NPSG第8回を見る。
天下に誇るTRIGGERの祖業たる”インフェルノコップ”に敬礼ッ!という感じのAパートと、表現規制と歌の力を気合入ったミュージカルでお届けするBパート。
いつも通り落差が激しい感じであった…つうか雨宮哲担当パートは「インフェルノコップ→ニンジャスレイヤーアニメイション→宇宙パトロールルル子→SSSS.GRIDMAN」と続いてきた、TRIGGER脱力系投げっぱなしオリジナル史の最先端であり、アナーキー姉妹が別作品に迷い込んだ、ただの傍観者の立ち位置に置かれていたのが面白かった。
第18話は…最悪な醜言症を素敵な歌でゴリ押ししきった…ように見えて、何を言い何を言うべきじゃないか世間とプラットフォームの意向で決められてしまう時代に、全力で中指突き立てにいった話にも思える。
深いようでいて軽薄で、好き勝手絶頂ぶっこいているようでいて思慮深い、パンスト二期特有の味が濃く出てて面白いなぁ、と思った。
ぶっちゃけ言いたいことのダシにミュージカル要素を使った回だと思うんだけども、歌も見せ方もしっかり仕上げてくれていて、ここをナメずにやり切る気概と体力は頼もしかった。
形式って自動的に実質になるので、そこ軽んじると伝えるべきものも伝わんないコトになるわけで、皮相をこそナメない(あるいは徹底的にナメきる)姿勢は素敵だ。




第16&17話は実質連作…つうか”インパクトコップ”初回&最終回であり、そこにアナーキー姉妹が迷い込んだ感じで進む。
紙人形芝居な動かなさでブラブラ震える新米警官と、なんだかんだキマった絵面でしっかり動き回るパンスト時空の住人が、同じ画面に居続けるシュールさがなかなか凄かった。
BGMにしても動きにしても、パンストはアッパーテンションで元気よく駆け抜けていく印象なので、沈黙と間を活かしてシュールな味を出していく演出は、極めて異質で面白い。
普段はパンストのど真ん中でビッチしたりイイハナシしたりしてる二人が、別の空気感を宿した世界で「お客さん」しているのは、ある意味ノルマのように陽気で(その反動としていい子)してなきゃいけない重責をおろして、プレーンな顔を見せてくれた感じがあった。
何の深みも考察もなく異様な事態がぶっ飛んでいく、投げっぱなしな展開の中で、姉妹は結構楽しそうに見ず知らずの若者を助け、共に笑う。
それは番外編の気楽さゆえに滲み出した、あの子達の素顔(の一つ)なんじゃないかなぁ…と、結構マジに思った。
こういう奥行きが出るので、メタにメタったやりたい放題、面白い効能持ってるねぇ。
そんな姉妹をゲストに迎えた”インパクトコップ”本編は…いや全ッ然分かんねぇ!
インターネット皮肉るにしては全てが即物的だし、巨悪に思えた本部長殺害犯はあっさり惨殺処刑されるし、なんもかんも独自のシニカルな間合いの中で、ぶん投げられ凄い勢いですっ飛んでいく。
軽薄というよりナンセンスな、ヌルリとした話運びはしかし、確かに雨宮哲が時折思い出したようにブッ込む、原点への回帰であった。
このとらえどころのなさも、低劣であっても目鼻が立った話をしっかりやるパンスト二期にあっては異質で、だからこそパンストの中でやってよかったな、と思う。
オムニバス見るならやっぱ、バリエーションに富んでるのが好きだ。




そしてBパートは打って変わっていつもの…いつも以上のFワード飛び交う、元気でメロウなパンスト味。
「お上品な規範の中では存在すら禁じられた言葉が、言葉にならない言葉を音に変えていく」つうテーマだと、”ラ・ラ・ランド”より”英国王のスピーチ”が思い浮かぶ話だな…。
ゲキヤバ単語を歌に乗せてぶっ放しまくるのも、ミュージカルというよりはギャングスタ・ラップの文法な気がして、結構複雑な捻れ方しているエピソードだと思う。(つまり、非常にパンスト二期らしい話でもある。)
ばっつんばっつん舌が千切れ、すけべばし次郎で売り飛ばされるブラックな状況は、ビッチがあるがままビッチであることを天界の権威が禁じ、歌という抜け道を活かして「言う自由」を謳歌する、結構ダイレクトな検閲批判に面白いマスクを乗せる。
これがプラカード掲げて「検閲反対!」ってがなり立てるような話だったら、ダイレクトすぎて面白くもなんともないわけだが、うま~く悪霊の未練をステージに晴らす陽気な退魔譚と重ねて、毒と可愛げが入り混じったパンストらしい味が出ていた。
ここら辺の火力は間違いなく、ハイクオリティな歌唱を大真面目にやり切り、クソみたいな卑語に歌としての力をちゃんと与えた成果だと思う。
同時に魔法めいた歌の力が乗っかると、ビッチの口から垂れ流されるクソみてーな言葉も他人の心を動かす力を得てしまい、大衆は内実よりも外装によって感動するのだ! …みたいな、すげー皮肉なユーモアもあった。
壮大な歌唱となんかいい話風味の味付けで誤魔化されているが、歌ってる内容はマジのマジでド下らないわけで、ひとしきり心震わさせた後「お前の感動、一体どこから来てんの?」と横っ面を張るシニカルさは、このアニメらしくて好きだ。
あるいはこういうシニカルな知性を、二期になって全然隠さなくなってきた…とも言えるか。
そっちのほうが、自分の目には無理してない感じに映るけどね…。
綺麗で意味深なようでいて、落ち着いて中身を掘ればど下らない虚無的。
…なんだけどその軽薄それ自体が、一つの問いかけを秘めているという多元的な構図で、なんかすげぇパンストらしい話だなぁと思った。
すーっかりパンティが引き起こす騒動を楽しむ仲間として、ベロスーツ着込んで踊り狂うデイモン姉妹も合わせて、めっちゃパンストの”今”を感じれるエピソードでした。
そこが刺身のツマになってる、刺身なのかも良く理解らねぇ珍妙作品”インパクトコップ”と合わせて食べることで、なんとも不思議な味がする一話でした。
オムニバスの醍醐味を味わえた感じで、とても良かったです。
次回も楽しみ!