イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ダンダダン:第12話『呪いの家へレッツゴー』感想ツイートまとめ

 人体模型の恋に決着(ケリ)付けて、行くぜ地獄の因習温泉!
 ド途中ゲキヤバポイントで二期に続く王者の足並み、ダンダダン一期最終話を見る。
 半年…多分あっという間だぜ!(中年の実感)

 

 つうわけでジジ編本格始動で一期終了、多分半年持たせるクリフハンガーとしては大変いい感じなエピソードである。
 太郎と花の奇妙な純愛がどこに収まるかを描きつつ、それを受けてオカルンが目の前の三角関係…だと思い込んでいるものを、一袋どこに持っていくのか。
 自身紫色の怪異オーラに侵されつつ、明るく気の良い”友達”を頑張ってくれるジジを前に、モヤモヤ湧き上がる嫉心にケリを付けられるのか。

 序章でもあるし、既にこの物語らしい元気で前向きな答えは出されているようでもある、なかなか愉快な青春スケッチだった。
 その可愛いじゃれ合いで終わらせず、かなり濃厚なヤダ味が漂うモモちゃんピンチ、ぶち開けた虚穴から滲むゲキヤバ感で引いたのも、温かな日常と隣り合う恐怖と狂気を感じられ良かった。
 ジジのチャーミングな健気さは嘘じゃないけど、正体定か為らぬ何者かに睨まれ付け回され、頭がおかしくなる寸前まで追い込まれてる被害者なのも事実だからなぁ…。
 日常と非日常、安全と危険、正気と狂気が、接触なく分離されているのであれば、星子が収めた結界術も出番はないのだ。

 

 

 

 

画像は”ダンダダン”第12話より引用

 つうわけでスカタン野郎の後始末、燃え盛る純情はトラックにだって負けやしねぇ!
 愛だけを眼に入れて突っ走る、太郎の大爆走はオカルンのあるべき未来でもあるので、前回に引き続きパワフルに描いてくれたのは大変良かった。
 女の形をしたものが裸じゃ辛かろうと、花に服を着せ一緒に寒天の下恋人を待ってあげる、モモちゃんの優しさも染みる。
 トンネルの亡霊のときには星子に教えられるばかりだった、怪異というアウトサイダーに適切な情を寄せるやり方を、モモちゃんも体得している感じがあって大変いい。

 「愛に生き、思いに素直に、人に優しく」という、極めてスタンダードな価値観は多分、このトンチキ極まるハイテンション怪異青春譚一つの柱だ。
 そういう人間の大事な当たり前が、歪んだり狂ったりしてしまう異常な力が現実にある時、それでも優しく強く生きられるのか。
 モモちゃんたちが遭遇する怪異たちは、時に激しいバトルの中で、あるいはフルカラーの日常に迷い込んで大暴れする中で、子ども達に幾度も問いかけてくる。
 暴れ狂う暴力装置に落ちるしかなかった連中に、殴り倒して正気を取り戻させ、背負った哀しみを半分受け取り、彼らの物語を知っていくという、激戦の奥にあるもう一つの戦い。

 

 トンネルの悪霊にしろ、アクロバティックさらさらにしろ、あるいは悲しき宇宙ギグワーカーにしろ、人間にはとても見えねぇ怪物たちの奥には、確かに自分と同じ”人間”が在ることを、かつて興味本位で誰かの哀しみを知らず踏んでいた、今どきギャルは学びつつある。
 星子に再度の土下座をキメ、オカルトが日常な特異空間の中に存在を許して貰い、気遣いのマフラーをそっとかけるモモちゃんを見ていると、成長する中で捻じくれてしまった生来の優しさの使い道を、ジワジワ身につけつつある感じがして良い。
 「オタクに優しいギャル」つう記号をはみ出す、こういう手触りの優しさ描写、キャラが立っていいわな。

