イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

LAZARUS ラザロ:第1話『GOODBYE CRUEL WORLD』感想ツイートまとめ

 世界の渡辺信一郎が新たに描く、スタイリッシュSF黙示録。
 LAZARUS ラザロ 第1話を見る。

 いやー…めっちゃ気持ちよかった…。
 鎮痛された享楽の未来に突如訪れた、悪魔に変じた天使の黙示。
 挑むのは五人のスペシャリスト…という初期設定の時点でめっちゃ気持ちいいのに、バキバキに仕上がった未来都市の風景を、ひたすら軽やかに舞い続ける脱獄犯のアクションが延々脳髄を殴ってきて、大変気持ちよかった。
 やってることはラスボスと主役チームの顔見世だけなんだが、小粋なセリフもイカすBGMもキャラの顔が見えるアクションも、全てが濃厚で大満足。
 解んないのによく伝わる、素晴らしいスタートだった。

 

 何しろ主役チームがキリストによって蘇った男の名を関し、世界を殺す鎮痛剤はハワイ語で「命湧く泉/黄泉」を意味するという、濃厚に死と再生を睨んだこのお話。
 あらゆる痛みを忘れられるはずの毒薬で、全人類一ヶ月でぶっ殺し計画をぶち上げた元救世主が、何を求めてそんな事をしたのか。
 888年の刑期で繋がれた男が、社会的に殺されていた理由はなんなのか。
 見えないものは山程あるが、それはおいおい解ること。
 今は脳髄を揺さぶる動きと音の気持ちよさ、スタイリッシュな街を堪能してくれ! と、初手からたっぷりサービスしてもらった。
 難しいことはまぁ、作品浴びていく内に解るだろうさ…。

 むしろ積極的に浴びたい知りたい溺れたいと、思わされるパワーが追いかけっこしてるだけの第1話にしっかりあるので、マジで花丸でした。
 こんだけガッツリキメられると、説明不足は謎めいた魅力に、ワケのわかんなさは何かが起こる期待感に変換されるわけで、「とりあえず映像と音楽で殴る」という、極めてアニメ的な戦い方は大正解だったと思う。
 ドラマとして大きいことは起きてないけど、どういう世界でどういう奴らが走り回るのか、作品の空気はたっぷりと浴びれた。
 ドローン、街を覆う監視システム、インジケーター付きのリボルバー
 煤けた現実味にSFテイスト(つまりはもはや同時代感)を宿す見せ方が良い。

 ラザロ構成員がどんな事情で世界救済ミッションに挑むのかとか、その内側に何を秘めてるのかとかは全然解んないが、それは運命に捕まったアクセルが仲間に馴染むうち、描かれるのだろう。
 内面は語られずとも、クレバーなリーダー、ドローンリガー、銃使いにハッカーと、チームとしての”機能”はアクションの中しっかり見えていて、そういうプロとしての仕事っぷりの裏に、小さくキャラクター性が既に瞬いてもいる。
 ベチャベチャ自分の事情をがなるより、まず腕前を見せる語り口が、プロが頭寄せ集めて難事に挑む、ミッション攻略物語としての切れ味を語ってもいた。
 ここら辺のクールな伝え方自体が、一つの雰囲気を作ってるわね。

 

 

 

 

 

画像は”LAZARUS ラザロ”第1話より引用

 アメリカを侵すオピオイド禍を露骨に睨んだ、奇跡の鎮痛剤による偽りの救済と、それが反転した黙示。
 「私は神様じゃない」とかほざきつつ、どう見ても偽キリストか神様な超天才の犯行声明に、誰かが親指を立てたところから物語は始まる。

 と言っても残りのパートは、卓越したパルクールアクションでもって徹底して自由に舞い、飛び、悪徳のバビロンを縛り付ける重力にも、自分を追いかけるドローン・テクノロジーにも支配されない男の、軽やかな歩みを延々追い続けるわけだが。
 こんだけ露骨に薬害黙示録やる話の舞台が「バビロニア・シティ」…たまらんねマジ!

 

 アクセルは銃を握り自分を追跡し拘束する権力に抗いつつ、人を撃たない。
 奪った銃は脱出ルートを切り開くための鍵となり、ヘラヘラ軽薄な笑みを浮かべたままとにかく自由に、ためらいなく飛ぶ。
 一歩間違えば奈落に真っ逆さまな危うい飛翔を、全く気にかけた様子もないキレた生き方は、降って湧いた薬害黙示にワーワー騒ぐ世間を足元に置き去り、全く軽やかだ。

 …刑務所でもハプナは人気って描写があったが、アクセルが死に至る夢幻を服用してるのかしてないのかは、結構大事なポイントなんだろうな。
 それは彼が打ち消したい痛みが、過去に横たわっているか否かでも、変わってくるだろうし。

 

 アクセルがなんでとっ捕まってるのか、細かい罪状は現状さっぱり解んない。
 解るのは彼が世界を縛る不自由からとても自由で、そういう在り方を世界は許さない、ということだ。
 んじゃあこの世界のスタンダードはどんな色合いをしているかと言うと、痛みを忘れさせてくれる魔法の薬に夢中になって、それがひっくり返ると政治も経済も大混乱の、超忘却社会である。
 世界の命運を握る鍵が”鎮痛剤”なの、ほんと面白いなぁと思う。
 それが社会の真ん中に座っちゃうくらい、忘れたい痛みに満ちてたってことだもんねぇ…。
 しかもそれを覆い隠す奇跡は、死に至る毒に変じたわけで…ふーむ、どう転がっていくかな?

