脳内妹
おもてぇ。 「うおおお」 早く出なさい。 かばんから出なさい。 「うおおお」 雨に濡れたからといってかばんで運ぶのは限界がありますよ。 「かばんに」 まぁどうしてもかばんに入りたかったというならばしょうがない。 ひょこりひょこりと首を出して。 「う…
「はぐはぐ」 また体に悪そうな色のものを食べているな。 「冷たくておいしいものですよ」 アイスか。 暑いなぁ。 「なつ」 夏じゃないよ。 曇り空なのに光だけが強くて、世界が真っ白だよ。 「はぐはぐ」 夏になったらもっと食べるんだろうなぁ、君は。 「…
「かぜ」 窓にたたずむ人め。 少しかっこいいな。 「かぜ」 確かに涼しいけど、明日は雨っぽいし、暑いかもしれないぞ。 「今日はかぜですよ」 そうか。 木造建築は確かに風が通るからなぁ。 「かぜ」 そうやってずっと、涼しい風がほほをなでるのを楽しむが…
「うおーうおー」 吠える生き物め。 「あめ」 そろそろ梅雨か。 どうして君はそんなに元気かなぁ。 「うおーうおー」 新しいレインコートを買ったからかい。 「あめ」 似合ってるね、ピンクの。 腰はうずく頭は痛い雨音と雷鳴はうるさいで俺はいやなんだが。…
「もぞもぞ」 もぞもぞするのか。 「あったかいので」 それはそれは。 「もぞもぞ」 でも雨降るときもあるし、寒いときもあるぞ。 「それはそれで」 今日ははもぞもぞするのか。 「もぞもぞ」 そうか。 おりゃ。 「ふとんをかぶせるのはやめろう」 ふふふ。 …
どたばたしているな。 「おどりですよ」 そうか。 もう少し指先に意識をやるといいんじゃないかな。 「おどりですよ」 くるくる回っては止まるだけじゃないか。 こうな、もっときびきびと。 「むむむ」 な? 「あなたもおどるのです」 そうか。 んじゃそうし…
痰がからむのう。 「あかいみずを」 おおイソジンガーグル。 これでうがいをするわけだな。 「あかいみずをつかいなさい」 優しいヤツだ。 「あかいみずを」 赤い水ではなくてイソジンガーグルだよ。 それはともかくありがとう。 「あかいみずですよ」
「そとにでますよ」 させん。 「あたまをおさえるなよう」 ふふふ。 動けまい。 「うおお」 小さい生き物は押えやすいわ。 「うおうお」 いてぇ。 「そとにでるのですよ!」 蹴られても頭は離さんぞ。 「うおおお」 ふふふふふ。
「もぞもぞ」 四つんばいの生き物め。 「もぞもぞするあそびですよ」 まぁ五月だしなぁ。 暖かかったり寒かったりで大変だ。 「ごろごろり」 楽しいか。 「たのしいよ」 それはいいなぁ。 「もぞもぞ」
「さむいさむい」 いや、もう寒くないだろう。 「さむいですよ」 そのもこもこ服もいいんだが。 汗かいてるし顔赤いじゃん。 「ふぅふぅ」 ほら。 脱いだ脱いだ。 「やめろー」 うむ。 Tシャツにスカートでよろしい。 「おおお」 涼しいか。 まぁようやっと…
「うむむ」 うめく生き物を発見。 アイスを食べるか。 「さむかったりあつかったり」 そうだなぁ。 桜も散るのに、曇りばっかだなぁ。 「うむむむ」 まぁそう不機嫌になるなよ。 アイスを食べるといいよ。 「うむ」 半分な。 「もしゃもしゃ」 全部かよ。 ま…
「さむいさむい」 まぁ花火冷えだからなぁ。 「三寒四温」 少し違う。 いつものもこもこした服を着ればいいじゃないか。 「しまってしまいましたよ」 そうか。 毛布をかぶるのはどうかな。 「ライナスより、チャーリー・ブラウンのほうがすきです」 コアだね…
おい 「なんですか」 ちょっとな、出かけてくる。 「そうですか」 まぁ、適当に暮しなさい。 「はいはい」 ま、多分帰ってくるから。 「はいはい」 気のない野郎だ。 「よっこいせい」 もういねぇし。
「さむいさむい」 暖かくなってきたと思ったのになぁ。 「ストーブをよこしなさい」 いいけど。 またもこもこした服になっちゃったな。 「うるさいですよ」 いいじゃないか、もこもこ。 「さむいさむい」 牛乳でも飲んで温まると良いだろう。 「おお、あまい…
