イマワノキワ

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ダンダダン:第9話『合体! セルポドーバーデーモンネッシー!』感想ツイートまとめ

 条理を飛び超える強敵に、絆とバカで立ち向かえ!
 ラブコメと異能バトルが入り交じるカオスな作風を、最大限加速させる合体バトル、ダンダダンアニメ第9話である。

 

 セルポ星人が張り巡らせた結界により、水に満たされた学校が舞台となる今回。
 今までのバトルでは結構厳密に貼られ、だからこそ独自の緊張感が維持されていた日常と非日常、ギャグとシリアスの境界線が、入り混じりワケワカランことになるエピソードである。
 アイラやオカルンの都市伝説憑きは解除されたり変身したりだし、トボけたハイテンションは止まらないし、命懸けではあるんだが主役が全裸ではなかなか締まらないしで、結構独自のテンションである。

 同時にこのなんでもアリのごたまぜ感はこの作品の特徴でもあり、アニメの多彩な表現(それらを同居させ混交させる演出手腕)が加速させた味わいでもある。
 結界の中異界化した学校を舞台に、そこで培われたドタバタラブコメな関係性をそのまま引っ張ってきて、おバカないがみ合いと命懸けの激闘が隣り合っている手触りは、この作品らしい良さに満ちてもいた。
 今まで相手取ってきた都市伝説&怨霊連合軍が、人間の悲哀と地続きな存在だったとに対し、UMAと宇宙人がタッグくんで襲ってくる今回は、ぶっ飛んだ非日常を相手取ってる所が、変化の核…なんかな?
 まぁ宇宙人なりの事情ってのは、次回明かされるけども。

 

 

 

 

画像は”ダンダダン”第9話より引用

 というわけでアクロバティックさらさらとの怪異合体を果たしたアイラは、強敵ギグワーカーにも臆せず立ち向かい、オカルンとの連携プレイで圧倒していく。
 前回は守られるだけのヒロインだった彼女が、激闘の中で掴み取った絆を力に変え、赤い残光を残しつつ可憐に舞う姿は、とても印象的だ。
 まぁそれ以上に、オカルンのプリケツがプリプリし過ぎてて、そっちに意識もっていかれるのは問題ではある。
 生身オカルンが段々逞しくなってきた反動で、変身後でもオモロイ姿を晒すようになってきたの、ちょっと愉快なバランス調整だな…。

 最終的に掟破りのUMA宇宙人三身合体までなだれ込む今回、オカルンたちもお互い支え合っての絆バトルを展開し、その天秤は24分間激しく揺れ続ける。
 何かと減給を持ち出され、脳髄注射で強制的に強化形態に持っていかれるギグワーカーと雇用主の関係は、トンチキ高校生が見せる噛み合わせとは、かなり様相が違っている。
 時に死角を補い合い、時に対等に言い合って、凸凹な自分たちを噛み合わせて新しい力を生み出す。
 友情・努力・勝利の三拍子を踏まえた、実は結構ジャンプ的なお話でもあることが、今回の”ダンダダン”からは見えてくるわけだ。

 

 

 

 

画像は”ダンダダン”第9話より引用

 ここら辺の絆バトルっぷりが、モモちゃん追っかけてネッシーと緑の領域が世界を染めた後には、更に加速していく。
 当たり前の日常から異能者を切り離し、天井も床も水に変える異様な世界が広がる瞬間のスペクタクルが、今回のエピソードを眩しく彩ってくれる。
 せっかく異能バトルしてんだし、ハチャメチャで壮大なイマジネーションが世界全部を塗り替えていってしまうダイナミックな手応えは、たっぷり味わいたいわけで。
 そこら辺の願望をしっかり叶えてくれる、ハチャメチャバトルがド派手に暴れるのは嬉しい。
 ここら辺、敵の抱えた重たい背景が見えないからこその感覚なのかもなー。

 チャップチャップと揺れる水面、いがみ合ってる場合じゃない命懸けの状況が、廊下を埋め尽くす緑色の水に上手く反映されて、オカルンとモモちゃんの青春は揺れる。
 日常生活では縮まらなかった心の距離が、激闘の中だからこそ近くなり、顔を突き合わせて本音で語り合える青春空間が生まれているのは、なかなか面白い。
 非日常の怪物たちとのバトルは、日常を越えているからこそそこで顕にならない気持ちを暴き、真実の自分たちに近づいていくブースターとしても機能するわけだ。
 そしてその先に、マジ顔だとマジイケてるオカルンの素顔と、水中に加速するトキメキがある。

 

 日常でのすれ違いをバトルにまで持ち込むモモちゃんも、バトルの真っ最中だからこそ日常よりカッコよくなっちゃうオカルンも、奇妙な縁で巻き込まれたイカれた日々を、青春として乗りこなしている。
 このパワフルでタフな足腰がどういうステップを生み出すのか、改めて描くための境界線のユルい、ラブコメ&バトルな回かなぁと思う。
 笑いと恐怖、死と愛を隔てる境目は思われているほど堅牢ではなくて、揺らぎながら混じり合う。
 だからこそ生まれてくるむき出しのパワーが、心の距離を近づける律動が、オカルン達の青春には確かにあるし、必要なのだ。

