新たな出会いと広がる世界!
ド濃厚な同行の志を相手取り、新たなコスプレが幕を開ける。
着せ恋アニメ第20話である。
文化祭編ではコスプレ詳しくないクラスメートに、五条くんの凄みを理解らせる方向にカタルシスが作られていたが、今回からは最初っからその良さ、その凄さを解ってる人と向き合う感じで話が進む。
”好き”で表面張力を保った心地よいバブルの中に入っていくわけだが、この作品はあらゆる人が極限的に正しいので、馴れ合いの腐敗力で人格と環境が腐っていくということはない。
趣味はいつでも最善に楽しく、出会いはいつでも心地よい発見をくれて、お互いがお互いを尊重して話は進む。
これが都合のいい人造楽園だって声もあるだろうけど、究極まで純化した世界だからこそ転がせる物語もあるだろうし、五条くんと海夢ちゃんの苦悩それ自体には、一切嘘がないからね…。
ありえないくらい幸運で幸福な出会いの中でも、過去のトラウマは自分を追いかけてくるし、素直に言葉にできない葛藤は胸の中生まれてくる。
お互い敬意と愛情を込めて助け合いながら、そういうモノと取っ組み合いして、昨日の自分よりもっと善くなっていく道のりを、コスプレというレンズを通して描いていくのが、このお話なんだと僕は思っている。
池袋から始まる新たな出会いも、その中の一歩…て認識だ。
文化祭編を通じて刻まれた、クラスという小社会の中で五条くんが認められ、その反射によって自分自身を認めていく、自己肯定の乱反射。
あれはクラスがコスプレに詳しくない、白いキャンバスだからこそ描けた絵だと思っていてる。
ドオタクな海夢ちゃんの暴走する魂をエンジンにして、"好き"の中核へと全力疾走していたお話に、必要で大切な寄り道を、アニメはしっかり描いてくれた。
だからこそ今後よりディープに、コスプレへの”好き”で魂繋いでる人たちのありように切り込んでいく足取りも、改めてその面白さ、力強さを描ける感じがあった。
こういう風に作品世界を切り取る画角を変えて、レンズを濁らせないのは大事よね…。
全身の毛穴から”陽”の気を迸らせている海夢ちゃんは、はじめましてな人にも好印象をぶっ刺し、長く続く関係を色んな人と構築できる。
この天性が内にこもって外に繋がらない、五条くんの”陰”を補って陰陽和合、両親のいない高校一年生に必要な人生の栄養素を、かけがえないパートナーから補ってもらってるわけだが。
今回のエピソードは新たな出会いと同じくらい、ここまでで培った関係が”続いている”ことを書いてて、とても面白かった。
他人を勝手にランク付けせず、出逢う人全員公平に全力なHAPPYで向き合えるの、海夢ちゃんの才能だよなぁ…。
まぁ趣味のおつきあいするにしてもややヤバ感漂う社会人オタクも出てくるわけだが、そういう”業”がチャームポイントになるくらいには、この物語に出てくるコスプレ趣味の人々は朗らかだ。
ぬい活に勤しむ都さんの姿に、「俺だけじゃないんだ…っ!」て五条くんが救われていたり、楽しい撮影からのアフターが新しい合わせに繋がっていったり、喜ばしく前向きな社交が展開されている。
コスプレの細かい技術にクローズアップしつつ、そういうふうに人が繋がる編み針として趣味を肯定する筆が、この作品がメインテーマとして扱っているものの価値を上げている感じがする。
軸足が人間にあり続けているんだよな、やっぱ。




というわけでウキウキの池袋コスイベント…伊藤涼香がヤバいッ!
