魔法エキスポを襲った危機を前に、ギークボーイが殻を破る!
マジルミエの技術担当、二子山くんをメインに据えて送る、マジルミエ第9話である。
話の作りとしてはカナちゃんの社外研修を角度と当事者変えて積み重ねていく感じで、魔法プログラミングに取り憑かれた青年が社長に見出され、信頼を手渡され、自分の外側がどうなっているのか、目を向けてを伸ばすまでの物語…という感じ。
性別も専門も異なる二子山くんから見えてる世界、そこに自分を前のめり押し出していく足場を描いたことで、カナちゃん主役だと描けないモノが形になっていて、群像劇の良い所が出た回だったかなと思う。
二子山くん憧れのテックウィザードたちを通じて、マジルミエ(つうか社長)の卓越した技術力を改めて際立たせる感じのエピソードでもあり、アスト古賀社長が重本社長に投げる重めの感情と合わせて、”15年前”への興味が更に掻きたてられる回でもあった。
業界全体としては新しい現象である変異種怪異は、社長たちにとっては15年封印してた厄種であり、これが過剰な浪漫主義と実利主義に道が分かれるに至った原点…って感じなのかな?
あのイカれたどピンク衣装も、その時失われたものへの”喪”だとすると結構納得がいくんだよな…アニメで描かれるかな?
社会から浮き上がるほどに魔法プログラムにのめり込み、それ故それを生業にしては生きていけないと自分を縛っていた二子山くんは、仕事を仲間との協業と見る重本社長に導かれ、マジルミエに居場所を見出した。
実際あの少人数で、社長が求める水準のクオリティをやるのは相当無茶苦茶なはずで、社交性に問題があろうと就業に後ろ向きだろうと、飛び抜けた才能と情熱を持ったエンジニアを一本釣りしにいくのは良く分かる。
結果二子山くんがほんとに欲しかったものをドンピシャ手渡し、いい感じの関係を気づいたからこそ今回、凄腕共が自分を助けてくれる経験に踏み出せたわけで、いい出会いだったんだなぁ…という感じ。
現場のニーズに合わせて適切にプログラミングを手捻りし、機動力と即応性のあるバックアップユニットとして機能する二子山くんの仕事ぶりは、社長がデザインした優秀な作業環境あってこそ成り立っている。
最高の仕事を成り立たせるための仕事を、腕前一つで作り上げられる能力が重本社長には確かにあって、しかしやってるのは業界最底辺のどベンチャー…そこでは、何かがネジレているわけだ。
ここに重本くんにだけ外向きじゃない、むき出しの露悪と当てこすりを叩きつけてくる(そしてスルーされる)古賀社長との因縁が、どうヒリツイているのか。
臭う…関係性の獣達が巣食うジャングルの薫りが!
変異種怪異問題への先見性とか、マジルミエの特殊な立ち位置が顕になる回でもあったのだが、これも社長の秘めたる過去に多分繋がっているわけで。
煮出すと一気に濃厚なコクが出そうな要素が、今は”社長”になってしまった男たちの過去にギッシリ詰まっている気配があるが、メインフォーカスは今まさに仕事を通じて己を学び、世界を知っている若人にあるんだよな…。
カナちゃんや二子山くんの物語ももちろん面白いんだけども、その受け皿として設定されてる年上世代の物語が、異様に面白そうにチリチリしてんの、良いのか悪いのか…。
マンガで”そこ”が必ず見れるって、保証があるなら最高のクスグリなんだけどなぁ…。
社長の異性装って、間違いなく最初笑って後で泣きながら謝るタイプのフックだろうし、そこら辺ひっくるめて是非にもアニメで見てみたい気持ちではある。
15年前に変異種発生が予見できていたってのなら、どベンチャーが抱え込むより適切な対応ってのがあったはずで、しかしそれは形にならなかった。
だからこエキスポでの事故も起きたわけだが、ではなぜ先進的技術とヴィジョンを持っていた重本社長は、業界のトップではなくボトムに甘んじ、怪異問題は「最先端の重要課題」になっているのか。
大変気になるネジレだ。
変異種問題には表沙汰に出来ない複雑なアレソレがあって、結果こういう形になった…つう話かな?
まーそれは次回以降へのヒキではあって、今回のエピソードは魔法プログラミングだけが世界の全部だったナードが、そこに耽溺すればこそ手に入れた実力を、新たな未来へ繋げれた話として喉越しが良かった。
こうして少し世界を広げた二子山くんが、今後どういう”仕事”をしていくのかも気になる所である。
社外研修で世間の広さを知ったカナちゃんと合わせて、外側から手に入れた素材がマジルミエをどう発展させていくのか、変化と発展の描写に繋がっていくとより面白いかなー、って感じ。
二子山くんをエピソードの主役に据えたことで、魔法少女稼業の裏方がどういう苦労してるかの、見え方もクリアになったしね。
何かと呑気にキーボード叩いて、成果がわかりやすい形になりやすいプログラミングを、今怪異災害に対応するために現場要因が必要としている”魔法”に結びつけることで、安全圏で楽な仕事してる感じが薄くなっているのは、設定を活かした良い描写だわな。
というわけで、ギークボーイの一念発起で危機を乗り越え、新たな世界が広がるエピソードでした。
現役世代が自分なり何かを見つけていくお話をしっかりやりつつ、その背後にある社長…に今やなってしまった男たちの悲哀や激情にも、結構力を入れて種まいてくれてる印象。
そっから伸びる感情と関係性の果実こそが好物な自分としては、是非”マジルミエ・ゼロ”が見たい気持ちであります。
あまり多いとはいえない残り話数をどう使って、どういう風にアニメとしてまとめていくか。
そこも含めて、次回も大変楽しみです!