 つーかトンチキネイキッド野郎で変身すらしてねぇのに、思いを真っ直ぐぶつけてくるオカルンはほんとに美青年であり、よくぞこういう肖像を仕上げてくれた…という気持ちになる。
 この颯爽と逞しいかんばせこそが彼の素顔であり、背中曲げてショボクレてたオタクくんは仮初…とまでは言わないけども、命懸けのバトルに巻き込まれたからこそ本性が出てきた感じはある。
 不器用なほどに真っ直ぐ、ひたすらに誰かのために。
 そういう高倉健スタイルをしっかり描かれてしまうと、オタクくんが気になっちゃうモモちゃんの気持ちにも、強くシンクロできてしまうのよな…。

 

 

 

 

 

画像は”ダンダダン”第9話より引用

 アイラも合流し、オカルンたちは三位一体のコンビネーションで、同じく合体を果たしたセルポドーバーデーモンネッシーに立ち向かう。
 あっちが圧倒的な強さを持ちつつ敵を詰めきれない無能を、雇用主であるセルポ星人の都合で染め上げる強制的な合体なのに対し、異能者たちは司令塔たるモモちゃんが起死回生の策を思いつき、それを皆の心を合わせて乗り越えていく、対照的な”合体”である。
 ジャージーデビル戦もそうだけど、やっぱ土壇場で知略を駆使して突破口を見出す仕事は、モモちゃんが担当すんだな…戦士としての知力が高いギャルだ。

 どうやってもオモシロ風味が抜けない相手だが、ヤバさは本物なセルポ星人。
 その怖さをハーモニー処理で強調とかしつつ、水中の激戦はクライマックスへと加速していく。
 深い水底にあえて潜り、窮地にこそ突破口を見出すバトルを描く時、日常の匂いを残した学園異界よりも”黒”が印象的に効いていた。
 それは死の闇の色であり、少年たちが出会い巻き込まれてしまった非日常の色だ。
 それを我がものとして乗りこなし、飲み干してこそ、彼らの青春は活路を見いだせる。
 どんだけギャグを混ぜても消えないヤバさを、その”黒”に宿して描けたのは、今回凄く良かったと思う。

 

 

 

 

 

画像は”ダンダダン”第9話より引用

セルポ星人は弱点を補うために融合したギグワーカーの、強すぎる拳を制御しきれず自滅していく。
 危険な非日常をぶち抜いて自分たちの青春を加速させる子ども達は、アイラの髪の毛を足場に、モモちゃんが力強く口をこじ開け、オカルンの”本気”が荒々しくぶっ刺さって、三位一体のコンビネーションで見事に勝つ。
 勝負を分けたのは相手の意思を奪って便利に使う悪辣と、いがみ合いながらも力を合わせる心の重なり合い…その差なのだ。
 こんなトンチキ大暴れ回が、いちばん友情バトルしてるの、ホントすげーバランスだな…。

 下着姿がなんぼのもんじゃい、”アスカ、来日”の弐号機もかくやという力強さで、オカルン吶喊の道を開くモモちゃんの背筋が、大変逞しくセクシーで良かった。
 下世話でエロティックなサービスを織り交ぜつつも、下着姿の手弱女がメチャクチャタフに戦い抜き、すげーカッコよく描かれているのはとてもいいことだと思う。
 エロいとか思ってらんねぇ命懸け、モモちゃんの僧帽筋に宿った侠気は大変に分厚く、敵の前に立って一番危険な囮役を買って出る姿勢も、颯爽と眩しい。
 ギャーギャー面倒くさくやかましい部分もありつつ、イザとなったらスパッとカッコいいのは、オカルンとよく似てるねぇ…。

 

 

 

 

 

 

画像は”ダンダダン”第9話より引用

 非日常の緑に染め上げられた世界から、無事硬い地面の感触を確かめ抱き合う日常に帰還し、戦士たちは無事を喜び合う。
 しかしそれは裸でいたらヤバいと思われる、当たり前の倫理が取り戻されることも意味していて、唐突に廊下に現れた激ヤバ三人組は、いい感じの崩し作画でダバダバ青春を疾走する。
 このトホホ感もまた、彼らのリアルであろう。
 アイラという異物をどう取り込んでいくか、新キャラ馴染ませエピでも在ったと思うんだけど、「こんだけ一緒にバカやれてんなら大丈夫だな!」と思えるオチになったの、実は結構好き。

 

 

 というわけで、戦列な色合いで暴れる非日常の中、当たり前の面倒くささが死と笑いを強烈に混ぜ合わせていく回でした。
 こういうミクスチャーな面白さがあるバトルが、”合体”を主題に展開していくの面白い造りだなぁ…と思ったりもしますが、オカルン達が今どういう場所で青春しているのか、非日常に飛び込めばこそえがけるエピソードだったと思います。

 かくしてフルカラーの日常へと戻ってきたトンチキ三人組ですが、今度は怪異のほうが背負った哀しみを吐き出す番。
 悪霊のみならず、宇宙人にだってちゃんとある事情と痛みを間近に受け取って、ガキどもはどんな決断を果たすのか。
 次回も楽しみ!!