イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

らんま1/2:第17話『格闘出前レース』感想ツイートまとめ

商店街を舞台に展開される、無差別格闘出前レース!
 燃える拳に思いを載せて、絡まる恋の糸の行方やいかに!!
 一話でサックリ完結する歯ざわりも心地よい、らんま1/2第17話である。

 結構話数使って猫飯店組を物語に定着させて、乱馬・あかね・シャンプーの三角関係をドッタンバッタン賑やかに暴れさせる華やかなエピソードが、大変いい演出とともに着弾。
 コンテ・演出・作監を務めた杉本ミッシェル独自の作家性とケレンが、随所に見られる映像となってとても楽しかった。
 凄く”らんま”らしい絵や展開に、時折魅力的な異物感と作家性がずずいと顔を出してきて、本当にちょうどいい塩梅だったな…。

 

 話としてはすーっかり正気を失い二股求愛マシーンと化した久能先輩と、複雑怪奇な三角関係と、無差別格闘出前レースが同時に襲いかかってきて、騒々しいカオスで24分間走り切る感じ。
 …なんだがここに良牙だのムースだの、混ぜたらややこしくなりそうな具材は乗っけず収めてるところが、結構冷静な計算だなぁと思う。
 華やかな衣装も麗しい看板娘三人が、ワーワー騒がしく武を競い合い、いくらぶん殴っても後腐れがない久能先輩をボコボコにしながら、終わらない狂騒を駆け抜けていく。
 エピソードが終わっても関係性に大きな変化はなく、繰り返す日常はまた新しい騒々しさを宿して、永遠に続いていく。

 猫飯店エピを経て、そういう祝祭感がより加速した感じをたっぷりと味わうことが出来る、大変いいエピソードだった。
 あくまで日本的商店街のよくある風景は崩さず、しかし「んなわけねーだろッ!」という特別感は元気に暴れさせ、親しみがありつつスペシャルな”らんま感”みたいなものが、形になってくる頃合い。
 それを象徴するようなエピソードが、アニメーションの大部分を一人が担当した製作形態によって、特別な艶とケレンを与えられて快活な話数だったと思う。
 可愛げとズルさと健気を併せ持つ、シャンプーのヒロイン力を改めて堪能できる話で、ホントキャラが生き生きした話だなぁと感じますね。

 

 猫恐怖症に出前バーリトゥード、現状を認識できない久能先輩の狂気に、結構めんどくさいあかねの悋気。
 たった一つでも相当カオスなのに、複数同時にブチ込んだ結果話は思いも寄らない方向へとどんどん転がり、休まるところがない。
 その忙しなく弾む感じが、いかにも終わらない祝祭という感じを生み出して、「格闘日常ラブコメ」つうジャンルを打ち立てた作品一つの定型が、ここで完成した感じがある。
 勝負の決着も恋の行く末も、蜂の巣つついたような大騒ぎの中で固定されないまま、永遠に転がり続ける。
 素直になってハラ固めちゃえば一瞬で終わるモラトリアムは、しかしタガの外れた世界に狂わされ続け、落ち着く時を知らない

 終わりを知らない夢のような日々は、果たしてどんな色合いをしているのか。
 アクションシーンだけでなくエピソード全体の見せ方に、独自の工夫がたっぷり詰まったいい仕上がりに助けられて、こっから長く続いていく「らんま的な劇空間」の手応えを、しっかり感じることが出来た。
 女の子たちの可愛さとか、アクションシーンの冴えとか、ドタバタな笑いとか。
 色んなサービスを惜しげもなく注ぎ込み、休むことを知らないアップテンポな楽しさが、多彩なキャラと常識はずれのイベントで、矢継ぎ早に襲いかかってくる嬉しさ。
 やっぱそういうテーマパーク的非日常と、商店街的日常が融合して鮮やかなのが、らんまの特色かなぁ。

 

 

 

 

 

 

画像は”らんま1/2”第17話より引用

 というわけで、とにかくシャンプーが可愛い回だった…ッ!(開幕ブタの鳴き声)
 初登場時は異国語を喋る求婚サイボーグだったあの子も、じっくり時間をかけて乱馬の日常に隣り合い、泣いたり笑ったり拗ねたり、色んな顔を見せるようになってきた。
 オマケに猫に化けてらんまの正気を失わせ、場を混乱させて温度を上げる仕事までこなせるようになったんだから、気づけば遠くへ来たものだ…。

 やっぱシャンプーという魅力的なキャラを常備したことで、中国拳法ラブコメとしてのギアが三段階ほど上がった感じはある。
 彼女が魅力的だと、あかねがムキーってなる説得力も出るしね…。

 

 この段階で既にらんまとシャンプーは己の足で軽やかに飛び、出前も乱さずアクションしまくってて、あかねはスケボーで補助されないとそこに追いついていけない。
 格闘者としてインフレしていく世界観に置いていかれることが、彼女を乱馬くんの特別な姫君にしてもいくわけで、結構難しいなぁと感じる描写でもあった。
 まぁまだ出前レースでも格闘戦でも二人に張り合えているわけで、この時期のあかねはまだ、格闘者としての独立性を保ってはいるわけだが。
 でもコロンという越えられない壁を用意し、怪しくも魅力的な秘拳やら魔具やらどんどん出てくる体制が整ってくると、カオスが楽しくインフレしていくからな…。

