イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/09/26

・ 残響のテロル
お空の上で原爆が爆発し、死ぬべき人が死んで生き残るべき人が生き残り、真実と正義が行われてテロルの季節は終わった。
だいたい考えていた感じの所に着地した最終回でした。
最後までリサがホームラン打たないメソメソ女のままな所と、オルフェウスとしての柴崎さんが選ばれた理由と経緯が判んないところは正直ご不満。
黒幕のことを調べている過程で、因縁のある優秀な刑事に目を付けたというところなのかな?

成層圏爆発による大規模停電は直接の死者は出さないにしても、例えばペースメーカーなり生命維持装置なり、間接的な死者(もしくは停電により死に隣接する人々)を生む行為なわけで、「どんな犠牲者も出していない」というのは、やはり過言だろう。
「世界に見捨てられた少年たちには、世界の喉元に刃を突き付けて正義を脅迫する権利があるのか」という作品全体からの問いに関して、最終回を見終えた僕の答えは「多分ある」になるのだが、胸を張って"正義を為す世界の敵"を支持するには、色々と脇の甘いアニメだった。
実験動物として世界に見捨てられたスピンクスが、少ない手札の中からテロリズムを選択し、真実と正義を為すメディアとしてナイーブに扱う説得力は、彼らの動機という物語全てを牽引した最後の真実が公開されてなお、薄かったと思います。

そんなコアの弱さを抱えていたこのアニメですが、まー作画は常時良かった。
ていうかキチガイ作画だった。
脆弱な物語構造をギリギリのところで支えていたのは、画面全体から漂うナイーブで繊細な印象なので、作画だけは良かったというレベルを超えて、物語の空気を何とか保持する仕事を担当していたと思う。
そういう絵に支えられて無言の説得力を持ったキャラクターたちも、結構好きでした。
これでもかというほど自意識過剰で、世界に対して臆病なのが良かったですね。

 

・ 少年ハリウッド
最終回ラッシュのさなか、少ハリはまだ一話余裕がある構成。
んじゃあ何をするかというと、一話延々と練習し続けてた。
噛み合わない状況で汗を流し続け、何かに気づいて突破口を見つけるという、如何にも少ハリらしいラストエピソード、その真中でした。

子供チームは前回から引き続きデキる子三人が先に進み、リーダーが空回りし、カケルがむっつりと思い悩む構図。
最終的に答えにたどり着くのがマッキーな辺り、社長の目は確かだったんだなぁと再確認。
延々汗を流し続け、時々ぶつかりつつもみんなで問題にぶつかっていく姿は今まで少ハリが積み上げてきたモノそのものであり、ラスト一個前にこういうまとめが来てくれるのは嬉しい限りです。

今回は"出来ない"描写が良く出来ていて、ボトルネックになっているマッキーとカケルのステージは作中そうであるべきように酷いもんであり、それ故最後に仕上がった時のこみ上げてくる思いがあるわけです。
キラさんの露骨に本イキじゃない手慣れた気配とかも引っ括めて、そこら辺の差別化できてる演技付が良かったです。
元々、5人のステージングとかは丁寧に差が付いていたわけですけどね。


まとめといえば、大人チームの「アイドルとは」会話は、"言葉で語る少ハリ的アイドル理論"の露骨な結論でありまして、このアニメがずっと描写してきたテーマそのものを語ったシーンだと思います。
「アイドルとはアイドル個体ではなく、歴史的運動である」「アイドルは神懸かりである」という視点は、如何にもがっぷり奥までアイドルに浸かった橋口いくよ先生と、アイドルアニメの枠を大きく踏み越えてアイドル論に突っ込んだ少年ハリウッドらしい結論でした。
これを言うための回だったのかなぁという印象すらありますが、前回のヒキを考えると子供たちが自分でささくれを直し、答えにたどり着くのは大事だし、必要でもあると思います。
これで完全に飛ぶための土台は出来て、さて最終回。
俺はすごく楽しみです。

 

・ アルドノア・ゼロ
火星人戦争前半戦、最終局面というわけで1クール目終わり。
いやー、凄いクリフハンガーで〆たねぇ。
今まで積んできたものを華麗に爆発させた終局だったけども、この更地をどう使うつもりなのか、楽しみになる終わり方でしたね。

