イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

株式会社マジルミエ:第7話『結果と美学』感想ツイートまとめ

 株式会社マジルミエ 第7話を見る。
 ミヤコ堂出向編ファイナル! というわけで、どんな時でも美を売る化粧品メーカーと、実務と効率最優先の専業最王手、二人の先輩魔法少女の背中を見届ける回である。
 血に塗れながら微笑むリリーさんはぶっちゃけちょっと怖かったし、あの笑顔でいい塩梅に安心するあの世界のモブやや愚昧群衆味するけども、ゼスト魔法少女が出てきたのはバランス取れてていいな、と思った。

 そらーああいう仕事の仕方、社会貢献の仕方当然あるはずで、組織が是とするものに応じて個人が肯定する価値観も変わるよなぁ…と感じた。
 カナちゃんが片一方だけを”答え”にしなかったのは、いい決着だったと思う。

 

 

 対外的な慰撫工作はリリーさんが、実際の怪異対策はメイさんが、それぞれ役割分担して変異個体に立ち向かう…みたいな構図だったけど、よくよく考えるとゼストへの負荷がデカすぎる!
 これを独力で跳ね飛ばし、圧倒的な速度と安定感で災害ぶっ飛ばして次の現場に向かう、業界最大手の頼もしさは凄かった。
 死んだ目してる社長が時計背負って、何かに急かされるように効率を追求している理由…その一端が、圧倒的な仕事ぶりから見て取れた感じがあった。
 実際外面だの哲学だの追求している間に、人が死ぬ仕事だからな魔法少女…。
 現実で例えると「はしご車を花で飾る必要はあるのか?」みたいな話…かな?

 どんな苦境でも笑顔を追求し、社会が求める魔法”少女”であろうとするリリーさん(とミヤコ堂)の姿勢は立派だが、救命業たる魔法少女の本道では、確かにないと思う。
 同時にそればっかりだと凄いスピードで荒んでいくハードでリアルな仕事でもあろうから、ミヤコ堂の社長がわざわざ”華”を守ろうとしているのには納得がいく。
 どーもゼストとミヤコ堂、マジルミエのトップはかつて同志だった気配があるので、同じ夢を見ていた三人が現実と直面し、それぞれの道を選んだという過去がありそうだ。
 出向終わった後の社長トークでも、そういう気配滲ませていたしね…。
 ここら辺、アニメの範囲で更に踏み込むのは難しいかなぁ…。

 

 変異個体のヤバっぷりを見てると、実力と効率を最重要視してなりふり構わないゼストのやり口は、第一印象より間違ってないのかも…と感じた。
 丁寧に心を込めて、じっくり一個一個の案件に向き合ってる間に、魔法少女が間に合わない災害現場で人が死ぬ。
 そういう構図は業界最大手として、ピラミッドの頂点から全体を見渡せばこそ生まれてくるわけで、マイナーリーグのエースであるマジルミエには見えてこない。
 それを解りつつベンチャーに収まってる社長が、自分の青臭さとエゴを理解している様子だったのは、ちょっとした救いだった。
 盲目に自分の理想を信じ切って、迷うことない会社は怖いから…。

 社長の姿勢が影響してか、カナちゃんもゼストとミヤコ堂、対極的な大手二社の仕事ぷり両方を、公平に見届けていた。
 自社で面倒見てくれるはすっぱお姉さんも含め、色んな魔法少女が色んな働き方をしている中で、カナちゃん自身はどんな仕事を果たしていくのか。
 新人時代の熱がやや薄れ、どっしり腰を落として業界全体の見取り図と、そこを進んで行く自分の未来を見据える段階に、カナちゃんが進み始めた。
 お仕事モノとしても順当な道を進んでいて、なかなか安定感がある。
 カナちゃん自身が素直で有能な才人だから、引っ狩りなく飲めてる感じはあるなー…。

 

 ミヤコ堂と仕事することで、零細企業の立ち位置だとそこまで気にしなくてもいい(気にしても背負えない)”社会の中の魔法少女”つうものが、可視化された感じもある。
 常時憧れを向けられその振る舞いを見つめられてるということは、不安や怖れが簡単に伝播する立ち位置ということで、そらー為すべき責務も重かろう。
 人事異動次第で「明日から無敵のヒーローよろしく」と言われてしまう会社も結構怖いが、誇り高く重責を背負うリリーさんの人間味が、彼女が告げたカワイイ秘密から伝わったのは良かった。
 ズボラでテキトーでフツーな人たちが、必死に背筋を伸ばしてなんとか、夢と平和は維持されているのだ。

 ゼストの効率主義もここら辺の社会との繋がり方を無視しているわけではなく、むしろ強く意識しているからこその実務全振り効率主義なのかな、と思う。
 社長が超精度の魔法求めて、納得させたい”上”がどういう存在なのか知りたくもあるなぁ…。
 この世界の魔法行政、怪異被害の頻度と規模、魔法技術のポテンシャルからして、相当理想主義が横行してるかネバネバ生臭いか…どっちにしてもヤバいと思う。
 こういうカナちゃんにまだ見えてない景色を掘り下げてくれると、「魔法少女がいる世界」のシュミレーションとして楽しんでる自分としては、なかなかにありがたい感じだ。

 

 

 というわけで、カナちゃんのみならず視聴者にとっても、「魔法少女がいる世界」がもっとよく見えるようになる、ミヤコ堂出向編でした。
 マジルミエの職人主義、現場主義は暖かくていいもんだが、それで取りこぼすものも背負えないものも沢山あるはずで、それでもなお社長は、ちっぽけな救いを丁寧に削り出す道を選んだ。

 彼がリーダーを務める組織に身を置いて、カナちゃんはどんな在り方を自分の魔法少女道として選んでいくのか。
 ここら辺を残りの話数の中しっかり示せると、1クールアニメとしての手応えがあるかなーと思ったりします。
 次回新展開、とても楽しみです!