イマワノキワ

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羅小黒戦記:第3話感想ツイートまとめ

 舞台は深山幽谷を飛び越え、太上老君の待つ仙境へ。
 羅小黒戦記 第3話を見る。

 

 いやー…想定してる三倍くらいのスピードで、話のスケールがゴンゴンデカくなるのでビビるね!
 シャオバイちゃんが全然ファンタジー適性のある子だったり、お兄ちゃんの強キャラオーラが凄いことになってたり、こんだけ事態が動いてもシャオヘイが人間態にならなかったり。
 一週間つうスパンで消化するには多すぎるくらい、色んなことがドンドン起きているわけだが、これ最初の放送では各話の間に相当間が空いてるっぽいからな…次回を待ちわびた温度高いファンにとっては、待ってましたのてんこ盛りって感じか。

 仙道・道教ベースの超人描写って、日本サブカルの異能とはまた違った筆致と前提があって、存外引っかかるものがあるなぁ、とも思う。
 シャオヘイが尻尾分身を色んなところに置いて、ビジューとかおじいちゃんとかに異常が無いよう見張ってたり、ディーティンが当たり前に別の場所に並列存在してたり、日本人の胃だと「おッ!?」と思うような異能がサラッと描かれている。
 そこが独自のスパイス効いてて面白いところなんだが、本国の文化的背景だと説明なく飲み込めるポイントなんだろうか?
 こういう文化ギャップに自発的に橋をかける感覚は、個人的にはとても面白く見応えがあるね。
 手元にある材料かき集めて、「あーなるほどそういう感じね~」ってハラに収めるの、作品の内部においてもその外側にある大きな構造においても、かなり好きな味なんだよな。

 

 もうちょい荒れるかと思っていたディーティンとの接触も、なんかぬぼーっとノンキにまとまってあっという間に老君霊域にご招待され、シャオヘイの天明珠盗みも話し合いで解決できそうな気配。
 …と思ってたら、聖域を侵す賊が出てきて、まーた話の方向性が変わってきて凄い。
 第1話のほのぼの猫ちゃんLOVEアニメから、第2話の神域と隣り合った田舎暮らし、そしてこの第3話で一気に仙境異能バトルへと舵を切っていく大胆な歩幅が、独自のスケールとスピードを感じさせ面白い。

 …俺は第1話のノンビリした空気が相当好きだったので、あの空気感戻ってこねぇかなという気持ちもあるが。
 バチバチ異能アクションやりつつ、笑いを交えて重くなりすぎないよう運んでいく加減は、作品独自のユーモアをちゃんと守ってる感じで好きだ。

 

 かくしてなんか派手な方向に舵を切った物語だが、フツー担当として振り落とされそうなシャオヘイちゃんが、思いの外しぶとく作品にしがみついてて面白かった。
 もっとこー、眼の前で展開される人外の闘いに呆然としても良さそうなポジションなのに、「もう妖精のことは知ってるし、異能があるのは当たり前ですが?」みたいな顔で、しれっと状況に適応してるの愉快過ぎる。
 その癖可愛い動物大好きな、年相応の無垢さは全然削れていないので、すげー独自の味がする。

 でもここでワーワー騒ぎ当惑されても、短い尺をシャープに繋いでいく作品独特のテンポを削ぐだけだと思うので、物わかりが良いのは助かる。
 繰り出される異能の技に置いてかれはしないけど、目の前に広がる脅威の風景にはしっかり感動して、「なんかすげぇ事が起こってる!」感を大事にしてくれているのは、仙境ファンタジーの醍醐味を守ってくれてて好きだ。
 やっぱ異界幻想譚を浴びる時は、想像を超えた景色に包みこまれて、心の底からブルブルしたいのよアタシはッ!
 そういう願望を満足させてくれる、異様で魅力的な風景がたくさん出てきて最高だったね。
 ”旅”したいわけですよ、ファンタジーを食べる時は。

 

 

 

 

 

 

 

画像は”羅小黒戦記”第3話より引用

 というわけで、24分の間に幾度も話の方向性が書き換わっていく、結構忙しいエピソード。
 ビジューを山に返ししんみりしたかと思ったら、ヤバい妖精が襲撃かけてきて、ギャグっぽくまとめてるけど相当ヤバい台風の被害が田舎を襲って、それはさておき老君の待つ霊域へと旅立ち、話がまとまったと思ったら賊が侵入してきた。

 …24分でやる内容じゃないだろやっぱり!
 お兄ちゃんはセクシーな本気目を遂に解放するし、荒くれ者かと思ってたディーティンは思いの外話が通じるし、狼鷲くんたちは不憫可愛いし、かき乱された情緒をどこに持っていくか、キメるのが難しいッ!

