晴らしかった。
自分を輝く夢の主役にすることに迷い、選んだクゥクゥをセンターとして輝かせつつ、バキバキにアピール飛ばしまくりコール&レスポンスしまくりの圧倒的パフォーマンスが、Liella!の”今”を雄弁に語る。
「こんだけ訴求力のあるステージをやれてる連中なら、そらー”てっぺん”取ったでしょうよ」というパワーがあるのは、勝負論を遠ざけて展開する三期においてかなり重要だ。
ここでステージの説得力で殴っとかないと、いつ殴るのって話よね。
超突発の舞台ながら、ライバルのステージに上って完璧に”アイドル”してるトマーテの晴れ姿にも心揺さぶられ、いやはや大変良かった。
歌姫路線で孤高にキメてた時より、ポンコツな姿もガムシャラな顔も良く見知った今、マルガレーテちゃんがむっちゃ客と演者の顔見てステージやってる姿は、頼もしくも愛しい。
お前もう理解っちまってんだよ…”スクールアイドル”を…。
それを理解してしまった存在が、輝く幻からもはや目を背けられないことを、クゥクゥの過去と未来、その乱反射の中に実体化する”今”を描いたこのエピソードは、揺るぎなく突きつける。
誰よりも輝く上海小姐姐の姿は、未来のお前だからなウィーン・マルガレーテ!!




最高のステージを、今出せる唯一絶対の”答え”として形にしたクゥクゥは、親思いの良い子として選ぼうとしていた道ではなく、自分自身の憧れを追い続ける未来を、堂々と宣言する。
そうして彼女だけの本当を吠えた時、かつてアイドルに憧れた過去の自分を、観客席に幻視する。
それは三年間だけの嘘で、それをやり遂げれば満足な、一炊の夢。
そうだったはずなのに、気づけば永遠になってしまった。
出会い手に入れたタカラモノが、そうさせてくれた。
この思い出の幻視の先に、追いかける夢の先に、何があるのか。
未来は風のように、何が待ち受けているのか誰も知らぬまま、僕らを待っている。
その只中に進み続ける勇気は、ずっと嘘を身にまとってきた少女の中からは出てこない。
隣に立つ誰かが手を取り、自分が手渡した夢の意味を取り戻させてくれたからこそ、限りのない永遠の夢の中に進む道を、クゥクゥは選べた。
故郷の装いではなく、スクールアイドルのユニフォームたる日式制服を身に包んで、クゥクゥはずっと夢を演じてきた。
その嘘っぱちがあまりに本気だったから、澁谷かのんは彼女の手から夢を受け取って、Liella!が始まった。
そうなってしまった嘘は、もう嘘なんかじゃないのだ。
”アイドル”なるものの虚像と現実、それが複雑に乱反射すればこそう宿る烈光を、実はかなり複雑な内面と過去を持っていたクゥクゥに深く切り込むことで、鮮烈に生み出すエピソードでした。
仲間だからこそ見せられない、憧れだからこそ伝えられない、鏡の奥の影。
クゥクゥの中にそういうモンが確かにあると、俺はずっと見たかったので、今回は本当に良かった。
そういうモノを深く照らせばこそ、あの子が必死こいて演じてきた本当が、かのん達に届きファンを生み出し、海を超えた故郷でも星のごとく輝くのだと…時を超えて全てを救い、未来へと送り出していく風になるのだと、しっかり示す回でした。
そういう、「スクールアイドルに出来ること」をスゲー分厚く、熱量込めて書いて三期が折り返すの…もう飾る必要もねぇ、三期が相当好きになってきちまってる自分にとって、メチャクチャありがたいことで。
この激浪を原宿に持ち帰って、8+3のLiella!がどんな”今”を紡いでいくかが、僕はとても楽しみです。
進路でゆらぎを見せていたかのん先輩が、クゥクゥから受け取っていた愛に報いるべく覚悟を見せたことで、ガッチリ”芯”直入っちまったのも効きそうなんだよな…。
愛が燃えれば道理が引っ込む、ラブライブイズムの真骨頂を暴れさせ、この先に描く景色はどんなものか。
次回もとっても楽しみです!!