らんま1/2 第15話を見る。
猫飯店本格参入第二弾! つうわけで、女体縛りを受けつつムースとの決着を付け、コロンの導きを受けて火中天津甘栗拳を体得するまでを楽しく描く回。
日常生活を修業の場に変え、思わぬヒントから突破口を見出す流れは”ベスト・キッド”めいてて、「やっぱ師匠役がいると、格闘モノは背筋が伸びるなぁ…」と思った。
果てしない修行の果てに掴み取れる秘拳とかも出てきて、一気にバトルモノとしても陰影が出てくる感じね。
敗北によって地に叩き落されても、それをバネに変えて奮起する展開をやれるので、主役の上に立つメンターって大事。
まぁこの後、八宝菜っていう最悪だけど結果は出す師匠役が待ってんだけども。
どんだけデチューンしたら、令和にお出し出来るんだアイツは…。




というわけで色々ある今回…らんまがいろんな衣装を着てくれて嬉しい!(初手ブタの鳴き声)
男乱馬を封じられたこのエピソード、必然的に女らんまの出番が多くなり、その強みを活かすとなればワードローブを開け放っていろんな衣装を着せて、ワイワイ楽しく華やかに転がしていくことになる。
おっぱいポロンのダイレクトなスケベも頑張ってくれてるけど、そういう油っぽさからちょっと距離を取った素直な可愛さも、やっぱこのお話の魅力だと思う。
つーか猫シャンプー、白にピンクのカラーリングにお目々パッチリで、単純にマスコットとして可愛いな…。
女体ゆえのリーチ不足に悩まされつつ、知略を駆使して男のまんまムースに勝ってしまう、乱馬のトリックスターとしての実力がよく見える回でもある。
コロンに並ぶ強キャラオーラを持つ、東風先生の助力を一回こっきりにしたのは、枷をはめられた状況がコメディとしてもアクションとしても、かなり美味しいと踏んだが故か。
男に戻れない制約があることで、女らんまのキャラとしての魅力、ハンディを武器に変える工夫の面白さが前に出てきて、作品全体がドライヴしている感覚がある。
これは時流を掴みつつある傑作特有のエネルギーであり、このあたりは脂が乗りに乗ってるよね…。
ムースとの戦いは不自由な状況に立ち向かうらんまの知恵と、暗器捨てても結構やれるムースの地力が上手く描かれていて、かなり見応えがあった。
改めて見返すと、このお話がコメディ要素として扱ってる「女であること」って結構難しい要素だな、と感じるけども、心地よい軽妙さで過剰に重くなりすぎないように取り回しているとも思う。
ムースとの戦いにおいて、「女であること」はデバフであり、江戸っ子爺さんのツボで「男になる」ことで勝利を掴むわけだが、一回こっきりにひっくり返すことで、あんまヤダ味がない。
話は女の形のままどう強くなるか、スピードを武器に変える秘拳習得へと舵を切っていく。




曾祖母の企みに横槍を入れるシャンプーが、ひたすら純情に乱馬を愛している姿が印象的である。
初登場時はエキゾチックで危険な異物だった彼女が、レギュラーに定着していく上で「思ってたより話できんじゃん」という感覚は大事で、それを手渡すのがこのエピソードなんだろうなぁ、と思う。
丸薬を巡るドタバタは汗臭い力みが全然なく、日常生活をコミカルな修業の場に変える知恵に満ちていて、凄く肩の力を抜いて楽しめる。
こういう形で、この話なり”格闘”に向き合う姿勢をしっかり描くことで、作品の足場が整っていくなぁ、という感じ。
あとコメディというジャンルを活かして、単純な力比べでは終わらない化かし合い裏のかき合いが軽妙に展開されて、爽やかな軽やかさが元気なのも良いね。
これまで乱馬くんは凡人達が這いつくばる地べたを軽々飛び越え、なんでも飄々とこなせてしまうスタイリッシュな青年だったが、女体に縛られコロンという強者を追いかけるなかで、オバカで泥臭い魅力が際立ってくる。
これを男子の姿でやるとちと汗臭いわけだが、キュートな赤髪おさげがワーワー騒ぎつつ、あかねやシャンプーの助けも借りながら必死に頑張ることで、妙な可愛げがモリモリ立ち上がっていた。
もともと乱馬くんは軽さの奥の真剣さが魅力の青年なわけで、ドタバタ生活修行の中で、あるべき自分に立ち返っている感じもある。
コロンはそういう、弟子が見失ってる真実への回帰を、ちゃんと手渡せる師匠ということだ。
乱馬が男の形だと、彼を巡っていがみ合うことになるあかねとシャンプーにも、女の形に封じられたらんまを助け合うことで、妙に息のあった関係が生まれていく。
この疑似的で歪なシスターフッドは、改めてアニメで見るとなかなかに素敵で、もっと見ていたくなる魅力があった。
シャンプーが初登場時の、異国語しか喋ってくれない女サイボーグだったらこうはなっていないわけで、再登場に合わせてヒロインとしての造形を削り直したことで、作品全体のエッジが立った感じがあるね。
ほーんと今見るとシャンプー最強可愛いすぎて、でもあかねもマジでチャーミングで、「みんな可愛くて選べないよ~」つう贅沢な造形だ。
”格闘”が持つ荒々しさが、ナヨナヨした水気を上手く抜いて、女所帯がカラッと仕上がっているのも良い。
普段は素直になれない乱馬くんの意固地も、巧いこと鳴りを潜めて結構素直で、状況限定ながらとても良い空気が女たちを繋いでくれている。
まぁ話の都合で解体されてしまう空気でもあるのだが、必要ならばまた珍妙な道具なり秘技なりで状況作り直して、ドンドン面白い展開を作り直せるのも、リアリティラインがあいまいなハチャメチャコメディの強みである。
ここら辺、未だ神秘の色合いを残していた「中華」つうモチーフが、話の都合の良いテキトーを持ってくる大きな助けになってくれてる感じもあるな。
というわけで、二度追いつき追い抜いたと思ったら、師匠の大きな背中にぶん投げられ続ける愉快な修行回でした。
こんだけ必死に追いすがっても底が見えない、コロンの強キャラとしての描き方に感心しつつ、額に汗して必死に追いすがることで乱馬の魅力が増しているのが、なかなか面白い。
この泥臭さが、あかねと自然と一緒に歩けてる関係の変化を助けてもいて、キャラとドラマに必要な変化や圧力をしっかり用意して、巧みにコントロールするのは大事だなぁ、とつくづく思う。
男乱馬に戻れない状況を最大限活かして、女らんまのポテンシャルを視聴者に見せつけている話運びでもあるわな。
まだまだコロンに翻弄される展開からは、このシチュエーションから絞り出せるだけ、物語の出汁をドップリ食べ尽くそうって気概も感じるわけですが。
実際猫飯店組が登場してから、作品全体が華やかにイキイキしてきてて、お話が覚醒している勢いがエピソードに宿ってると思います。
健気なしおらしさを見せてきたシャンプー、気さくに助けてくれるあかねのありがたみ。
ヒロインたちの魅力もバリバリ輝く中で、必死に修行に励むらんまのことも、ドンドン好きになれるのは、いい話運びだなぁと思います。
そういう原作の強さを、良く動かしてるアニメだって話よね。
次回も楽しみ!