サイレント・ウィッチ第3話を見る。
超絶コミュ障天才児の災難は続く! …という感じで、イザベルちゃんがまとった善良フィルター乗っかってないモノホン悪役令嬢が出てきたり、王子暗殺計画第一弾をズパッと推理したり、偏見渦巻く生徒会でちょっとずつ絆を深めたり、意味深な謎の影が長く伸びてきたり、順調に物語が伸びてきた。
モニカの小動物的な可愛さでゴリゴリ押し込みつつ、シリアスで重たい感触をその反対側において、独自のテンポを既に生み出しているのは素晴らしい。
オドオド主人公の異様な頭のキレもしっかり書いて、今後話しが重たくなったときこそ本領発揮! つう予感をちゃんと作ってるのもグッドだ。
予算使い込んだボンボンも植木鉢落とした女の子も、どうやら精神操作系能力者の毒牙にかかった傀儡っぽく、その長い手がシリル副会長にも伸びてる状況。
一見オドオド天才少女が推理に本領発揮、快刀乱麻を立つがごとく活躍しているように見えて、学園を包む大きな謎は未だ輪郭すら掴めていない感じである。
ここにどのタイミングでコミュ障探偵が踏み込んでいくのかっつうサスペンスと、ド内気ながら小さな勇気を振り絞り、クソ差別学級でちょっとずつ人間関係を構築している地道な手触りが、今後どう混ざり合っていくのか。
ミステリとジュブナイルの並走が、なかなかに楽しい語り口である。
チラ見せされている親父さんとの過去もあって、どーもこの世界かなり階級差別が激しいっぽい感じも見えてきた。
僕らが作中であったファースト貴族がかわいいかわいいイザベルちゃんだったので、「まぁ言うても近代人権意識通用するんじゃねえの!?」とか考えていたわけだが、蓋を開けたらナチュラルに庶民差別ブッこむクズがウロウロしてて、なかなかヤな感じである。
となると階級関係なく、人間兵器を抜擢してる七賢人システムが、どういう政治力学で駆動してるかも気になるわけだが…。
”沈黙の魔女”がいなけりゃ、ケルベック伯爵領は更地になっていたわけで、国の上層部に身分差別越えて機能する暴力装置を組める奴が、ちゃんといるんだな。
学生たちがヌルく足引っ張り村してる場所を飛び級でぶっ飛ばし、モニカは暴力行使の最前線に既に立っている。
あの未熟なコミュニケーション能力をフツーに育てるチャンスもなく、強制的に”大人”にされちゃった結果ワーワー泣きわめいてもいるわけだが、同級生が足を取られてるつまんネェ束縛から、特権的に自由になれる立場でもあるわけだ。
一足先に地獄を覗き見している体験が、横領や殺人未遂が横行するハードコアな陰謀の中で、どう生きてくるかも気になっている。
現状小動物的オロオロばっかが目立つが、七賢人としての数学以上の専門領域…戦いと殺しに話が及んだ時に、彼女の眼が”冷える”のを見たいんだよなぁ。
まぁそういうシビアな状況に引きずり込まれなくても、得意の数学と推理を駆使して王子暗殺犯を割り出したり、穴だらけの帳簿を洗ったり、有能さの片鱗は見せている。
これが学園に根深い庶民差別を乗り越え、王子に迫る危機を乗り越える切り札になるのか…てのが、今後の焦点の一つになるだろう。
同時に王子自体もかなり闇深い感じで、まだまだ掘り下げるべきミステリはたっぷりありそう。
政治の荒波に巻き込まれる形で、彼も強制的に”大人”にされてる青年って感じだが、この歪さが二人をより深い共鳴に導いていくのだろうか?
想定していたより政治劇としてのコクがあって、嬉しい不意打ちである。
モニカの親父さんもどーやら貴族主義に殺されてる感じがあって、異能によって強制的に支配者サイドに引き上げられてしまった庶民…つう歪さも、主役は背負っている。
ここら辺今後他キャラとの関係が深まり、過去を吐露する場面があるとより鮮明に見えてきそうだが、主役が背負った伏せ札をどのタイミングで、どういう衝撃力で明かすかも、今後楽しみなところだ。
横領と暗殺未遂を解決したと思ったら、事件の裏にいる黒幕だの王子の背負った影だの主役の過去だの、複数の謎が改めて出てくる手応えは、話が停滞しない感じで大変良い。
その上で”沈黙の魔女”の本領を発揮する、大規模バトルは抑えてっからね…。
シビアな貴族至上主義に阻まれつつ、モニカは小さな勇気を絞り出して友達を作り、ちょっとずつ関係を作っている。
絶大な魔力と推理力に反した、この人間劣等生の頑張りっぷりは話を支える背骨であり、彼女なり頑張ってる様子を見ているのはとても楽しい。
最初から高感度爆裂なイザベルちゃん、出会いから着実に仲良くなってるラナちゃん、ガチの腐れ差別主義者どもと、バラエティ豊かなお友達がドンドン出てくる!
