イマワノキワ

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陰陽廻天 Re:バース:第8話『必死に生きてる奴を馬鹿にすんじゃねぇ!慟哭の青龍塔』感想ツイートまとめ

 陰陽廻天 Re:バース 第8話を見る。

 

 怒涛のごとくツキミヤさんが自分の秘密をぶっ放し、千年蠱毒の犠牲者として現体制を殴るだけの理由を語った後、幾度目か死ぬエピソード。
 日常系ヒロインとして温度上げる前に、時空転移系ヒロインとしての地金を晒し、そこら辺の難しさを噛みしめるより早く状況が動いて死んでしまって、正直どこに感情乗っけながら見ていけば良いのか、イマイチ判らん。
 ここら辺、一回一回の蠱毒ですり潰される、平安京それ自体の生活感があんま良く見えないので、殺戮のループを脱却しようと体温上げている主人公とシンクロしきれないのと、ちょっと似てるかなと思う。

 やっぱ謎だらけのデカい構造をぶん回すのに汲々としすぎて、見ているものが同作品に愛着を持ち入り込むか、スムーズな導入が作れていない印象がある。
 千年蠱毒もツキミヤさんの事情も、どっか遠い他人事な感じがあって、それが業平くんを突き動かしてる(つまりは物語を推進する)エモーションに乗り切れない乖離を、僕の中に手渡していく。
 ここら辺は「こんだけ謎が乗ったら、こんくらいはその裏側を見せて欲しい」つう自分の欲求と、視点担当人物である業平くんがそこら辺を斟酌し踏み込んでいく歩調のズレと重なる。
 もうちょい落ち着いて、細かいところを聞いて欲しいんだよな…そうさせないためのヤンキー主人公だとは思うが。

 

 例えば月面都市壊滅の直接の原因になった、毒ガスバラマキ人類皆殺し野郎の正体とか、自分としては結構大事かな、と見てて感じる。
 でもそこには拘泥せず「ある女性」で流して、一話でツキミヤさんが死ぬ所まで話は進んでいく。
 ショッキングな真相の開示と新たな謎の提示を繰り返しながら、勢い付けて話が進んでいく構造なので、そういう部分や腰を落とした日常描写に時間は使えない…って話なんだろうけども、僕が欲しいテンポ感とはちょっとズレている。
 そういう真相ドリブンなアップテンポで踊るセンスが、自分にはない…ってことではあろう。
 …俺、このアニメに向いてないのか?(2/3終わって今更の気付き)

 月面未来人ツキミヤさん衝撃の真相も、ここまでの物語の中でもうちょい上手く刺さる伏線置いてくれていれば、良い感じに機能したかなぁという感じである。
 現実・平安京・晴明が見てる管理者視点と、作品を横断するメタレイヤーが既に多数あるなかで、さらに月面未来が追加されるとかなり状況が複雑になる。
 この軸の追加をぶっこむのであれば、それがスルリと見ているものに入ってくるためのギミックが、事前に準備されていても良かったんじゃないかなと思う。
 まぁそうやって準備をしておくと、真相開示のインパクトが弱まることもあるわけで、色々難しいとは思うが。

 

 凄惨な意地の通し合いで被害もバンバン出ているが、それを踏まえて晴明が何のために蠱毒を行い、何を大事にしようとしているかは、未だ見えない。
 まぁラスボスなんだから、その思想なんて最終話Aパートでべらべら喋りゃあ良いとは思うのだが、業平くんが「俺頭悪いんで、何も分かんねぇヤンキー」を押し通すため、全然そういう敵の事情に視線が向かないのは正直フラストレーションである。
 これも考えすぎで足を止めず、直情で状況を進めていくべく主役に添えられた属性だと思うので、業平くんが悪いわけじゃないんだけども。
 …つうかこういうメタ視点で、キャラを腑分け出来てる時点で染みてないな…。

 晴明サイドの人情担当たる葛が、迷いを滲ませながら中ボスやってくれるおかげで、あっちさんにも統治の機械以上の情があり、それ故生命に値段つけてんだなぁ、とは感じられる。
 だからこそ業平くんがぶん殴んなきゃいけない…って構造だとは思うが、さて千年蠱毒は「今を必死に生きてる奴を馬鹿にしてる」んだろうか?
 いやまぁ虫けらみたいに多重世界の人間死んでるので、バカにはしているんだが…それもまた、より大きな生命の入れ物(社会とか世界)を維持するための決断であって、そうしなきゃいけないほど作品世界の状況が悪いんじゃなかろうか。
 晴明が見えてる世界、決断の足場を、あんまチラ見せしてくんないんだよなー…

