15歳虎の子の三万円は、運命の3本勝負に託された!
ヴィクトリア完全協賛、新米ゴルファーと特別なギアの出会いを描く、空色ユーティリティ第4話である。
コメディとしてのテンポが大変良く、作品の良さが全面に押し出されてくる仕上がりで、凄く面白かったです。
というわけで優しいお姉さんたちに導かれ、すっかりゴルフにズッパまりになった美波。
タイトルにもある自分だけのユーティリティに魅せられ、趣味にブッ込むにはお高い三万の壁をぶち抜き、ユカイなゴルフ店員との勝負を経て、その手に”特別”を掴むまでのエピソードである。
作品の特色である濁りの成さ、透明度の高さが、無邪気に弾んで楽しい回だった。
前回彩花姉さんが仕掛けた勝負と同じく、自分の命金でユーティリティを手に入れる気概を見せた時点で、店長としては値引きは既定路線だったと思う。
おバカ店員引き連れての3本勝負はあくまで余興というか、若き志に燃える同好の士への楽しいエールである。
やっぱ最大6歳差でメイン固め、年齢差を活かしてキャラを描こうという試みが良く効いてて、美波が気付けない大人の遊び心と優しさが、彼女のゴルフライフを包んでいる様子が作品を支えている。
「こういうユーモアと余裕に満ちた趣味だってんなら、”ゴルフ”はそらー楽しいだろう」と思える描き方を頑張っているのは、テーマに選んだ競技への経緯があってとても好きだ。
やっぱスコアや勝負に汲々としない…あるいは勝負をしてもどっかそれだけが目的にならない余裕と笑いがあることで、アマチュア初心者が”ゴルフ”を日常にしていく手触りが、凄く伝わりやすい形で削り出されていると思う。
まーバキバキの勝負論で話し転がしていくのは、先行作品が既にやっている領域だし、棲み分けつつ自分の強みを活かす描き方になっているのは、大変いい。
いっつもテンパりながら必死に活きてる美波の後輩力が高く、見守り支えてあげたくなる可愛げに満ちてるのも、お姉さんたちの先輩力を際立たせていて素晴らしい。
高1-高3-大3…異形のトライアングルだが、やはり”ある”なヤラれてみると…。




というわけで、ホビーネタなら必ずやらにゃならんガジェット回は、高校一年生の経済感覚をビリビリ震わせつつ、思い悩めばこその真摯な決断と、自力で掴んだからこその充実を上手く描く。
やっぱ美波の百面相が元気で可愛いのが、作品の大きな魅力だ。
彼女が色んな崩れ方でかき回してくれるから、”ゴルフ”がある日常を積み上げていく穏やかな物語に活気が生まれて、なんか楽しい感じになってくる。
この嬉しい感じがキャラへの好感、それを通して作品への期待感にもなっていって、良いサイクルが回ってんなって感じ。
おもしれーな”空色ユーティリティ”!
