



高松監督が送る男子版プリキュアっぽい匂いの、ローテンションでありながらトボケまくる独自の味わいが魅力の魔法少年戦隊モノ…の最新作。
舞台を大正時代に移しつつも、全体的なノリは過去作と同じ手触りであり、あんま時代物としてガチっている感じは強くない。
今どきこんなに人工甘味料の味が強い記号論的萌えキャラ、男性向けでも全然食べれない味でゴリゴリ押し込んでくる感じは、自分の舌と妙なマッチングを見せて、安心して食べれた。
このわざとらしく嘘っぽい手触り(褒め言葉)から、どう陰影を付けていくのか。
今後の運び方、崩し方が楽しみである。
話としては男子寮の仲良し五人組が、降って湧いた謎のマスコットに見初められて破滅の未来を回避するべく、ノリと勢いで魔法少年になって日常を守る感じ。
熱血ハイカラクレイジー・青いナルシスト・緑のお母さん・食欲の獣・あざといクソガキと、とりあえず表面的な記号をざっくり描き出した主役チームより、イヤミ垂れ流しにしつつ可愛げが隠せてない、三種の神器な敵チームの方が魅力的な陰影が宿ったかな、とも思う。
ここらへんは駆け足で挨拶を終えて、個別回をやっていくだろう次回以降に彫り込んでいくところだろうし、むしろそのつるんとした人造的な手触りにこそ魅力を感じてもいるので、じっくり付き合っていきたい気持ちだ。
すごーくわざとらしく”自由”というキータームを擦っていて、謎のマスコットも責任回避混じりにそれを手渡して、決断の重さをひっそり主役に手渡していた。
わざわざ大正時代を舞台に、未来改変をヒーロー物としての外部フレームに選んでいるのも、封建時代の気風を残す不自由を活かしたいからだと思う。
バンカラ少年団(頑張ってトゲトゲしてて可愛い)が規律を重視するのも、超分かりやすく主役サイドの自由との対比だと思うのだが、なーんで地球征服を狙うのか、現状さっぱり見えていないのでここらへんも次回以降か。
どういう掘り下げ方になるにせよ、程よくゆるく気楽な感じにはなりそうで、そのヌルさが心地よくもある。
ここらへん、クドいくらいに”愛”を全面に押し出していた過去作とちょっと違った味で、さてどうなるか……楽しみだ。
この気持ちが良い微温は、男ばっかが画面を埋め尽くす作風にも漂っている。
今回も風呂ノルマ健在、変身シーンは容赦なく裸エプロンと、美少年の裸身にはネチッこい欲望を燃やしつつ、そんな身体を持った少年たちの距離感はどっか近すぎ触りすぎな、男臭さを抜いた匂いでまとめられている。
内面に刻み込まれた溝が全然見えない、プラスティックな少年たちが程よい嘘くささでガンガンサービスに勤しむ姿には、たまらない人造感があって、個人的に肌に合うキモさである。
男性向け美少女文法を性別反転したうえで適切に微調整し、消費と蕩尽のテーブルに乗っけてる生臭さを、遠くから見つめる快楽…つうか。
僕はおバカ忠臣な乳頭くんと、麻呂眉もあざとい阿蘇くんを現状可愛いと感じるけど、そこに宿る感情はある意味脳内の乙女エミュレーター越しというか、真実作品が射抜こうとしているメイン層にはなり得ない。
そういう”乙女宮廷の道化師”でしかないポジションと、この何もかもが皮相で良く計算されていて、人造的な手触りが共鳴し、不思議な居心地良さが生まれているのかもしれない。
あえてペラッペラにお約束に乗っかって進むことで、異様な圧縮率とテンポ感が生まれている職人芸の巧みさも含めて、浴びて楽しく潜って面白い、異文化の中に己を探す体験を、多分僕は求めている。
そういう安全圏からの消費は、やっぱ卑怯だよなぁ…。
地球征服もその防衛も、シリアスになりきらないテキトーな緩さでまとめ上げられ、程よいサービスと心地よい仲良しさ・人の良さに包まれた、アーティフィシャルな視聴体験。
こっからどの程度、胸キュンな人工甘味料をドバドバ注ぎ込み、それで受け止めきれないシリアスな熱を、ドラマの中に描くのか。
僕はTV一作目と二作目だけを見てた視聴者だが、シリーズが描く/求められる空気感の遵守と逸脱と合わせて、そこら辺の揺れ方を見届けたい気分である。
ずーっと温泉的微温で走ってても、急に耐え難く熱くなっても、どっちも面白いなぁ…とは感じている。
ドラマとキャラに真摯なら、作り込んだ人造感は自然ほころぶもんだしね…
むしろそのほころびこそが、プラスティックな質感だからこそ求められる欲望を効率よく反射できる、”アイドル”としての美少年たちに体温を宿していくのだろう。
既に蛮華羅新鋭隊はいい感じの”ほつれ”を見せてきてて、斜に構えた離人的視座とはまた別の、生っぽい愛着を引き寄せてくれてもいる。
何本作品を食べても自分のホームグランドとはなり得ない異郷で、そういう実感を手捻りしていくのは結構好きで、一個一個好きになれるポイントを見つけていく視聴も、幸せなものだと思う。
そしてそうさせてくれそうな予感は、この第一話にしっかりあった。
とても良いことだと思う。
というわけで、ゆる~っと心地よくて、だからこそ表層的で、その全部が不思議と心地よい、シリーズ四作目の第1話でした。
画面の向こうの欲望に、誠実に奉仕し続ける自分のない透明さが、今後どう濁って自分を作っていくのか。
珍妙に見えて最早一つのジャンルを形成しているからこそ、この時代に復活を果たした魔法美少年たちの戦いが、一体どんな軌跡を描くのか。
本家が”Dancing☆Starプリキュア”やっとる時代に、どういう一撃を叩き込んでくるかを楽しみにしながら、来週を待ちたいと思います。
ほーんと、なんで大正なんだろうなぁ?