イマワノキワ

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羅小黒戦記:第8話感想ツイートまとめ

 天明珠を巡る闘いも遂に決着!
 …ていうには理性的で平和だった、チートアイテム争奪戦の結末を描く、羅小黒戦記第8話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

画像は”羅小黒戦記”第8話より引用


 様々な勢力が大型アニメイベントに集い、すわ武力衝突かという空気感であったが、漫画家三人組はアゲンが、動物妖精チームは小黒(と、抑止力としてのディーティン)が上手く抑えて、血を見る前に収まった。
 血腥い衝突は劇場版でやって、Webアニメはそこに接近しつつもギリギリ躱す温度感…なのかな?
 チンチュウを信じて、即座に仙人チェンジ可能なチートアイテムを手放せる裏事情を察せれるのは、ムゲンとの日々を映画で見ておいて良かった所だね。

 

 相手に見えているもの、見えないものを正確に把握し、的確にハメて窮地を脱する智慧と同じくらい、落ち着いて状況を見据えるアゲンの人徳が光る回だった。
 小人なれば自分の利に汲々としそうな状況で、アゲンは全体を見て為すべきことを探り、落ち着いて相手に切り出す。
 そうして生まれた縁を大事に育み、いざ大事となればそれを活かして万難を配するという、大人に相応しい対応がスルッと出てくる。
 これは単純な戦闘力を超えた描写であり、こういう徳目に強キャラの資質を見出すのは大陸流かな~と感じたりもする。
 敵を倒せるやつより、敵を味方にできてしまうやつのほうが上手…みたいな。

 呉越同舟になった三人組の能力を、当人より的確に活用して窮地を脱し、三すくみの構造を自分有利で崩していく。
 チンチュウ達もそうだけど、ただ利用し合っただけでなく、今後につながる信頼関係を作った上で別れていく解決が、アゲン個人のキャラクター性なのか、このアニメが置かれている文脈における「真の強さ」のスタンダードなのか、不勉強でなかなか判別はつかない。
 だが異能者対決ゆえの面白い絵なども堪能させながら、ド派手なバトルを回避したからこそ感じる凄みをたっぷり味わえたのは、シンプルに良かった。
 実はかなりの交渉戦・政治戦アニメだよね…。

 

 兄さんのこういう凄みに、シャオヘイも負けず劣らずしっかり追いついていて、サッパリ気持ちのいい解決を手渡していた。
 友を救うには奪うしかないと思い詰め、真の目的を隠していたチンチュウに腹を見させたのは、一行で一番大者感があるガマ妖精の助言あってのことだとは思うが。
 ここで剣に訴えるよりも言葉を尽くし、相手を信じたほうが得だと考えさせられるくらいには、可愛い猫ちゃんには人徳があるわけだ。
 この結末を引っ張ってこれるよう、中立の抑止力であるディーティンがイベント会場にいた奇遇を活かし、圧をかけて交渉を望む方向にもっていったの、フツーに賢いと思った。

 ムゲンが何考えて天明珠奪取をシャオヘイに命じたのかはまだ判らんけども、前人未到のクエストを達成すること自体がシャオヘイの目的であり、仙人には師匠とゆっくりなっていけば良いって話なんだと思う。
 アゲンも含め、老君肝いりのチートアイテムにみんなが振り回されていたわけだが、その特別さにシャオヘイだけが振り回されず、実を捨てて名を取る決断が出来る。
 この大器の見せ方は大変良く、ただのネコチャンではない凄みを感じた。
 いやまぁ、ここに至るまでの四年間でどんだけ激動を乗り越えてきたのか、”羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来”絶賛公開中! つう話なんですけども。

 

 結果としてチンチュウに武器を収めさせたことで、病の友人を救う手助けと、彼らへの大きな貸しを手に入れた。
 鍛え上げた異能をこれみよがしに振り回すより、鞘に納めて言葉を尽くすほうが実りが大きい…こともある。
 この平和主義は、いざという時に利剣を鞘走らせれる実力と同居して初めて意味を持つわけだが、そこら辺への目配せもシャオヘイはしっかり出来ている。
 その上で、シャオバイちゃんと仲良く楽しく過ごす日々も心から大事に出来ているので、器がデカいなと思う。
 …あるいはガマ妖精の眼力がここら辺を見抜いたからこそ、「全部ゲロって、大人の恩情に縋ろうぜ~」つう提案なのかもしれないけど。

 このピリついた対峙が、平和そのもののようなアニメイベントと並走していたのが、面白い空気を生んでもいた。
 人間文化の最新鋭であり、羅小黒戦記という作品それ自体がメタ的に足場を置く場所を背後において、旧き存在が旧き力と価値観をぶつけ合い、古風に則った決着へとたどり着く。
 その文明と魔法、古式と現代の並走が、最新鋭のアニメーションにして道教文化の匂いを濃く宿すこの作品、それ自体のスケッチにもなっていた。
 可愛いキャラにカメラをしっかり近づけつつ、こうして引いた視線で全体を見通す視座が感じられるのが、俺がこのお話が好きな理由だわね。

 

 

 

 

 

 

 

 

画像は”羅小黒戦記”第8話より引用

 というわけで天明珠を巡る騒動にはひと段落つき、復興資金も無事ゲット。
 田舎に戻ってまた平和な日々が始まる…と思ってたら、妖精兄貴の超級人命救助が差し込まれ、新キャラが意味深なオーラを放ち、シャオヘイがセクシーな裸身を晒していた。
 1クールの放送期間も2/3を終えて、遂にざーさんが人語を喋るッ!!

 …いや、だから何だってのは全然この段階じゃわかんないんだけども、ここまでの冒険でシャオヘイも、人化に足りるだけの力を取り戻したんだねぇ。
 二年前の時点で相当な強者だったので、弱体化させないとシャオバイちゃんとの平和時空に収まんないて事情は、ちと判る気がする。

 

 新キャラ姉貴がどう動くかは次回以降として、都会ぐらしに溶け込んでいる妖精が、異能を活かして人命救助する描写は、映画二作目とも共通する「強さ」が感じられ良かったと思う。
 このお話、いろんな文化を咀嚼した上で独自のものをお出ししているわけだが、アメコミヒーローの文脈も当然そこには含まれていて、特別な力を人の命を救うべく使う様子に、それが濃く出るなぁ、と感じる。

 一心不乱の救命活動を終えた後、当たり前の日常に戻ってきて穏やかに日々を過ごしているのが、颯爽としていて良かった。
 やっぱ大事を前に平然と己を揺らさない器のデカさが、このお話における「強さ」の土台なんだと思う。

 

 というわけで、天明珠を巡る騒動に器のデカい決着が訪れる回でした。
 ハードアクションをやれる作画力・演出力は備えつつ、あえて対話と信頼による問題解決に話を転がしていくのが、Webアニメと劇場版の表現の違いをメタに反映している感じもあって、個人的にとても興味深かったです。
 まぁ戦わないですむなら、それに越したことはないからなマジ…。

 そういう騒動を乗り越えて、力を取り戻しつつあるシャオヘイ。
 このまま平穏な日々が続いていくのか、また一騒動待ち構えているのか。
 サッパリ分かりませんが、だからこそ物語は面白い
 次回も楽しみ!