イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

戦争と政治とリーダーシップ

エリオット・A・コーエン、アスペクト。リンカーン、クレマンソー、チャーチルベングリオンの四人の戦争指導者を具体的に分析した戦争研究書。序章で筆者自身が述べているように、英雄崇拝の色は濃いし、プロパガンダ的色彩はぬぐえない。がしかし、大量の資料と実際の戦争経緯にぶち当たる歯ごたえ、そしてその分析の鋭さは一見に値する。
結論としてはリーダーシップのない戦争指導者は、近代化し、細分化された現代戦争においては危険な結果(たとえばベトナム)を招く、となっている。筆者はアメリカ国防省コンサルタントだそうだが、ではブッシュのアフガン/イラク戦争(いや、あれは「政治的行為ではなく政治そのものである」とクラウセヴィッツが述べた戦争だったのだろうか?)はどう説明するのか。リーダー論としては確かに見所があるが、戦争行為論としてはやや倫理への軽視が目立つと感じた。しかし再度強調するが、調査と分析は見事の一言である。(やや偏向が見られるが)良著。