「春じみたにおいがしますよ」 そうだな。 「ひなまつりも終わりましたよ」 そうだな。 「あられを食べましたよ」 そうだなぁ。 「気のないおとこですよ」 そうだなぁ。
「ほこほこ」 風呂上りのいきものめ。 昼だというのに。 「雨の日はさむい」 そうか。 まぁ牛乳を飲むといいよ。 「うくうく」 育たないねぇきみは。 「うるさいですよ」 俺も風呂入ろうかなぁ。
「えいや!」 って。 豆をあててくる生き物め。 「おにはそと」 俺は鬼か。 「ひどいひとではあります」 まぁ否定はしない。 とりあえずあまり散らかすなよ。 「えいや!」 人の話を聞けよ。 まぁ豆を食え。 「のどがかわきますよ」 オレンジジュースを飲ま…
「むおお」 布団に包まって動かない生き物め。 カロリーの節約でもしているつもりか。 「むおおお」 まったく。 「さむいですよ」 そりゃそうだ。
「静かですね」 ああ。 「この世でふたりきりみたいですね」 雪には雨音がないからなぁ。 静寂が降り注ぐのだ。 「こたつはいいですね」 みかんたべる? 「はくはく」 ほんと、静かだ。 「かわもたべますよ」 偉い偉い。
「むおおお」 寒いらしいな。 こんなに厚着をしても。 「さむいさむい」 まぁ確かに今年は寒いなぁ。 ココアを作ってあげよう。 泡だて器でかき混ぜるのがコツ。 「あまくしてください」 おう。
「あけましておめでとうございます」 おお、挨拶できるか。 偉い偉い。 「きのう寝てたやつになでさせるあたまは無いですよ」 いや、うん。 偉い偉い。 「あたまをなでるなよう」 とまれ、昨年度中はさまざまにお世話になりました。 このように味のないサイ…
「ことしはおせわになりました。らいねんもよろしくお願いします」
「クリスマス」 ケーキなんぞないぞ。 「このう」 いて。 蹴られてもなぁ。 「ケーキ」 まぁ諦めろ。
おい、餅の調子はどうだ。 「人をつかうことしか知らないやつだよ」 焼けたら一緒に食うっつってんだろ。 オレ、不精だから餅上手く焼けないんだよ。 「それはわたしが器用ということですね」 そうそう。 「ふっふっふ」 焼けたら醤油とかきなことかで食うぞ…
「さむいですよ」 もこもこ娘め。 ストーブの真ん前に陣取って何やってんだ。 「さむいさむい」 ええい。 肩をもめ。 ちいと疲れている。 「いいでしょう」 手袋が分厚すぎてきかないよ。 「うおお」 ああ、そうそう。 そうやって力を入れてぶつといいですよ…
ふう、良い気分だ。 「お酒をのんだな」 いいだろうが。 「酔っ払うのはきらいなのですよ」 いやまぁ、三合も飲んだが。弱いから、かなりの酒量なんだがなぁ。 「わかってるなら自制しなさい」 ううむ。 しかし、「越州」、醸造アルコール手なのにこの飲みや…
おいそこの妖怪こたつ娘。 「ひとのことをひどい名前で呼ぶひとだよ」 どうでもいいから。 今日は鍋だから、こたつの上のみかんかすを片付けなさい。 「おおお」 寒いからなぁ。 「なべはおいしい」 そうだな。 「淡雪ですか」 淡雪はもちを揚げる手間がかか…
「もおおお」 まったく。 おいそこのストーブ前に座り込む生きものめ。 「さむいさむい」 昼暖かかったから薄着で出かけたと思ってたら。 夜は冷えるって言うのに。 「さむい」 聞いてないしな。 とりあえずこの甘いお茶を飲みなさい。 「あちぃ」 舌を火傷…
「さむいさむい」 脳内妹よ。 「あんですよ」 すさんでるなぁ。 しかしいい知らせだ。 居間にホットカーペットが引かれた。 「すげえ」 そしてオレの部屋に石油ストーブが。 「すげぇ」 ていうかもう点けてるじゃないか。 「あたたかい」 ああなるともう動か…
「さむいさむい」 またそんなに着膨れしておきながら。 「ストーブをだしましょうよ」 今日だけだから。 そもそも灯油が売ってないよ。 「じゃあほりますよ」 ああ、どっからそんなデカいシャベルもって来たんだか。 まぁ運動すればあったまるだろう。 「で…