掟破りのW洗脳ヒロインラスボス、ぶっ倒して大団円まで全力疾走ッ!
幸運と不運を自在に操る女神が権限し、愚かな民衆集う秋葉原は超常の戦場と化す。
魔王2099、最終話である。
つーわけでモロに「続きは原作でねッ!」な終わり方であったが、最後までこの話らしく勢いよくところどころいい感じに粗雑に、元気よく駆け抜けていく最終回だった。
せっかく生やしたギルドとの因縁は、昔馴染みを洗脳しバトルヒロインに仕立て上げるやり口で次回以降の薪に活かし、緋月とメルディアに関しては勇者との因縁で精神こじ開けてフィニッシュという、ちいとヒネった決着。
魔王様のクソダサ本気形態、出なかったのは残念ね。
蛹とはいえ古代神、条件揃ったときだけ発動可能なスーパーモードも封じられて一体どうする!?
という状況だったが、「物理効かないから精神戦でどうにかしようぜ!」っていったら、思いの外良く効いていい感じに切り崩せました!! つうラストバトル。
RLがデータ頑張りすぎて完封ムード漂った後、テキトーな理屈をつけて投げ込んだ精神戦で決着つくの、尖ったN◎VAで見慣れすぎた風景で、最後までTRPG野郎の脳髄を刺激してくれるアニメだ…。
序章で顔見世して以来、ずーっと最高に美味しい登場タイミングを見計らっていた勇者の、超調子くれたドヤ顔タマんなかったな…。
ぶっちゃけメルディアと勇者の因縁は、この話が魔王主役の物語である以上あんま深堀りしてないポイントであり、しかしその結果やさぐれ勇者との絆自体は太いので、そこ援用する形でなんとかなった形。
こう見ると色々拗れた決着なんだが、黄色く染まった秋葉原をビュンビュン飛び回りながらの超常バトルが妙に気持ちよく、スカされた感じはそこまでなかった。
ぶっちゃけ勇者がいいキャラ過ぎて、序盤でチラ見せした後いつ出てくんだと待ち構えていた部分もあって、アイツとの因縁が古代神超えの鍵になる展開は、結構待ってましたなんだよな…。
そういう期待感にちゃんと答える、勇者の好き勝手絶頂は大変良かった。
新宿での一件で、魔王様が人間の強さを理解していなかったら今回の古代神人情攻めはなかったわけで、そういう意味でも”二巻”だから出来るバトルだなー、とは思った。
妙にメタメタしい用語でメルディアの異能見破ってるのに、純魔力があんま仕事せず精神攻撃と魂魄分断魔剣でフィニッシュするところとか、このお話らしいガバさではあるのだが、まぁもはやアバタもエクボ、作品が好きになってしまっているので良いかな…くらいの気持ち。
沸騰した街に水ぶっかけるシーンも、「あれで収まるのかぁ…?」て感じではあるが、収まったんだから良いだろッ!
…こんぐらい、勢いと愛嬌で全てを流してくれる付き合い方出来るアニメ好きよ。
社長を不死炉の薪に投げ込む残虐フィニッシュに比べて、メルディア相手にはキレイなフィナーレになったわけだが、それが緋月を救って日常に帰還する終わり方を巧く導いてて、結構良かったと思う。
俺はゴミカス相手に一切容赦がない魔王様が結構好きなので、そういう顔ももう一回見たかった気持ちはあるが、これはこれでこの話らしいまとめ方だったかなぁと感じる。
「ビルぶっ壊しまくりの超人バトルで、愚か民衆がどんだけ死んだのかな~」とか考えなくもないが、後腐れない愚民っぷりだけ描写して、そういうところ深入りさせない調整してあるの、俺結構好きだよ。
舞台裏で進行するマキナと眼帯黒翼洗脳黒爆シスター(厨二病の数え役満)のバトルは、今後因縁引っ張りそうなマグロへの憎悪をいい感じに増幅もしてくれていて、アキバの事件が終わってなおギルドとやり合う理由を、上手く作ってたなぁって感じ。
明らか応募作に全身全霊を注ぎすぎ、いざ受賞いざ商業出版いざ続編刊行となった時に色々大変になる、ラノベ特有の後付がワチャワチャしているのも、自分的には愛嬌の範囲である。
取って付けたギルドとの因縁が、どういう膨らみ方していくかは結構気になるので、原作買っちゃうかなぁ…。
つーわけで終わってみれば序盤戦のおしとやかな感じは何処へやら、結局超絶バイオレンスで荒々しく未来への道を切り開いた、秋葉原編決着! であります。
終盤の駆け足は褒められたもんじゃないが、数多のセッション体験でおんなじように話の帳尻を合わせ、その慌ただしさも楽しんでいた記憶がある自分としては、新宿編にあった異様なシンクロ率が戻ってくれた感じで、大変良かったです。
客観的に大絶賛とはいかないけども、妙に自分の脳梁にビタっとはまり込む、気持ちの良いアニメであり続けてくれた。
そういうアニメは、やっぱり良いもんだ。
俺だって24分間、心置きなくガハハしたいときもある…。
どっかで見たネタのパッチワーク、サンプリング世代の行き着く先って感じの作風ではあるのだが、そこに漂うジャンクな手応えをこそ求めていた感じもあり、異様な熱量と濃度で展開した新宿編は、特に俺の感性にビタっとハマる仕上がりだった。
サイバーパンクファンタジーで見たい場面がてんこ盛りでやってくる、ご褒美極まる展開には血圧上がりっぱなしだったし、魔王様を筆頭にキャラにあんまヤダ味がなく、シンプルかつ素直に好きになれたのはありがたかった。
マキナも緋月も、モチベーションになるシナリオヒロインの造形は、頑張りたくなる健気さをちゃんと見せてくれたので、気持ちが乗っかりやすかったし。
自分がフィクションで食ってきたメシ、それで形作られた嗜好と感性にあんまりハマりすぎる題材と調理法だったので、客観的に見たらそれどーよ? みたいな雑さも、こっちで勝手に好感度ふりかけて美味しく食べれてしまった感じもある。
あんま褒められた鑑賞法ではないのだろうけども、楽しめちゃった当事者としては大変楽しい時間を過ごさせてもらって、全くもってありがとうという気持ちである。
ジャンクであるほどに、「その善さが理解る俺のアニメなんだッ!」つう感じが強くなるのは、マイナー嗜好なアニオタの悪癖だよなぁ…。
でもしょうがないじゃん、気に入っちゃったんだから!
昨今流行りのスーパークオリティ常時維持、予算と力みでぶん殴って場外までふっとばす感じではけしてない、時折へニャっと折れ曲がるところもあるお話でしたが、要所要所ではいい感じのヴィジュアルを叩きつけ、欲しいところにタマ投げ込んでくれて気持ちが良かったです。
こういう味もまた、僕の好きな”深夜アニメ”なわけで、昔馴染みと気持ちの良い再会ができたような、それでいて新しい喜びが確かにあるような、幸せな視聴をさせてもらいました。
大変面白かったです、ありがとうッ!!