イマワノキワ

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株式会社マジルミエ:第12話『一人とチーム』感想ツイートまとめ

 団地全域を焼き尽くさんとする火焔怪異を相手取り、現場の魔法少女三人と、彼女たちをバックアップするマジルミエの仲間が、死力を尽くして怪異災害に挑む”一期”最終話。

 株式会社マジルミエ 第12話を見る。

 アカネちゃんという後輩を背中にかばうことで、1クールの物語でカナちゃんがどういう成長を遂げたのか、最終話に相応しいまとまりがあるエピソードだった。
 常時なんかヤベーのがメラメラ燃え続けている、火焔怪異のゲキヤバ感も最終決戦にふさわしく、前線と後方がリアルタイムで連動しながら災害に挑む、マジルミエスタイルの真骨頂をたっぷり味わえもした。
 あと、越谷パイセンのヒロイズムが元気だったのも良いね。

 

 無事二期放送も決定ということで、今回描かれたアリスシステムの強みをどう業界全体に普及させていくのかとか、現状異端であるセクションに分割されていない有機的な”仕事”に社長がなんでこだわっているかとか、未だ描かれざる課題にも、まだまだ筆が伸びてくれそうで。
 社長が魔法少女行政の中核にコネもってる様子も描かれていたし、やっぱ一番美味しそうな部分は”マジルミエ/ZERO”にありそうなんだが、二期はそこに踏み込んでくれるのか。
 大変楽しみだ。

 勝負の会議に挑む前に、遺影に語りかけてた様子を見るだに、やっぱあの女装って死者への操なんだな…。
 俺好きだよ、犠牲に呪われて世界を善くしようとしてる男…。

 

 

 そこら辺は今後のお楽しみとして、今回は想像を絶するスケールと速度で拡大し続ける火焔怪異を相手取り、たった三人+バックアップで状況を制圧する、マジルミエの凄み(あと変異怪異のヤバさ)を描くことに重点が置かれていた。
 後方が必要とする情報を的確に把握し、指示なしで自発的に回収(命懸け)して状況打破に繋げるカナちゃんは、やっぱりもはや新人でも凡人でもない。
 すっかり頼もしくなってしまった主人公の成長を描くのに、アカネちゃんが良い鏡になっていて、一時派遣じゃなくて転職してくんねーかな…って感じ。
 キャリアメイクにガッついてるアカネちゃんと、淡白な天才児のカナちゃんの組み合わせ、かなり好きだな…

 マジルミエの外では何が「魔法少女のスタンダード」なのか、アカネちゃんが来てくれたおかげでようやく見えてきた感じもあって、一番ヤバくてキツい場所を任されているのに後方支援から切り離され、独力で状況判断と問題解決を背負わなきゃいけない、相当なハードワークっぽかった。
 前線と後方が没交渉に切り離され、流動性も可塑性もないまま魔法少女に負荷がかかりまくってるっぽい業界構造をどうにかしようと、重本社長は過剰なロマンティシズムと分かりつつ、それらが連動しリアルタイムで可変する、才能溢れる怪物たちでしか運用できない組織を目指し、形にしていたようだ。

 

 魔法少女が孤独に過大な責任を背負う体制で、繰り返してはいけない犠牲が出たからこその浪漫主義なんだろうけども、まー越谷パイセンっていう感覚派実務の天才と、カナちゃんっていう分析力に長けた前衛に、柔軟性と野心を併せ持つアカネちゃんが加わったから駆動できてる体制だよな…。
 作中の魔法少女、業務内容としては、プログラマーとレスキュー業を重ね合わせたような仕事なので、瞬時の判断力が求められる命懸けと、腰を据えて知識を編む能力両方がないと、エースは張ってられない感じがある。
 究極の頭脳と肉体を兼ね備えた、怪物以外には務まらない仕事に見えるが、こんだけ怪異が頻発してると、英雄にだけ任せてもいられない

