サイレント・ウィッチ 第1話を見る。
自分は正直いわゆる”なろう系”の分解酵素が少ない人間なのだが、テザーに惹かれるものを感じて見始めた。
金崎”総監督・総監督・構成・脚本・音響監督・絵コンテ”貴臣のテイストが全面に出たスタートで、ギャグにバトルに人間ドラマに、多彩な面白さを五組のリッチな作画で堪能できそうな、期待感に溢れたスタート。
話しとしては本番前の助走、座組と雰囲気の説明でしかないのだが、描写する場面選択の巧さ、それを一個一個ちゃんと磨く手際の良さで、しっかりワクワク出来る力があるのが素晴らしい。
やっぱ初手でしっかり殴りつけて、挨拶してくれるアニメが好きだ…。
話全体の匂いとしては「後藤ひとりが魔法使いだったら…」みたいな感じで、極限的コミュ障ゆえに無詠唱魔法を生み出してしまった天才が、流されて歳不相応な学園潜入任務に挑む…みたいな感じ。
最初に個人での龍滅をしっかりやって、主役がどんだけスゲーやつなのか(あと性格に難があっても、ちゃんと人を助けてる偉さ)を示してくれたので、俺tueeeなれどあんまヤダ味はなかった。
ここら辺、今後の学園編でどういう持ち上げられ方をして、どういう危機に向き合っていくかで、また味が変わってくるとは思う。
単機での龍災害対処をなしうる超人なので、そらーワッショイされてる様子は見たいよ…。
隠居先のひなびた空気といい、モニカが守った伯爵領の壮大な美術といい、ハイファンタジーを受け止める器たる世界の描写がしっかりしてて、「リッチで美麗な異世界食いてぇ~~」つう願望に答えてくれそうなのは、大変良かった。
自分はそこら辺の供給を主目的にファンタジーを食べるので、人間に過剰にフォーカスした感じではなく、適度にカメラを引いて世界を見せてくれるバランスで漕ぎ出したのは、大変いい。
学園編に入ってどういう距離感になってくるかは解らないけど、学校という”場”が持っている独自の空気感も、ゴージャスに伝えてくれたら嬉しい。
そういう張り詰めた凄みだけでなく、金崎総監督のセンスと呼吸が気持ちよく生み出すコメディが、程よく雰囲気を緩め、キャラクターの可愛げを伝えてもくれる。
モニカのキョドり加減がともすればアクが出過ぎてしまう素材だと思うが、程よく可愛く面白く見せてくれたことで、個性の一つとして受け入れることが出来た。
ここで拒絶反応が出ると、もー差気見るのは無理になってしまうので、主人公がオモシレー女に思えるのはありがたい。
今後キョドってる場合じゃない修羅場に飛び込んだ時、どういうカッコよさがキモさの奥から飛び出してくるか…ギャップの効かせ方が一つの眼目かな?
あと悪役令嬢を演じてモニカをサポートするイザベルちゃんが、メッチャいい子で元気で可愛くて最高だった。
こういう面白みのあるフォローが隣についてくれると、潜入任務の安定感がダンチだと思うし、明らか摩擦がデカそうな新環境でボッチ主人公が真実孤立する展開も避けれて、大変ナイスな配役だ。
龍災害に領地が滅ぼされようとする時、一歩も引かず務めを果たそうとする気高さが初手で見れたことで、悪役令嬢ごっこに異様な吹き上がり方をしてる異常者の背筋が、初手からしっかり伸びた。
どんだけモニカが人格破綻者だろうと、イザベルちゃんとその故郷を救ってしまった事実は揺るがない。
「でもまぁ、超人で英雄だからなぁ…」と思い返せる足場を第1話から確保しておくことで、今後どんだけモニカが激ヤバ人間っぷりを発揮しても、作品ごと主役を見放さずにすむ。
コミカルなダイナシ感を元気にぶん回しつつ、こういう作品とキャラへの信頼感、それを生み出す強さと気高さへの説得力を初手からしっかり鍛造していくの、手堅くも力強い話運びで安心させてもらった。
周りから持ち上げられるだけの凄みと人格を、さり気なく描いてくれると、今後のワッショイへのシンクロ率がダンチだからな…。
それをさせるべく、龍災害対処という具体的な偉業、それによって救われてしまった少女の崇敬を、しっかり描く。
堅実で流麗な運びだ。
この足場から、第二王子護衛というミッション…多分そこに潜んでいるんだろう謎と謀略を、歳不相応な学園生活の中でどう刻み込んでくるのか。
焦ることなく導入にしっかり一話使い、そのスローテンポに退屈させない素晴らしい仕上がりで殴りつけてくる手際も合わせて、次回以降の本編開始に向け、大きな期待をふくらませることが出来るスタートでした。
魔法のエフェクトが凄く良くて、アリモノのファンタジー感で満足せず独自の魅力を削り出そうという、作品の野心を感じられたのも良かった。
こっからモニカのダメダメな部分、天才な部分を元気に暴れさせて、色んな連中が集う学園を彩っていくのか。
いろんな魅力をハイレベルに引き出してくれそうな予感に、大変ワクワクしております。
次回も楽しみ!!