 

 あるいは「どんだけ最悪だろうが、一個一個の生命と尊厳がどんだけアツい血を宿していて、それを裏切るから清明は悪だ!」つう、近視眼的なロジックで押し切ってくれても良いんだけども。
 そういう実在感や体温というのを、ここまでの話数適切に育めてこれなかったからこそ、今のノリきれなさもあるんだろう。
 ここら辺はこっから加速していくクライマックスで、今更創るものではないので、なかなか難しい。
 そういうモノを感じているからこそ、激情の赴くままに間違った世界に殴りかかってるヤンキーが見てる世界と、僕が見たい”陰陽廻天 Re:バース”がズレちゃってんだろうな。
 主役が可愛く思えない…致命傷だな!

 多分そこら辺の可愛げを稼ぐポイントだったんだろう、中華料理を振る舞い絆を作るシーンとかも、自分にはあんま刺さんなかった。
 そこら辺も相性悪かったって話なんだろうけど、世界の真実を託され、矛盾する理想の衝突の果てにまーたツキミヤさんの死骸を腕に抱いた業平くんが、こっからどこに自分を進めていくかは気になる。
 いやまぁ熱き直情型ヤンキーイズムで、目の前の命を蔑ろにする冷徹な理性全体主義を殴りに行くんだろうけど、晴明の所業に宿る一部の理を殴るだけのロジックを、自分の中(つまりは作品全体。業平くんは”主役”なので)に構築して終われるんかなぁ…。

 

 現状晴明を殴る大義名分は、業平くんを突き動かす激情のヤンキーイズムで動いている。
 難しいことは分かんねぇ、でも身内を殺し命を蔑ろにするこのやり方は間違っている。
 確かにその通りだ。
 しかし殴るべき敵と認識した相手が、それでも抱えている事情を斟酌しない優しくなさが、取りこぼしているものに目を向けないまま突っ走るのは、自分としてはちょっと厳しい。
 業平くんを突き動かし、作品を駆動させている直情ヤンキー主義が、果たして今通用するロジックであるのか、そこに問題はないのか、一回くらい悩んでくれても良かったかな、とは思う。

 多分僕は、ヤンキー批評としての”陰陽廻天 Re:バース”を求めている。
 そうして自省して、作品なりの答えを独自に削り出してくれないと飲めないくらい、馴染のない哲学だって話なのかもしれない。

 

 業平くんの身内主義と晴明の全体主義が対立項として掲げられているけど、実際はその二つ死ぬほど相性がいい最悪のカップルで、救われるべき命を選別する危うさは、実は主役もラスボスもどっかで似通ってんじゃないかな、とも思う。
 ここら辺ストーリーの中で、バチバチぶつかり合いながら掘り下げていって欲しいポイントでもあるんだが、業平くん人の話を聞かないし、自分の生き方に悩むこともあんまないから…。
 とにかく人がよく死ぬ陰惨な話なので、ウジウジ系主人公で足踏みするのを避けたかった感じはあるが…ウジウジしなさすぎるのも、また難しいなとは感じるね。

 まぁ考えたとしても最後は侠気一本、自分が既に信じている身内主義・感情主義を押し切って突っ走ることにはなると思うんだが。
 それでも一回、相容れないように思える相手を自分の中に入れて、噛み砕いた上で「飲めねぇ!」って吐き出すのと、最初から考えないままぶん殴るのは、見てる側の感じ方が大きく変わる気はする。
 業平くんが世界の裏側を覗き込まない人間であることで、制作者側が出したいタイミングで真相が飛び出してきて、都合と具合がいい…てのはあるだろうけど。
 そういう創作物としての機能が透けてしまうと、作中世界を必死に生きている人間としての体温は、どうしても落ちていく。

 

 そこら辺の軋みを感じる、駆け足のヒロイン真相開陳回でした。
 つーか真ツキミヤさんが登場してから死ぬまで、やっぱ速いってッ!!
 もうちょい、自分のクライ側面/本当の顔を出してきたツキミヤさんと交流する場面を噛み締めて、ヒロインのこと好きになりたかった…。

 しかしまぁしゃーない、この急速なBPMがこのアニメのテンポなのだ。
 矢継ぎ早にアクションと衝撃の真相を繰り出していく、急いた展開の中でどう、キャラを突き動かす哲学に重さと手馴染みを宿していくか。
 後半戦の語り口次第かなぁとは思いますが、さてどうなるか。
 次回も楽しみですね。