海夢ちゃんに背負わせるわけには行かないオタクの搾り汁を、優しそうな糸目にありったけねじ込んだようなヤバ言動が乱舞していて、大変に面白い。
この人の笑えるイカれっぷりがいい薪になって、エピソード全体の温度感がグッとアガっている感じは、キャラのいい活かし方だなぁと思う。
アキラさんの謎めいた反応を引っ張って、そこから少し濃い目の影が伸びる分、涼香さん起点でほにゃっと崩した笑いを作っておかないと、空気が濁るしな…。
文化祭編で高校生の初々しい魂をたっぷり味わった後で、社会人オタクのコスれて腐った脳髄を浴びるのは、メリハリ効いててなかなか楽しい。
モラトリアムをはみ出し、生活の摩擦熱で精神を灼かれつつも、趣味を楽しみ金使うことで人生サバイブしとる珍獣…なんだけど、現代にはよくいる人々。
朗らかなヤバ笑いを交えつつ、そういう人たちの生活を作品内に混ぜることで、コスプレという趣味がもつ引力に集った人々の、多彩な色合いがよく映えてる印象だ。
「色んな人がいるなぁ…」という感覚が楽しく鮮明だと、それを一つどころにまとめて出会いと幸せを生み出す、”コスプレ”の値段も自然と上がっていくわけでね…。
同じ趣味で盛り上がれるオモシロ人間どもが、ワイワイガヤガヤ楽しくやってる姿を見ているのは、お話としてとても面白い。
そういう奇人観察の楽しさをしっかり確保しつつ、生っぽい経済感覚や価値観が交流の中にジワッと透けてきて、ただの珍獣ではなく”人間”が目の前にいる感覚を生み出してもいる。
この程よい実在感というか、こっちが望んでない苦いリアルを上手くカットした上で、飲みたい存在感だけを抽出して濾し取る上手さが、やっぱ作品を成り立たせている気がする。
都合のいい楽園を描き切るには、怪物めいた筆力がやっぱりいるんだなぁ。
ここら辺、アニメ化という二枚目のフィルターを通す事で、より鮮明な印象。




ぬいオタクのナチュラルな愛が、鬱屈した感情を抱えてきた青年の人生を救ったりしつつ、話は転がりに転がってジュジュ様再臨次回に続く!
もともと僕はこのアニメの明るく元気なトボケが凄く好きなんだけど、可愛くヤバい涼香さんが起点になって、そういう描写が今回多かったのはとても嬉しい。
置いておくと勝手に場面が面白くなっていくので、メチャクチャ重宝するキャラだと思う。
…制御間違えると、シーン全部自分色に塗るエグさもあるので、実は制御が難しい爆弾でもあるんだが、うまーく使って程よく”味”出してるよなぁ…。
そういう陽気な朗らかの後ろで、アキラさんは謎めいた暗黒オーラをバリバリ発し、出会いの中で解くべき問いかけを投げかけているわけだが…。
ここも必要以上に重くなりすぎず、適切なヒントと違和感を手渡す感じで演出できていて、とても良かった。
五条くんと向き合ってるときはぶっきらぼうながらいい人オーラ出してるアキラさんが、黒い挙動不審をぶっ放す条件は、一体何か。
二期後半戦を引っ張るネタの見せ方も大変ちょうどよくて、このアニメらしい自然な上手さが生きていたと思う。
普通に最高ハッピー合わせするだけでも話にゃなるんだが、ここで一ネタ謎を混ぜているのは、面白い話運びよね…。
そしてまさかまさかのジュジュ様再臨…相変わらず可愛いねッ!
今回生まれた新たな縁も、それで繋がり直すかつての縁も、全部”コスプレ”が繋いでくれた。
幸せを生み出す人の輪を、繋ぎ止める接着剤として趣味を描く物語は、新たな題材を得てもっと元気になっていきます。
ネタが決まると、オタク文化に染まっってない五条くんがそれを咀嚼して自分の栄養にしていく様子も描かれるんだが、その背筋の伸びた受容を見るのが、俺は好きでね…。
そういうところも含めて、ここから本格始動する棺合わせ編、アニメがどう描いてくれるのか、とってもワクワクします。
次回も楽しみ!