天才魔術師、人間関係のるつぼにて大いに迷う!
遂に学園編スタートな、サイレント・ウィッチ第2話である。
大変良かった。
おハイソな方々が集う学園の美術も大変リッチで、眼福眼福と風景を楽しみつつ、メインは才能凄いけど人間ダメダメな天才魔女のキャラ描写。
見知らぬ人たちの只中に投げ込まれてみると、モニカはマジでダメダメな専門バカであり、「このビクビク小動物に、護衛だの調査だの務まんの…?」という感じが凄い。
しかしかわいいかわいいイザベルちゃんを筆頭に、色んな人がダメダメな彼女に手を差し伸べ、才能だけで栄光を掴んでしまった未熟な女の子は、一歩ずつ人生を歩き直していく。
美術とならんで歪な才覚が幼くして発現しやすい、数学というジャンルを主人公の強みに背負わせているのも、対人関係ぶっ壊れな人間としての弱さと、無詠唱魔術によって国防兵器に成り上がった才能の歪さを、際立たせる造形なのかなと感じた。
なんかお父さんとの過去に相当暗いものがあった結果、現在のビクビク人格が形成された感じもあり、見ててまどろっこしいダメダメ学園生活は、彼女なりの人間学校再入学なのだろう。
「ぶっ壊れた天才が普通人のする生活なるものに飛び込み、色々問題を引き起こしつつ自分を見つけ得直していく」つうフレームは、ちょっと”グッド・ウィル・ハンティング”を思い出すね。
前回は空を埋め尽くす竜種を単機で殲滅しうる、モニカの凄さにフォーカスされて話が始まったが、今回はその影にある一人間としてのダメっぷりを、コミカル&チャーミングに追いかける感じだった。
護衛のはずが犯人候補、コミュ障極まってドツボにはまっていくダメダメ加減だが、ちゃんと無詠唱魔術で人を守っていたり、ダメ加減を優しく受け止めてくれる人がたくさんいると描いたり、ストレスコントロールはやはり精妙だった。
ここらへんは可愛げと笑いをどう作るか、練達の手腕が最大限生きており、「笑っちゃったし、まぁコイツを見守っていくか…」みたいな気持ちに、自然と導かれる描き方でしたね。
コメディとヒューマンドラマの両輪がガッチリ噛み合い、落ち着いた滑り出しなのにトルクがある手応えを感じられるのは、背筋が分厚いアニメだなぁと思う。
俺、背筋が分厚いアニメ大好き。




ホントモニカの周りには既に色んな人たちが手を差し伸べていて、オズオズビビりつつも、天才主人公は意を決してそこに手を伸ばし、今まで手に入らなかったものを掴み取っていく。
コミカルにダメダメ人間の奮戦を描きつつ、父が死んで以来止まっていた一少女としての時間が、ラナちゃんとの出会いで動き出した様子を”髪型”で削り出してきたのとか、大変良かった。
成り上がりな彼女が”最初の友達”枠に滑り込むことで、学園を覆うヤダ味もよく見えるし、それに傷ついてるけど新入生に優しいラナの人格も鮮明になるわけでね…。
第二王子の気品ある悠然(木の実を返す時、ハンカチ引いてるのがキュンでした)とか、黒猫使い魔くんの無邪気な面倒見とか、モニカのダメダメを受け止め苦みを濾し取る、周囲の人達の多彩な成熟が良く見える回だった。
これで周りもダメダメだとエグみ濃かったと思うけど、オモシロヤバ要素は主役に集めて、その周辺を優しい人格者で固めて安定させるバランスは、とてもいいと思う。
その上でモニカが他人の優しさを蕩尽するだけでなく、頑張って思いを伝え返したり、得意の無詠唱魔術で誰かを守ったり、なにか出来るキャラだとちゃんと描いているのが、見続けるための足場として頼もしい。
頑張って悪役令嬢を演じきり、大恩あるお姉様のハッピー学園ライフのために色々頑張ってくれるイザベルちゃんも、相変わらず健気で可愛いしなぁ…。
彼女が信奉者兼悪役令嬢(偽)ポジションに入ることで、「よくあるイビリは、この話だとあんまやんねーから! むしろネタにすっから!!」というサインが出てて、心地よく展開を予測できるのとか巧いなぁ、と思う。
想像以上にマジでモニカがダメダメなので、彼女の難多き人生やり直しを助けてくれるヘルパーは、何人いてもいいしな…。
そういう助けに報いようと、ダメダメな自分を変えるべく足掻く様子も美味しい。
どーも家庭環境が相当に悲惨っぽく、そこから才能だけで国家所有の魔導兵器にのし上がっていったプレ・ストーリー、まぁまぁ凄惨なんじゃないかと思うけど。
ここらへんは黒猫使い魔ネロくんが、素の自分を晒せる家族になってくれてるおかげで、巧く笑える感じにもなってた。
親父さんへの思慕がこじれて、数字に呪われたクソナードになっちゃった感じもあるけど、今後この数字感覚が何かを解き明かす鍵になるだろうって予感は、話が第二王子襲撃犯を巡るミステリに舵を切ってきて、より強まった。
数字への執着を活かし謎を解いていくことは、愛する親父さんへの供養にもなるわけで、面白い筋道だと思う。
「なかなか乗り越えられないダメダメな性根にふさわしく、因果応報で疑いをかけられた」つう、ギャフンなコミカルを巧く推進力に変えて、あれよあれよという間に主役がミステリの中心に押し出されていく回でもあった。
謎を解かなきゃ疑われっぱなしの容疑者兼探偵ポジションは、無理なく解くべき謎に接近できる立ち位置なわけで、ここに立たないと主役が謎解きに飛び込めない。
第二王子のハンサムな造形を、シンデレラ・ロマンスの芳香を軽やかに振りまきつつしっかり伝えながら、そういう場所に主役を引っ張っていったの、大変いい手際だった。
黄金比の肉体をヒントに闇夜の人影を言い当てるちょっとした謎解きで、モニカの探偵としての資質(そして興味領域に差し掛かった瞬間、全てのブレーキがぶっ壊れるナード気質)も見えたしね。
王子を狙う暗い影がどんなもんかは、今後探っていく大きな謎として。
そこに至るまでの道のりを手際よく整えつつ、主役のダメダメっぷりとそれ故の小さな奮戦、それを手助けしてくれる優しい人たちの肖像を、コミカルにスケッチするエピソードでした。
ホント美術と色彩が冴えていて、世界全部がリッチで美しいことで、賑やかで楽しい日常を描きつつも、特別感のあるワクワクな世界がしっかり削り出されていた。
やっぱファンタジー食うならこういう味わいで腹パンパンにしたいので、あらゆる瞬間画面が美麗なのはありがたい。
このハイソで美麗な空気感は、「なんか特別なロマンスが起こっちゃいそう!!?」つう期待と予感も、巧く掻き立ててくれた。
どんなことにも動じない(動じる役はシェリルくんが演ってくれる)王子様の、泰然自若とした大物感…そこに華を添える高貴なハンサムっぷりが、なかなか正統派の胸キュンで大変いいです。
こっから色んなイベントを経て仲が深まってもいいし、既に覚醒している才を武器に色濃いふりちぎって突っ走ってもいいし、なかなか面白い状況だ。
ミステリにロマンスにコメディにジュブナイルに、色んな面白さがある作品だと教えてくれる、とても良い第2話でした。
次回も楽しみ!