ハートの女王の横暴に振り回されつつ、楽しい学園生活が動き出す!
いよいよ授業開始な、ツイステアニメ第4話である。
え、もう折り返し…?
つーわけでアリス世界から継承されたナンセンスな法律に、ガッチリ首輪をつけられたエースくんを身内に引き込みつつ、学園生活のチュートリアルが進んでいく回だった。
複数寮を攻略していく(だろう)お話の第1周回ってことで、作品世界の基礎部分を丁寧に説明するのに時間を使ってる印象が強い。
リドル寮長との心のふれあいは…ようやくご尊顔を間近に拝せた次回以降になるのかな?
ゴシックな世界観をたっぷり浴びれるのは嬉しいが、ドラマ回す時間あるのか少し心配ではある。
赤の女王が制定する規則はマジで意味がなくて、元がナンセンス文学である以上意味がないことに意味があるつう、ある種のTwistedがそこに在るわけだが。
ヴィランが英雄ともてはやされ、捻れた美しさが世界に満ちているこの世界で、一番最初にアリスモチーフの寮が選ばれたのにどういう意味があるのか、個人的には楽しみに眺めている。
無論現代風に、ポップにチャーミングに男体化されてはいるわけだが、リドル寮長が理不尽で不合理な伝統を「伝統ゆえに我信じる」とばかりにブン回している裏に、どういうナンセンスと事情があるのか。
それを知ることで、作品がどうアリスを変奏しているかも見えてくる気がする。
まーディズニーが原典をどう変奏し、長い歴史の中でどうファンに受容されているかとかには全く知識がないため、門外漢が勝手な視線で睨みつけてる範囲を出ないわけだが。
元来不気味で危険だったアリスの味を活かすなら、ヤバい狂気が顔を出してくるのはむしろ正道って感じもあり、そこら辺の暗さをリドル寮長がどんだけ背負ってくれるのか、ワクワク待っている状態ではある。
その前段階で色々説明したり、足場整えたりするの丁寧にやってくれてるので、正直焦れてる感じもあるけど…でも美術と雰囲気が良いので、世界を浴びてるだけで気持ちいいのはありがたいね。
現状全体的な雰囲気は、程よく肩の力が抜けたドタバタ魔法学園モノって感じで、あんまディープでシリアスな味はしてこない。
前回やり合ったモンスターの裏側をほじくってみると、良くない重たさが溢れてきそうではあるが、それは保留で学校説明始まったしね。
しかし何かが重たく埋まってる気配はしていて、今後話しを取り回す中でそういう核心(と、僕が勝手に感じているもの)にどんだけ踏み込むのか、踏み込めるのかは気になっている。
全体的なトーンを残り話数でどうまとめていきたいのか、今一全体像を予感できてない感じなんだよな。
まとめに入ったら一気に丸め込めるだけの腕力は、ビリビリ感じてるけども。
ここら辺は丁寧に足場を整えた上で、後半戦一気に走り抜ける部分になるかもしれず、まだまだどっしり見守る部分だとは思う。
このまま顔と気がいい魔法イケメンたちと、まったり学園ライフしているだけだと、どうにも起伏が弱い感じはある。
なので第1クールが幕を閉じる前に、デカい事件が一個欲しいかな?
主人公たる雄剣先輩とリドル寮長の接点がぶっちゃけ弱いので、規律違反で異常執着してもらうなり、保護者気質で気にかけるなり、どっかで感情が繋がる場面が来てくれると、見てるこっちもノリやすい。
そこをドラマティックに美しくまとめてくれると、作品全体の印象もポジティブに仕上がんじゃないかな?