 マジルミエという超・少数精鋭集団で現状可能になっているシステムを、彼らほど特別じゃないだろう世間の魔法少女たちに援用し、業界の構造を変え労働環境を改善していくためには、アリスシステムを凡人でも使えるように翻訳する必要がやはりある。
 プログラム開発とも営業とも、勿論現場での災害レスキューとも異なるこの側面を、マジルミエの誰が担うのか。
 あるいはそのための新たな人材を引っ張ってくるでも良いけど、個人的にはこの”翻訳”の難しさと面白さには、ちょっとツッコんだ描写を期待したくなる。
 ……アマチュアの聖人が持ち前の才能と善良さでもって、世界を揺るがす脅威と戦う孤独なヒロイズム(既存の「魔法少女」らしさ)を、まともな仕事に為るように解体・分散・再構築するって話でもあるのかなぁ?
 社長の傷になってる誰かは、その英雄性ゆえに死んでるとかだと、かなりテーマが分かりやすいけども…。

 

 僕は魔法少女のお仕事を、怪物とのバトルではなくあくまで魁夷災害に対するレスキューとしたのは、凄く面白いなと思っている。
 戦いを仕事にする時必ず生まれてしまう特殊な文法を遠ざけ、前線と後方の連動とか、社会的責務を果たす難しさとか、業界の構造が生み出す軋みとの戦いとか、生っぽい”お仕事”の要素を出すにあたって、魔法プログラミングと異能によるレスキューを組み合わせた、独自の手触りを選んだのは妙手だと感じる。
 そこには命懸けのヤバさがあり、力押しだけでは解決しきれない難しさがあり、刻一刻と変化する状況を冷静に分析し、燃え上がる闘志で立ち向かう、複雑な資質が求められる、大変な業務だ。

 この複合的な難しさを、1クールの終わりに改めて描き直すのに、生々しいヤバさがある火焔怪異は良い”敵”だった。
 ヤバい状況だからこそ魔法少女たちの秘めたる才能が開花し、力を合わせて災害に立ち向かうチームワークが際立ち、それでも足らなきゃ無敵の越谷パイセンが空から降ってきて、ヒロイックに守ってもくれる。
 頭脳派なカナちゃんでは背負えない問答無用な完全無敵感を、要所でキメて気持ちよく問題を解決してくれる強さがパイセンにはあって、それが今回バリバリだったのは大変良かった。
 主役が背負ってしまう小難しさを、適切にふっ飛ばしつつその善さも認めてくれるパイセンがいてくれるの、ホント強いなと感じるね。

 

 魔法少女同士の横の連携、後方との縦の連携があればこそ、変化する状況に応じて必要な魔法を現場で編み上げ、対応していくマジルミエの強みも映える。
 これは今後、アリスシステムで業界に殴り込みをかけていく勝負にも生きる描写だろうし、「なんでこの会社なの?」つう疑問に一期最終話、しっかり答えて満足感を出してもくれている。
 続きがあるとは言え、一応の幕引きであるこのタイミング、やっぱ話の核心に対ししっかり答えを出してくれるのは、三ヶ月付き合った物語をスッキリ見終わる大事な足場だろう。

 ぶっちゃけ寄り道かなぁ…とも感じていた第10話で、銀次さんから託された特性箒がしっかり仕事をして、ゲキヤバ状況を乗り切るパワーを与えてくれる展開も、過去話数が効いてて良かった。
 二小山くんのプログラム技術もそうだけど、一見異質な技術が繋がりあって、怪異災害という異常事態に適切に対処できている様子が元気だと、作中大事な物…マジルミエの強みとして描かれた「チームワーク」が、ただの空疎なスローガンではなく確かな手応えあるものとして、見ている側にも感じられる。
 そういう総力戦感がある”仕事”でもって、話をしっかり締めくくってくれた満足感は、大変良かった。

 

 というわけで、マジルミエという会社、カナちゃんというレスキュー戦士がどんだけ”仕事”が出来るのか、その外側から見たからこそ説得力を込めて強みを照らせるアカネちゃんを活用して、一期最後にしっかり描いてくれるエピソードでした。
 大変良かったです。

 この難局を乗り切り、新人時代を終えたカナちゃんが来たる二期でどんな活躍を見せてくれるかも、いい具合にクスグリ撒きつつ、魔法少女行政つう新たなレイヤーに話がぶっ込んでいきそうなワクワク感を高めてくれた、社長の奮戦記もとても楽しみ。
 まだまだマジルミエの未来を見守りたいと思わせてくれる、良い折り返しでした。
 二期もとっても楽しみです!