 ともあれ、とにかく素直に乱馬を求めるシャンプーの魅力が元気なことで、アクションも暴れあかねの嫉妬も燃え盛り、三角関係はボーボー燃え盛る。
 恋に本気なあまりキモいことになってる久能先輩を、殴りやすいオブジェクトとして配置することで、軽妙に軽薄に二人の間で踊っている乱馬くんの、どっちつかずだからこそ魅力的な浮遊感も強調されていた。
 これが素直さにビス止めされてしまうと、話全体を弾ませている活力事態が死んでしまうわけで、「どっち!?」に答えられない優柔不断をどう楽しく見せるかが、腕の見せ所でもあろう。
 そういう意味で、今回のドタバタ大騒動はまこと見事だった。
 楽しすぎて、文句挟むヒマがない。

 

 

 

 

 

 

画像は”らんま1/2”第17話より引用

 あるいは熱愛に見えて極めて自分勝手な妄想から出てこない、久能先輩を悪い見本にすることで、一応あかねのこともシャンプーのことも個人として見れている乱馬くんのマシさが、より際立つ構図…とも言えるか。
 かつては欠片ぐらいあった人間としての”揺れ”みたいなものが、このあたりになってくると完全に消えて『九能帯刀』になってきて、連載力学の面白さと怖さを感じる回でもあった。

 でもこんぐらい人間やめてたほうが、殴り飛ばして後ろめたさがないので、ちょうどいい塩梅なのかもね。
 あの人が正気置き去りに引っ掻き回してくれるおかげで、元気モリモリな回だったからな…。

 

 カメラを天井に据えたバロックな構図だったり、グインと元気にうねる振り回し方だったり、全体的に見せ方が独特かつ魅力的で、たいへん良かった。
 エピソード全体に漂う軽妙な良さを殺さぬよう、かなり気を使って飛び道具的演出を入れてきてくれてる感じがあって、作家性と作品らしさのバランスが良く取れてたと思う。

 らんまとシャンプーの高速アクションは勿論のことながら、激情迸る三角関係にも冴えた描写が元気で、”らんま”を構成する全部を大事にしながら、楽しい映像になるよう気を配ってくれたことが嬉しかった。
 色んな魅力が贅沢に溢れるこの感覚が、街全部を巻き込んだ祭りの雰囲気、見てるこっちに伝えてくれた印象。

 

 

 

 

 

 

 

画像は”らんま1/2”第17話より引用

 かくして大騒ぎの大乱闘は複雑怪奇な味わいを増し、ハチャメチャな出前レースは愛の勝利で幕を閉じる。
 こんなに堂々アイリスアウトで〆るノスタルジー、”らんま”だから許される荒業だよなぁ…などと思いつつ、最後までやりきってくれた感じがなんとも嬉しい。

 猫飯店編よりあかねの嫉妬が表に立ってて、ガンガン乱馬に突っかかっていく感じも新鮮で楽しいね。
 ここら辺はやっぱ、シャンプーというライバルが見事にキャラを立てた恩恵なんだろうなぁ…。
 恋のライバルであり気の置けない仲間でもある、独自の距離感が固まってきてるな~って感じ。

 

 こういう可塑性を残したメインキャラに対して、久能先輩はシリアスな恋愛レースからは完全に脱落し、だからこそ何があってもブレないカオスの発生源として、頼りがいある仕事をしてくれる。
 例えば東風先生とかが、なまじっかあかねの血の通った初恋相手だったからこそ作品の中での役割を得れずにフェードアウトしていくのに対し、単機能の怪物になることで生存権を得た形か。
 止まった時間の中永遠の祝祭を繰り返す、歪な物語構造においてはそういうキャラクターも必要だし、久能先輩の壊れ方には引き込まれる魅力もある。
 ここら辺の配置と設計が固まってきて、長期連載の土台が整っていくわけだ。

 主役達が可愛くかっこいい見せ場をもらうばっかりだと、話は単調でメリハリの無いものになっていく。
 どんだけぶっ叩いても罪悪感がない二股真心モンスターとして、久能先輩が道化役を買ってくれるおかげで、思いがけないアクシデントが物語を揺らし、ワーワー騒がしい明るさも生まれてくる。
 そしてこのコミカルな味は、どんだけキメても猫見りゃ取り乱す乱馬にも、純情になりきれないズルさを宿すシャンプーにも、嫉妬に暴走するあかねにもある。
 各キャラ濃淡はあれど、溌溂と喜劇をやりきれるハジケっぷりがあればこそ、愉快な非日常を祭りとして楽しめもするのだろう。
 ここら辺の味付けを、改めて噛みしめる回だった。

 

 というわけで、商店街の風景に漂う親しみと、異様なテンションで暴れまわるドタバタが心地よく混ざり合う、すごく”らんま”らしい回でした。
 いちろうの実況に脂が乗りまくってて、街全体を舞台にした場外乱闘の面白さを、たっぷり味わえたの良かったな…。
 他にも格闘とラブコメのバランスの良さとか、”らしさ”を大事にしつつも独自の見せ方してくれるサービスとか、いいところが沢山あるエピソードだった。

 こういうクオリティでスッと飲み込める一話をお出しされると、なんとも爽やかな気持ちでアニメを楽しめて、とてもありがたい。
 次回以降もこういう味わい、もう一度噛み締めたいですね。
 来週も楽しみ!