 

 一旦深山に返したビジューは、今後波乱が待ってそうな展開の中、シャオバイちゃんを助けに来てくれるのかな~って感じではあるが。
 放送開始以来、「こういう話なのかな?」と見ながら考えていたポイントが、物語のうねりの中でドンドンずらされていく感覚は、翻弄されつつも楽しい。
 「夏休み、少女と不思議な友達との出会いと別れ」にもうちょい時間使うと思い込んでいたんだが、そこは結構サラッと(でも十分なだけの情感を込めて)描き、唐突に始まった仙道バトルも嵐で水入り、ゆるっと老君霊域ツアー開始だからな…。
 作品が乗っかってる文化的土台含めて、先が読み切れない面白さがある。

 ディーティンと彼が背負った使命はもっと張り詰めて話し合いの余地がないものかと思っていたので、ギャグ調に収まっていったのは正直意外だった。
 アクションがキレるのでバトルの本気度も高いのだが、その力み自体を上手くスカして笑いに変え、独特の食感を生んでいる印象。
 ここら辺の滑稽な味わいは、多分本国では凄く一般的なテンポなんだと思うけど、自分としてはあんま馴染みがなくて、だからこそ楽しい。
 過去に摂取してきた大陸アニメを思い出すと、確かにこういう歯ざわりと呼吸で、スルッとスカシて笑い作ってくるんだよなぁ…。
 ここらへんは透明な文法で成立してて、肌感覚で受け取るものなので難しい(だから面白い)

 

 それにしたって、タンクトップに丸眼鏡の農民Aみたいな外見しているくせに、功が成った妖精相手に堂々の立ち回りを見せ、己の中に封じられた霊獣(らしきもの)を暴かずに飄々と闘うお兄ちゃんは、過剰セクシー罪で逮捕されたほうが良い。
 「隠居の身」とか意味深なことフイて、全然底を見せてくれないところが追いかけたくなる魅力満載で、「お、俺が見たかった潘めぐみ声の少年強キャラ…ッ!」て感じよ。

 この不思議な頼りがいがあることで、シャオバイちゃんが異様なバトルの真ん中に巻き込まれても、全然心配せず見れてる部分もあるしね。
 大上段に力まないまんま、保護者力スゲー高いのも高得点っすお兄ちゃん。

 

 

 

 

 

 

 

画像は”羅小黒戦記”第3話より引用

 後半はゆる~っと老君聖域ツアーが開始されて、霊獣の背に乗って空を駆けたり、明らかに物理法則に収まんない広大な仙境を旅したり、大変美味しい味がした。
 シャオバイちゃんが思いの外どっしり構えて、異常状況を丸呑みしてるのが、異郷の旅を楽しむ余裕をこっちにも与えてくれててありがたい。

 想定の五倍くらい、霊的事象に慣れ親しんだお子さんで、第1話の都会的な描写も今思えば、ここら辺のギャップを際立たせるための仕掛けだったのかなぁ…。
 いやまぁ、シリーズ転がしていく内に、結果としてそういう形に収まっただけかも知んないけど、良い落差だなと思う。

 

 シャオバイちゃんが霊的事象に親しんでいるように、老君も30年引きこもり二次元ずっパマリのクソオタクとして、人間社会と距離が近いのは面白かった。
 肝心なところが山ちゃん早送りですっ飛ばされたので、シャオヘイがなんで人間社会に逃げてきて、なんで追われているのかはイマイチ解んないけど、命の取り合いみてーなことにはならないようで一安心。
 いやまぁ霊域に侵攻してきた賊が何企んでるか次第で、いくらでも荒れる盤面ではあるんだが、どんだけ超常的なパワーが出てきても軽妙なコミカルさを忘れず、どっかのどかでノンキな所が、俺は好きなんでね。

 シャオヘイが盗み出した天明珠は、ある意味願う資格を問うための意図した試練っぽくて、盗み出せてしまった時点でシャオヘイはある意味合格…なのだろう。
 ディーティンは持ち前のクソ真面目でそこら辺の機微を無視し、仙道盗人を正しく追いかけてきてこの顛末…って話なんだろうけど、根っこは悪い人じゃなさそうだ。
 出てくる人間全員、この「根っこは悪い人じゃなさそうだ」があるのが、作品独自の味で良いなと思う。
 あるいはこっからの新参者が、そこを濁す悪意や害意、我欲を持ってくるんだとは思うけどさ。

 

 つーか深山や仙境の美しい景色含めて、全体的に鷹揚で穏やかな空気感が漂ってるのが、バトルの下地になってる道教的価値観と作品全体が共鳴している感じで、個人的に面白い。
 まぁ我欲や業に支配された連中も多いけど、おおらかに世の理を受け入れ、荒波にもかき乱されることなくゆったり過ごしていくのが、仙境物語の理想ではあるだろう。

 まだまだ話は始まったばかりなんだけども、スケールの大きなトボケがキャラとドラマに分厚い作りは、そういうお話をやっていくだけの資格がちゃんとあると、作品自体が語っている印象を受けるのだ。
 こういう下地の上に、ポップな英雄譚が塗り重ねられていくのも、独特でオモロイよね。

 

 つうわけで、ほーんと色んなことが起きる回でした。
 次回からは謎の乱入者が盤面をかき乱しそうですが、天明珠を巡る緊張が少し解けたシャオヘイが、どういう活躍をしてくれるかは楽しみです。
 つーか猫形態でミャオミャオ言ってるだけだと、正直バトル濃度を上げていく展開に置いてけぼりにされてる感じもあるので、そろそろ人間形態での大暴れを見たいッ!
 ざーさんの少年声が聞きたい!(こらえきれず、声豚の鳴き声が漏れる)

 そんな欲望を吠えつつ、どんどん流転していく物語。
 こっからどういう空気を生み出し、どこへ飛び出していくか全然読めないからこそ、マジオモシロイと思っています。
 次回も楽しみ!