とまぁ未来への期待を語りつつ、冒頭描かれたエースくんの闖入。
ここで雄剣先輩が常時落ち着いていて、感情的な反応は全部グリムくんがやっているの、面白い棲み分けだなと改めて思う。
この落ち着きが、透明な一人称視点としてゲームに存在する”物言わぬ主人公”のアニメ的表現なのか、雄剣先輩個人のキャラクター性なのか…まぁその両方なのだろう。
徹底的に雄剣先輩を、理性と情愛を揺るがさない大人ポジションに保ってる印象を受けるね。
エースとグリムは自分たちの規則違反を棚に上げて、やりたいことをやりたいようにやるガキっぽさで共鳴し、柱の向こう側に一緒に座っている。
雄剣先輩はより暗くて厳しい側に立ち、為すべき謝罪と逸脱からの帰還を告げてくる。
ここで子どもチームと大人は分断されていて、雄剣先輩が薄暗い闇の外側へと手を引っ張っていくことで、お話は不思議な寮見学&授業へと滑り出していく。
雄剣先輩は常に冷静で正しく、大人びて理性的な場所に立ち続けている。
そこからはみ出す仕事はグリムに背負わされており、社会から認められない個性を魔法学院に認めさせる小さな冒険は、彼が主役で展開する…のだろう。
ここを一つのキャラクターにではなく、透明な主役と騒がしいマスコットに分割して成立しているのが、個人的には面白かった。
大人びた顔もあれば子供っぽい情熱も持っている…みたいに、個人の一側面として描く手筋もあったと思うが、あえて雄剣先輩とグリム、二人合わせて一人前の特例生徒としてまとめたのは、結構愉快な造形だと思う。
それ故エースと物語を為すべき本道に戻し、スムーズに学園チュートリアルを進めていくエンジンとして、有効に機能もするわけだが。
こういう物語的機能をしっかり背負わせつつ、個別のキャラとしての魅力がしっかりあるのは良いなと思う。
グリムは今日もかわいいなぁ…。




つうわけで後半は各寮の説明だったり個別魔法のお披露目だったり、グリムが美味しいご飯に目を輝かせたり、緑川光声のショタジジイが乱入してきたりで、色々てんこ盛り。
各キャラごとに個別の必殺技があるの、異能バトルの基本をきっちり抑えてくれてる感じで、血中厨二病酵素が元気になる。
やっぱ隊長格がどういう卍解するのか妄想している時間が、一番ワクワクするからな…。
ともあれ話の方は、ハーツラビュル寮の三年生なども顔を出しつつ、ワンダーランドの空気をたっぷり吸わせてくれる感じで進む。
今後起こるだろう愉快な騒動の受け皿となる、七つの寮を持つ魔法学園。
ある意味テーマパーク的な魅力と多彩さを持つこの場所が、どういう顔を持ってるかを描く回…と言えるか。
今までは夜の学園しか描いてこなかったので、フツーに授業して学食で飯食ってる時、どういう雰囲気になってるかを体験してもらう場面は、賑やかで華やかでたいへん良かった。
この明るい雰囲気と、狂ったルールを守らない相手を無条件で排斥する狭さが、全然噛み合ってないのが面白いんだよな…。
どういう理屈であのナンセンスを飲み込んでいるのか、寮生の気持ちを聞きたい所ではある。
「まぁそういうモン」で受け流して、適応できないのは退寮かなぁ…伝統笠に着た恐怖政治じゃんねぇ。
本筋深く掘るより先に、他寮のキャラ相手にイベント起こすのも、キャラが沢山いるソシャゲをアニメにする上で噛み砕くべき、必須の難しさだなぁと思う。
実際話折り返してもリドル寮長との本格的な接触は果たされていないわけで、世界観説明だったりキャラのスケッチだったり、描くべき要素が多彩にあると本当に大変だなぁと感じる。
こっからどういう温度感と速度で、現状分からず屋な悪役であるリドル寮長の捻れを描写し、そこに触れるだけの権利を主人公に手渡し、散々暴れさせて解決へと導いていくのか。
ゴシック&ゴージャスな世界を堪能しつつ、そこら辺が結構気になってきてはいる。
まぁ出番が必然的に多くなるグリムくんのことを、僕は大変に気に入っているので、あんまガッツリドラマがうねらなかったとしても、一定以上の満足は得られるわけだが。
やっぱある程度の手数をかけて、規律と伝統を過剰に重視するに至った背景とか、それゆえ抑圧されてる魂の色合いとかを描いてくれたほうが、リドル寮長を巡る物語も美味しく食べれるかな~とは思う。
そこをこっからの後半戦、どんだけの気合で走り抜けてくれるのか。
期待感が高まる、折り返しの第4話でした。
ようやっと主人公とヒロインが対面したので、衝突を経て縁が深まるだろう次回、楽しみです。
寮長の面倒くさ可愛いところ、タップリ見たいね!