 一話通して描かれるアクションの中で、アクセルはとにかく迷わず、怯えず、軽やかに自分を追う秩序を撹乱していく。
 フツーなら足を止めてしまう高い場所も、指名手配の知らせも、軽やかな足取りと話術で…そして盗みをためらわないアウトローの精神性で、ピョンピョン飛び超えて、どっかへ進み出してしまう。
 街を覆う監視網も、ヴーヴー唸りながら追いかけてくる機械の猟犬も、近未来的なシステムは彼を掴まえ得ない。
 主役が誰も殺さず凄みを見せつけるスタートで、大変気持ちよかった。
 アクセルは街を相手取ってなお、シリアスな痛みにうずくまることがない男なわけだ。

 

 

 

 

画像は”LAZARUS ラザロ”第1話より引用

 そしてそういう男を追い詰め、想定外の切り抜けられ方をされても色仕掛けとスタンガンでキッチリ掴まえられる腕前が、彼とチームになる連中にはある。
 刑務所も街も世界の全部も止め得れなかったアクセルを、前衛とバックアップが緻密に連携したチームワークで仕留める、ラザロの凄みも見れる追いかけっこだったのは良かった。
 やっぱこういう話の主役貼るのは、気の利いた減らず口が上手い凄腕であってほしいからさぁ~~~(ニューロエイジ汁で、脳髄がビタビタな人間)
 ああ、遠景もビシバシに決まってて最高だ…第1話から鳩も飛ぶしね!

 古川慎の声も甘いダグの神経質な優秀さとか、チームの車から専用ドローン出してくるシーケンスとか、色々ビリビリ来る部分も多いわけだが。
 街を相手取って引けを取らないツワモノが、クリスの色仕掛けにはころっと間合いを詰められ、自撮りと同時の電撃で一発KOされるの、ちょっと”久米の仙人”な面白さがあってよかった。
 刑務所も官憲も止められない男が唯一、地面に落ちて繋がれる理由が”女”なのかは、やっぱアクセルの過去を見ないと解んないけども、彼もまた完全に重力から自由というわけではなく、囚われるべき何かをもっているわけだ。
 それを探っていくのも、30日間の世界救済ミッションの醍醐味…かな?

 

 寂れた床屋がミッションルームになる、超ゴキゲンなアジトに集って、五人が何を追っていくのか。
 今後がとても楽しみになる、大変素晴らしいスタートでした。

 ぶっちゃけほとんどなんも解ってないんだが、主役がとにかく自由であり、それを縛る特権がチームにしかないこと(チームにはあること)だけ分かれば、プロが雁首揃えて難題に挑む話としては上々な気もする。
 それが言語での説明を飛び越え、とんでもなく気持ちいい”アニメ”で描かれていく事を、しっかり約束もしてくれたしね。
 やっぱこういう、原始の悦楽を全身で浴びてーからこのアニメ見たわけでさ…欲しいモンバッチリ食べれて、大変満足です。

 

 そういうシンプルな面白さでガッツリ掴みつつ、露骨なSF黙示録味だったり「痛みを忘れること」への視線だったり、ただ気持ちいいだけで終わらせないコクも、既にプンプン匂っている。
 ブラジル・ナイジェリア・ロシア・カナダ・香港と、国際色豊かなチームがNSAに使役されてるっていう、ラザロチームの構成自体が相当香ばしいもんなぁ…。

 ここら辺はメインキャラの内側が見えてきて、チームの関係性が構築されていく中で更にハッキリしてくると思うので、こっち方面も大変に期待です。
 俺のオタク細胞を構成する大事な要素が、新たにリバイバルされてる手触りもあって、どんな物語が展開されていくのか…とっても楽しみです!

 

 

 あと林明美デザインのあんま影付けないパキッとしたキャラが、最高に仕上がったゴミ溜めシティを軽やかに駆け抜けていくMAPPAのアニメ過ぎて、そろそろ”BANANA FISH”欠乏症で死にそうだった身体にも、良い栄養がいきわたった。
 ラザロチームの若者二人が、どういう事情でヤバい橋渡ることになってるか…アーバン・ジュブナイルとしての仕上がりにも期待していきたい。