イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

フーリガンの社会学

ドミニック・ボダン、白水社文庫クセジュ。フランスサッカーにおける暴力現象を社会学の立場から分析した本。フランスにおいて、フーリガン現象はどうやら(少なくとも1980年代までは)対岸の火事だったようだ。アホなイギリス人のパンクスが騒いでる、というはずの現象はしかし、殺人まで含んだ暴力行為として今のフランスサッカーシーンの一部になってしまっている。
筆者は、サッカーという現象にとも泣く暴力の特異性を、サッカー全体が社会に占める位置、メディアとの関わりあい、フーリガンの社会的地位などなど、強力な社会学的分析を武器に切り抜いてくる。少々専門知識を前提に省略されている部分があるため飲み込みにくい感もあるが、事前の研究をしっかりと踏まえ、その上で多角的かつ深くフーリガンという暴力を見つめる筆者の筆は確かで読みやすい。良著。