 花がモモちゃんの優しさを照らす鏡だとしたら、太郎はオカルンが内に秘めたなりふり構わぬ情熱…それに動かされて考えるより早く疾走る強さを、コミカルに先取りもしている。
 素っ裸で表情も変わらぬスカタン野郎が、月に吠えバラバラにされてなお愛のために突き進む姿には、奇っ怪な感動とイカれた面白さが同居している。
 どうあがいたって生粋のオモシロ野郎なんだから、オカルンだって暗い場所でうじうじ思い悩んでいるより、こんぐらいの純愛バカになって突っ走る未来しかねぇ!
 …わけだが、世界が広がればこそ胸に飛び込んできた、馴染のない感情とお付き合いする方法を学ぶのは、純情少年にはなかなか難しい。

 

 

 

画像は”ダンダダン”第12話より引用

 ジジとオカルンの相性の良さは、既に太郎追跡行で示されてもいたわけだが、今回彼の呪いの根源へと突き進むたびの中で、より濃く描かれていくことになる。
 チャラいハイテンションは正直ややウザではあるが、根本的に相手の顔をちゃんと見て、楽しい気分が広がるように明るくふるまってくれてて、ジジは大変いいやつである。
 オカルンも思わずその明るさに引き寄せられて、恋敵…と思い込んでいる男とじゃれ合い、キュッキュキュッキュSLAM DUNKごっこをぶちかまし、大変いい感じに仲良くなっていく。
 それがオカルンには不本意であってでも、だ。

 同時にオカルンには(まだ)見えない所で、ジジが文字通り狂うほどに苦しんでいる様子も、視聴者には開示される。
 紫色の怪異領域に取り込まれ、存在しない視界に突き刺される、正体不鮮明な恐怖。
 これを解決できるのは、日常とオカルトの境界線を飛び越えたオカルンだけであり、しかしその使命にダークヒーローはまだ目を向けられない。
 ももちゃんへの思慕と、それが生み出す拗れた嫉妬が、ジジが競うべきライバルではなく期のいい友達であり、救うべき呪いの被害者であることを、主人公に見落とさせている。
 この紫色の現状に気づくのが、高倉健の大事な任務になっていく。

 

 

 

 

 

画像は”ダンダダン”第12話より引用

 オカルンも完全に目が塞がれ、思い込みに呪われているわけではない。
 車窓に写る自分の顔は、嫉妬に囚われてどこか歪んでいて、とても好きになれたもんじゃない。
 眼の前で顔をピカピカ輝かせ、オカルトマウントを取りに行った対抗心を見事に透かされ、自分の好きなものを心から面白いと言ってくれる人を、憎めたら良いのに。
 そう考えるということは、オカルンだってジジがいい奴で、初めて出来た同性の友達が嬉しい気持ちが、自分の中にあると解っている。
 解っているけど、素直になれば何かを譲り、手放してしまう感じがするので、素直にはなれない。

 チャーミングで甘酸っぱい青春ツンデレ味は、モモちゃんの専売特許ではなく、彼女が焦がれる不器用ボーイからも似たような味わいが湧き上がる…つう話でもある。
 アイラというトンチキライバルが恋路に乱入してきたことで、モモちゃんの顔が鮮明になったのと同じように、ジジが舞台に上がることでただヒーローではいられなない、高倉健少年の素顔が深く掘り出されてる感じはあるね。

 

 その裏側で進行する、正統怪異譚のヤバゲな空気よ…。
 ジジの家にしてもそうだが、温泉街も一見大変いい感じに描かれていて、だからこそ腐った何かが内側で這いずり回ってる違和感が、しっかり強調されてもいる。

