イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

人類は衰退しました 3

田口ロミオ、小学館。変なものばかりシリーズ化のレールに乗せることで有名なガガガでも、多分変な方向筆頭のシリーズ三巻目。軌道(売り上げとも言う)が安定してきたのか、今までジャブ的な短編ばかりだったこのシリーズ、初の一巻丸々長編。新キャラも多数登場。順調すぎて逆に不安になる展開ですが、とりあえず喜んでおこう。
とはいうものの、何かドラマティックでわかり易い展開があるわけではなく。食料や水がピンチになるという、ラノベフレームでは規格外なピンチに悩まされる展開。とはいうものの、「人類が衰退した」という重要なポイントに掠る話でもあり。ロミオに背景世界を掘る気があるにせよないにせよ、巧く転がせる位置に持ってきたな、と思いました。
今までは妖精さんを絡めたちょっと不思議な話に、切れ味鋭いセンスと毒を混ぜて回してきたこのシリーズ。今回はあまり妖精さんの不思議世界に頼らず、地味で地道な小説でありました。が筆の地力があるので、飽きずに読めるのがこの小説のいいところ。ロビンソン・クルーソーっぽい漂流譚しても、なかなかドキドキさせられる内容でした。
とはいうものの、ただの漂流譚で終わるわけでもなく。新キャラを絡め、いい塩梅のアフターホロコーストSFでもありました。ガジェット周りのSFテイストが非常にグッド。別に目立つ敵がいるわけでも、何が起こるわけでもないお話であり、丁寧に終わった世界を書いてくれて非常に満足でありましたよ。面白かった。このコースは長期確定のような気もするので、今後の展開に大注目であります。