イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

テクストの快楽

ロラン・バルトみすず書房。図書館が閉まっていたので、書庫から引っ張り出して再読。薄い本だが分厚く、断章によって構成され、アルファベット順に攪拌された内容。読書について何かを語っているようで何も語っておらず、それでいて現実への分厚い読書(スタンダールニーチェバタイユバルザック、サド他他)に支えられた、奇妙な読書への戯れ。
いかにも、才覚バルトらしい本である。手のひらに捕らえたと思えば逃げ出し、それでいて確かな感覚を残す読書。相矛盾する奇妙な感覚と感情をとらえ、理性と知性によって料理しつつ生のまま出してくる手腕。それと戯れるのに、この奇妙な本はひどく優秀で、ひどく面白い。バルトについて確かなことを何かいえるほど呼んではいないのだが、少なくとも、バルトを読むのはやはり面白い。そう感じた読書だった。