…このナマっぽい差別の構図、初手から叩きつけられてたら結構エグかったと思うので、初手イザベルちゃんで気持ち落ち着けてくれたのは妙手だったなぁ…。
今後謎に踏み込むに連れ、喉の奥で言葉が凍ったままのコミュ障じゃあ切り抜けられない局面も増えてくるだろうし、事件解決への足取りがモニカの人格的成長としっかりシンクロして進んでいきそうなのは、大変良い。
くわえて主役の鬼札・無詠唱魔術が唸る暴力局面まではまだまだ遠いので、いつ伝家の宝刀がぶっ放されて腐れ貴族が”沈黙の魔女”に平伏するのか…ワクワクしながら待てるのも素晴らしい。
色んな面白さを貪欲に盛り込み、それをしっかり表現する演出の多彩さも元気で、大変良いアニメだと思います。
コメディの軽妙さとミステリの重たさを並走させることで、両方が引き立つ作りになってんの凄いね。




というわけでまずは光の演出総ざらい!
ダメダメご主人を健気にサポートする、黒猫ネロくんがとにかく可愛くて良い。
モノホンの差別主義者どもが顔を出したことで、イザベルちゃんの可愛げとありがたみが増したのもグッドだ。
崩し顔でのコメディ演出も含めて、こういう光に満ちて明るい演出があることで、シリアスで重たい雰囲気に作品が押しつぶされず、明暗バランスよく話が転がっているのは素晴らしい。
主人公がずーっとオモシロカワイイのは、作品を強く牽引する武器だなぁホント…。
コメディの糖衣がしっかり主役のネガティブを包んでいることで、カーなりヤバいコミュ障っぷりもシャレになる範囲に収まって、全然食えるわけだしね。
モニカの現状は、拗れた状況でギリギリ自分に悪意を引き寄せて友達を間接的に守るところまでしか行けないわけだが、それは今後もっと大きな声で叫ぶために、必要な段階である。
一人ではどーしょうもない(けど、持ち前の才能で七賢人にのし上がってしまった)気質をちゃんと描いて、その先にある変化と成長を堪能する準備を、しっかりやってくれているのはありがたい。
ここら辺、当代随一のコメディ作家たる金崎総監督の手腕であろうとは思う。
王子が大事だからこそピリピリ尖ってるシリル先輩とも、ギャーギャーやかましい掛け合いの中、関係性を堅実に築き上げている感じがあり、今後が楽しみだ。
同時に黒幕に次の獲物と狙われている犠牲者候補でもあるので、ここで仲良くなっておくと彼が話の渦中に立たされた時、モニカが介入する手応えも変わってくるわけでね。
しっかり日常描写の中、関係性の地ならししておくのは大事だ。
物語の式次第に合わせて、何を描いて何を食わせるかがかなり精妙に計算されていて、コメディもシリアスも程よくテンポよく飛び出してくる話運びが、とにかく巧いアニメだ。
同時に話の都合を表に立たせすぎず、自然な感じでキャラもドラマも調理しているのも素晴らしい。




つーわけで明暗の”暗”の方の演出だが、赤緑のガンギマリ眼を強調し、まだまだ事件は終わっていないことを告げるシーンが印象的だった。
これに飲まれかけている副会長の影が濃いのはよく解るのだが、事件を差配する王子周辺の影がかなり深くて、朗らかでジェントルなのは仮面なのかな…? と思った。
モニカが差別主義に言及する時、瞳にシリアスな影が宿るのと合わせて、どーも王国の階級政治を巡る情勢はずっしり重たそうだ。
この宮廷陰謀劇の深み、チート一発スッキリ解決とはいかなそうな奥行きが、今後どういう解け方をしていくか…楽しみである。
階段を落下する一瞬の間に3つの解法をRun出来る特別性の頭脳とか、現場検証から得た情報と数学知識を活用して真相を暴く手腕とか、モニカの探偵としての技量もよく描かれる回だったが。
そういう尋常の解決では追いつかない、根が深そうな精神操作魔術に抗えるのか!? …つう疑念を、「この探偵はですねぇ…実はそういう魔法比べにこそ強みがある、超絶チート女なんですよ!」と、既に爆破してあるのは面白い構図だ。
となれば事件の裏で呪いが蠢いている構造に、どんだけ早く気づくかで事態解決の頃合いが決まってきそうであるが、さてどうなるか。
うまい具合に揺らしてくれて、大変面白い。
あと音楽室で日笠声のクール女子に出会ったり、意味深ショタが顔見世したり、モニカの新しいお友達候補であり、事件を裏で操る犯人候補でもある生徒会メンバーが、ぞろぞろ飛び出しても来た。
今後ワーワー騒がしく交流していく中で、色々なヒントが飛び出しても来ると思うが、それをどんだけスマートに、印象深く描ききれるかという、ミステリアニメとしての手腕にも期待したい。
今回描かれた明暗のバランス、一個一個のシーンの切れ味を思うと、ここら辺もしっかりやってくれそうではあるね。
コメディにミステリ、政治劇に人格劣等生の学園奮戦記と、色んな楽しさに期待できるのは大変ありがたい。
というわけで王子暗殺未遂を見事に解決し、主人公の探偵としての資質をスカッと提示しつつ、むしろ謎が深まり影が濃くなる第3話でした。
デフォルメを活用したコメディ演出がキレているので、モニカの欠点たるコミュ障っぷりも楽しく飲めて、むしろこっからどういう成長を見せるかワクワク出来ているのは、とても素晴らしい。
生徒会メンバーも続々舞台に上がってきて、今後関係を深めつつ裏を探っていく学園ミステリとしての味も、より鮮明に仕上がってくるでしょう。
個人的には差別を生む社会構造の描写がもっと来ると嬉しいですが、何書いてもオモシレーアニメなので、来週もどんとこいサイレント・ウィッチ!
楽しみです!