地球人皆殺しで心が決まっているザーツバルム卿。
姫様を守りきり地球のために闘う、寡黙な戦士イナホくん。
両雄あまりブレることなく死闘を繰り広げる中、誰が敵で誰が味方なのか、と言うか自分が誰なのかさっぱり解らないままフラフラし続けるスレインくん。
三者三様の戦場は結局、蝙蝠のあまりに効果的な乱入が決定打となり、主人公とラスボスとヒロイン例外なく皆殺しという形で幕を閉じました。

セカンドシーズンがあるからこその折り返し方だとは思うけど、いやまぁ正直言ってショッキングな展開であり、物語の要素を見ても姫様という外交チャンネルは潰れるし、地球サイド唯一の希望のように見えたイナホくんは死んじゃうし、火星の残りもアホ貴族と暗君だけだし、どうにもグッチャグッチャな状況。
主役とヒロインを失った地球サイドとしても、主役が殺戮者に堕した火星サイドとしても、どうまとめるのか皆目見当もつかない状況であります。
あんまりに滅茶苦茶なので「姫様もイナホくんも生きている」という夢に縋りたくなるものですが、まぁ死んでんじゃないかな。
今まで意図的に抑えていた血液の描写も、バリッバリ解禁されてたし。


抑えていたといえば、イナホくんの冷静な態度も、演技というわけではないけれども芯には暖かく柔らかいものを秘めており、チラホラ見せつつも基本石部金吉で通したのは、今回の慕情を鋭く、そして切なく視聴者に差し込むためだったのかなぁとか思った。
いやー、ベタながら正直刺さるね、あの這いずりは。
冷徹に銃弾での決着を求めているようにみえる男が、その実愛の為に戦っていたという……結構バレバレか、思い返してみると。

一方愛の為に迷っていたように見えて、結局鉄砲でしか物事を動かせない男スレインくん。
正しく正反対で、姫様に必要なものを持っていた男が常時側にいるなら、そら勝ち目もないわ。
種子島でのすれ違いからあの運命は決まっていたようにも見えますが、それにしたってすべてが裏目に回りすぎだ。
そういう星、そういう相の男なのでしょう。
ザーツバルム卿を助けたのも、卿のかけた情けに暴力で答えた結果だしね……その結果、好きだったはずの姫様は死に、恩人も恋敵も銃弾で決着をつけるという。

言うならば"シザーハンズ"のエドワードみたいな子やね、スレインくんは。
……はたして姫様のために、スレインくんは雪を降らせることができるんだろうか?
あの子は徹頭徹尾、暴力でしか物事に接触できない存在と見える……望むと望まざると。

スレインくんが焦がれ、イナホくんが愛した姫様も死んじゃった……死んじゃったよね?
俺が姫キャラ大好きという補正をひっぺがしても、可愛くて真面目な方だったのに……。
というか、地球に残された現状最後の外交チャンネルのように思うわけですが、火星ロボが大量に残ってる現状、姫様抜きでどうすんだろうホント……。
冷静ブッてはおりますが、このアニメ見る理由の三割くらいは姫様可愛い祭りの御輿を担いで「ワッショイワッショイ姫様可愛い」と連呼することだったわけで、正直ショックがデカいですウヌぅ。

仁の人たるイナホくん、暴の星に生まれついたスレインくん、正義を求め続けた姫様。
三主人公それぞれの根源が見える、1クール目最終話となりました。
それはつまり、人格や願望といった個人的領域を超えた宿命の存在を重視するこのアニメの劇作姿勢も見えてきたということで、最後の最後でクッキリ目鼻が立った話だったなとも思います。

二人の生死、そして自分の守りたいもの全てを破壊してして生き残ってしまったスレインくん。
彼らの物語が今後どうなるのか、いやはや、驚愕とともに待ちたいと思います。
あ、ザーツバルム卿の火星ロボの全部乗せップリはタイラント(もしくはジャンボキング)みたいで、火星怪獣の大ボスとして非常にグッドだと思います。