 ここまでは唐突に怪異に襲われ即バトルな展開が多かったが、今回は新米霊能者・綾瀬桃のデビュー戦ということもあり、かなりオーソドックスに調査から真相へと至る怪異ミステリの道が作られていく。
 ガワだけ綺麗に取り繕っておいて、中身は呪いでグズグズ…てのはジジにも当てはまることであり、物語の形とそこで活きてるキャラクターの在り方が、シンクロしている作りでもあるんだろう。
 とまれ、じっくりと怪異事件の真相に迫っていく足取りは新鮮でもあり、星子に守られ導かれながら”境界を見定め、結界を引くもの”となっていくモモちゃん達のオカルト修行が、なかなかに面白い回ともいえる。

 

 

 

 

 

 

画像は”ダンダダン”第12話より引用

 とか言いつつ、今回のメインディッシュはチャラ男とオタクの友情構築なんだけどねッ!
 ウジウジめんどくせー事ばっかに捕らわれているオカルンに対して、あえてチャラく近づいて距離を詰め、笑顔で壁を壊そうと頑張ってくれるジジの健気が、オッサンにはつくづく染みる…。
 相当呪いで参ってるはずなのに、新しく出来たダチにはそういう素振り見せず、抱え込んでるものサッカーボールでぶっ壊して仲良くなろうと歩み寄ってくれるの、真の”陽”って感じがする。
 クラス内カーストにいいポジションを占めるためではなく、ただ自分らしく生きていると太陽に近い場所に立ってしまうという…。

 前回は素直になれず迷う役だったモモちゃんが、ちょっと大人びた気遣いを見せてオカルン初めての男友達との距離が縮まるよう、自発的に場を離れていくのは印象的だ。
 それがピンチを呼び込みもするわけだが、しかし何も考えてねぇガキみたいにサッカーボールで遊び、嫉妬でがんじがらめのイヤなオカルンではなく、おバカで元気な可愛い素が引き出される状況は、確かにいいとこ見せたい女の子が間近にいたんじゃ見れないだろう。
 モモちゃんがいればこそ二人は出会い、主にオカルンから勝手にライバル視してぶつかってもいるんだが、そんな彼女がいたんじゃ繋がらないものもある。
 ここら辺の複雑でピュアな思春期の手触り…好きだ。

 

 かなりサッカー上手いのに、運動苦手なオタクくんとしっかりボールを通じたコミュニケーション出来るよう、自然体で親切なジジが良い。
 彼は全く裏なく、自分にとっても新しい友達にとっても大事な人をどう思っているのか、オカルンがオカルトの話ししたいのと同じ気持ちで投げかけているわけだが、考えすぎボーイは色々抱え込んだ思いに邪魔され、そういう素直さをなくしかけている。
 しかし何にも考えず、ひたすらに疾走れるのがターボババァに見出された異能戦士の強みでもあるわけで、ジジの”陽”に引っ張られるようにオカルンは思わずボールに飛びつき、尊敬だけで終わらない”好き”を曝け出していく。
 二人とも可愛いなぁ…。

 僕はこのお話し、怪異と人間の境界線をどう適切に引き、あるいは越境する物語であると同時に、色んな奴らが蠢く教室という結界の住人…高校生が垣根を超えてお互いを知っていく物語なんだと思っている。
 真逆に見えるギャルとオタクの出会いから始まって、今回チャラ男とオカルト野郎の友情が芽生える様子を描いているわけだが、この微笑ましい越境の裏にはもう一つ、仕組まれた呪いの犠牲者と、それを救いうるダークヒーローという関係がある。
 それはサッカーボールを取り合い、好きな子がどう好きなのかを真っ直ぐ伝えあえるような、爽やかで温かい友情とは無縁に見えて、そんな日常にこそ支えられている。

 ここでオカルンがジジとの弾遊びを通じて、嫌いになんて慣れない最高にいいヤツだと彼の素顔を裸眼で見つめ、彼を大事に思える優しい自分に嘘をつかない事を学ぶのが、後々ゲキヤバ怪異バトルに飛び込んでいく時、奮戦を諦めない足場になる。
 あるいはジジを呪う怪異がなにゆえ怪物に成り果てたかを思うと、嫉妬や憎悪といった暗い感情を、未だ怪異為らざるオカルンが凄く真っ直ぐ乗り越え、人間が人間でいられる青春に足を置いている意味は、結構大きい気がする。
 こういう微笑ましい当たり前があればこそ、人間は怪物に為らずにすむのだ。