ワーワー騒ぎつつもクリティカルな場面ではしっかり腰を落ち着けて、自分の特別だと思えるクラブとの出会いとか、懊悩を超えて背中を押してもらったときの特別とか、ようやく手に入れた相棒が愛しくて一緒に寝ちゃう可愛げとか、しっかり切り取ってくれた。
こういう要の演出を丁寧にやってくれることで、美波なり必死にあがいてゴルフを楽しみ、多くはない財布から身銭を切って趣味に費やす意味と価値も、より鮮明になる。
そしてコミカルで元気な場面の仕上がりが良いことで、肩肘張った真面目さだけでなく、心からの喜びで”ゴルフ”と付き合っている様子も伝わってくるのだ。
今回はヴィクトリアの三バカが大変いい感じに仕事してくれて、とにかくコメディとして面白かった。
地味にドライバー勝負で飛距離を見せることで、遥が国内トップクラスの女子ゴルファーだと解ったりもしたけど、ヤリスギ感溢れるオモシロ人間たちが異様なテンションとキャラの濃さで、平和な勝負を仕掛けてくるのは心底ユカイだ。
あの場面が面白いから、理屈蹴っ飛ばして「ゴルフって良いもんなんだろうなぁ…」と思えてしまえるの、”笑い”というものの暴力性を痛感させられる。
こういう底の抜けた、無邪気でスカッとする笑いが作れるのは凄く良いなー、と思う。
全体的に品が良いアニメだよね…好きだなぁ。
あと3万で死ぬほど思い悩む高校一年生と、サラッと足りない分を差し出そうとするお姉さんチームの金銭感覚の差を描くことで、ちょっと年の離れた三人のズレを書いてたのも良かった。
この差異って不快なもんじゃなく、むしろ若いからこその必死さを微笑ましく見守り、お姉さんたちの頼りがいでテンパリ主人公を支える、いい関係の足場そのもので。
これを”銭”という極めて生々しい、だからこそ大事なモノを通じて描くことで、凄く身近で愛しい手触りが生まれていた。
やっぱ美波の可愛い余裕のなさ、頭の中パッツンパッツンだからこそ常時全力な若さの描き方は、この作品の心臓なんだろうなぁ…。
国内トップクラスに安定して飛ばすスーパープレイヤーが、ド素人相手に膝曲げて親身に付き合ってくれることの特別さ(あるいは異常さ)にも、全然気づいてないけども、そこで実力関係なく平らに付き合える「趣味としてのゴルフの良さ」をこそ、書きたい作品なんだと思う。
遥お姉さんがこんだけの実力持っていながら競技シーンに顔出してない理由は、終盤シリアスに明かされるんじゃないかなぁと考えてます。
そんな美波の本気を、”ゴルフ”から距離を起きつつも見守り、背中を押してくれる存在が学校にいる心地よさも、泉美との語らいを通じてしっかり描かれていた。
ヴィクトリアの3バカもそうだけど、色んな世代が美波の一生懸命を見守って、優しく触れ合ってくれてる広がりが良い。
ゴルフという新しい趣味を始めたからって親友と距離が開くわけではなく、むしろ夢中になれる何かを見つけた奇跡を寿ぎつつ、より繋がりが強くなっていくのは、凄く良かった。
ここの距離感も過剰にベタつかず、爽やかで青い風が吹いてるわけで、この清涼感が強みだと思う。
まぁ前回Bパートみたいな湿度も、出そうと思えば出せるわけだがッ!
美波の主観からするとユーティリティを巡る今回の冒険、本気で必死なものなんだけども。
全体を俯瞰するとコミカルで可愛い青春の1ページであり、”ゴルフ”を通じて出会った人たちのユーモアと優しさを、力強く感じられる日常でもある。
視野が狭く一生懸命だからこそチャーミングな主役の主観と、それを見守り元気をもらっている周囲の客観が、バランス良くスケッチされているところが、この作品の良さなのかと思う回でした。
多分美波の力んだ視点だけで進んでいると、ちょっと暑苦しく息苦しい作品になっていたと思う。
やっぱお姉さん達が末っ子に構うパワーは、全てを正しい場所へと運んでくれるな…。
というわけで、大変良いタイトル回収回でした。
身銭を切り勝負に勝ち、ようやく手に入れた自分だけの特別なギア。
美波のユーティリティが一体どんな未来を切り開いてくれるのか、今後の活かし方も楽しみになる描き方で、大変良かったと思います。
やっぱこういう趣味の物語は、なんか特別なアイテムが存在感得るとグッと面白くなってくるので、彼女だけの聖剣を手に入れたことが勇者美波の冒険に、華を添えてくれると嬉しい。
そんな初心者を見守る人たちの優しさもたっぷり味わって、まだまだ幸せゴルフ紀行は続く。
作品独自の魅力もバンバン出てきて、次回もとっても楽しみです!!