 

 

 

 

 

画像は”ダンダダン”第12話より引用

 そういう領域を乗り越えちゃったゲキヤバ野郎共が、温泉街には蠢いてるわけよッ!
 モモちゃんが混浴温泉でイヤ親父達に詰め寄られるシーンには、サービス以前の嫌悪感が色濃く滲んだが、この街に潜む邪悪がどういう仕草で犠牲者にかぶりつくのか、身近に感じさせるにはこのヤダ味が必要…なのかなぁ?
 いやまー、性暴力を匂わせる大変イヤーな感じで描いてて、少年ゴーストバスターズが全部痛快にぶっ飛ばす未来が待ってなきゃ、とても許されざるよ! という感じではあった。
 しかしそういうモノは、確かにそこにある。

 トンネルの亡霊の死に様とか、アクロバティックさらさの過去とか、モモちゃんたちが楽しく青春している隣には、凄く悲惨で許してはいけない…でももう取り返せない悲劇が確かにある。
 その存在を知った上で、覚えておいてみんなで笑える世界を作っていこうと思うことは、なんも知らないガキのまま、境界線のむこう側に踏み出して土足で悲劇を踏むのとは、大きな違いがあるだろう。
 ターボババァのときには、全てが終わった後に星子に教えてもらう立場だった、人間社会の暗い側面。
 アクロバティックさらさら相手には、魂をつなぎ合わせその哀しみを自分に引き寄せれるようになっていたモモちゃんは、今回油断ゆえに犠牲者側に立つ。

 その立場になってみればこそ、実感を込めて湧き上がる義憤と力もまたある…んだろうけど、「ホント良くねぇなぁああいうの…」とは思った。
 そう思って貰うために、イヤーに書いてる部分ではあるんだろうけどもね…。

 

 少年たちが知恵とハンマーでこじ開けた、日常の向う側にある呪いの穴。
 そこから何が這い出してくるのか、今までとはちょっと違った手触りで向き合っていくぞ! と高らかに宣言した所で、物語は半年間の閉幕となった。
 いやー…約束された分割2クールとはいえ、続きがあってくれて大変嬉しい。
 マジ途中で終わってるしな!

 アップテンポでハイテンションながら、それだけじゃ終わらないこの怪異青春譚を、どう料理するのか。
 下世話ギャグも感動秘話も、大暴れのバトルも恐怖のオカルトも、なんでもごたまぜにして高速でぶん回す物語を、ワケのわからないカオスではなく制御され魅力的な混沌として形作るのは、とても大変なことだったと思う。

 

 怪異が生み出す単色の支配領域と、様々な色があるからこそ面白い日常のフルカラー。
 カラースクリプトに大きな仕事をさせて、作品世界を鮮明に描く演出方針も、ズバッと決まっていた。
 物語の多彩な味わいを取り逃がさないよう、凄くフレッシュなアニメーション表現に挑み、要所要所で前衛的な勝負をしかけていたのも、挑戦的で見ごたえあった。
 SARUのアートアニメ志向と、エンタメのバランスを良く取ってた。

 キャラが増える事、新たな怪異に出会うたびに、物語の画角が変わり、オカルトな世界に飛び込んだばかりの少年退魔師たちが変化していくという、怪異ジュブナイルとしての手触りも、しっかりしていて良かったです。
 こういう硬い骨が作品を支えればこそ、イカれた大暴れを楽しめるのだなぁという再発見をありがたく思いつつ、さらなる加速と大暴れを見せてくれるだろう二期、大変楽しみです。

 

 ひとまずは、お疲れ様とありがとうを。
 めちゃくちゃいいアニメ化であり、アニメでした!
 面白かったです!!