イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/10/06

・ グリザイアの果実
「よーし! 脂っこいエロゲアニメを食べて、ちょっと馬力つけちゃうぞー!!」と気合入れてみたら、見事なエロゲ導入からエロゲダイアログとエロゲイベントがてんこ盛りでやって来て、大満足でした。
「学園でージュブナイルでーヒロインいっぱいでー異能でー濃い目のキャラ付けとノリ重視の会話でーパンツは見せれるタイミングで見せてー」という"エロゲっぽさ"は、既に共通認識化しておるわけですが、そこを徹底的に踏みつつ底意地悪くズラしてくるのは、捻くれた僕の感性には合ってるかもと思いました。
エロゲヒロインたち全員血の色をしたオーラを出して次回に引いたので、多分"CROSS✝CHANNEL"の系譜。(エロゲ体験が10年以上前で停止してる化石の発掘に成功)
脂っこいエロゲ空気と血と銃弾の皆殺しオーラが、シームレスにラッシュしてくるのであれば、なかなか独特の視聴感になりそう。

キャラに関していうと、主人公の頭のネジが常時外れているのは、濃厚エロゲテイストからアクを取って独特の味を出していて良かった。
最初の風呂シーンがお前かよ……ムッキムキやな君。
ヒロインの中では(偽)金髪ツインテが露骨なぽよよんろっくキャラしてて、ウネウネした動画と相まってグッドでした。
さて、爛熟を極めたエロゲ文化のエッジを感じさせるこの第一話から、どう転ぶのか。
楽しみですね。

 

・ 天体のメソッド
"Sola"以来の久弥直樹が脚本を担当するアニメは、洞爺湖みてーな田舎町の上空に円盤が鎮座し、幼きイノセンスが幼女の姿で跋扈する不思議なお話。
『大人と子供の中間地点にいるキャラクターが、失われた無垢なる季節を取り戻しに行く』アニメとしては、例えば"あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない"の系譜なんだと思います。
しかし"あの花"が幽霊という他人をイノセンスの象徴にしていたのに対し、このアニメは事故の延長線上にあるイマジナリーフレンドをこそ無垢なる魂としてセットしているわけで、生死の際で正反対のアニメかな、と思う。

ノエルを"イマジナリーフレンド"と断定してしまうのは、『乃々香の主観以外でノエルは存在しない』というルールが徹底的に守られた映像と、扱うテーマからの逆算との合わせ技です。
この話は『守られなかった約束』に満ちていて、乃々香が果たすべきだった友達とのリーガルな別離も、己自身の無垢性との決着も、愛情に満ちていながらどうしようもなく無思慮な父との三人での帰還の約束も、果たせないまま乃々花は大人になりかけてしまっていて、ノエルはけして年を取らないまま街に放置され薄汚れている。

そういうふうに始まった物語が、ノエルが失われた母親の顔で乃々香を抱きしめる形でプロローグを終えるのであれば、それは幼年期の再発見(そしておそらくは決別)の話になるしかない。
あの表情、あの行動をするのであれば、ノエルは街に置いてけぼりにしてきた子供時代の象徴であると同時に、自分をおいて勝手に死んでしまった母親でもあるわけで、その再獲得こそがこのアニメの軸になるのだろう。
出だしからコアなテーマを勝手に読解する無茶をしているのは、多分僕がこのアニメを好きになっているからだと思う。

奇妙な存在感を醸し出しつつ、未だ説明のない巨大な謎の円盤は恐らく、ノエルの存在自体にも関わり、"イマジナリーフレンド"という想起者本人の内面に帰結しがちなギミックを、外部化する仕事も果たすんだと思う。
同時に半透明に薄らぼんやりと、優しい風情で空を覆う円盤は『守られなかった約束』の再獲得という、ナイーブで青臭い物語のこれからを、じっと見つめる物言わぬ神みたいな立場でもあるのだろう。
ココらへん、アニメで言えば"アルドノア・ゼロ"で威圧的に空を塞いでいた円盤と、印象を対比させてみるのも面白いかもしれない。

明確な説明が少なく、何も始まっていないようにすら思える第一話だが、北海道の自然を透明感を込めて活写した美術は作品全体のムードをしっかり伝えているし、主役・乃々香とヒロイン(兼メンター)・ノエル以外の人々のニンも、かなり良く見えていた。
何よりも、少女二人の二度目の出会いに強くフォーカスしたことで、作品全体の見取り図とテーマを見せるというオープニング・アクトの仕事は、十全に果たされていたと思う。
過度の先読みを含んだこの感想は結局、このアニメにいたく感心し心動かされた僕の、期待と希望を反映しているのだ。
面白い、とても面白い第一話だったと思う。

 

・ selector spread WIXOSS
『カード売るにはカードバトル要らぬ、サスペンスとスリルに満ちた不穏な青春あればいい』という販促の新境地を切り開いたアニメ、その二期。
『クレイジーサイコレズ大勝利! 絶望の未来へレディー・ゴー!!』という一期最終回を回想しつつ、絶望の果てでも生き延びなければならない少女たちの姿を写す回でした。
話が本格的に動くのは次回以降でしょうが、既に不穏な空気が蔓延していて素晴らしいですね。

開幕五分ぐらいは異常にガーリーでハッピーな空気で「え、ゆるふわ日常系だっけ? きらら連載?」という感じだったのですが、あれよあれよという間に画面が薄暗くなり、登場人物の認識が歪み、BGMにノイズが混じり始め、「ああ、やっぱこのアニメWIXOSSだったわ」という映像に切り替わっていったのは、安心できない故に安心した。
るぅはベトナム帰還兵のようにトラウマに苛まれてるし、遊月は二次元人生楽しんでるように見えて当然苦しいし、比較的マシなのが一衣だけという、仲良し三人組の追い込まれ方マジ酷い。
その酷さを際だたせるために、ピンキーでゆるふわなハッピーライフを序盤においてく構成マジでマジ酷いネ。
三人とも闘争を忌避している初期状況なのですが、それ故バトルの渦は否応なく彼女らを巻き込んでいくんだろうなぁというのが見て取れ、イヤーな笑顔が浮かんできますね。

全体的に状況振り返り+αという回で、ちより&エルドラの脳天気(に見えるけど、ホントのところはどーだか)コンビの立ち位置を確認したり、画面に映るだけで面白い最強のCPLイオナさんとかも顔を見せました。
やっぱイオナさんの存在感は圧倒的で、この気持ち悪さが出せてるだけで強いアニメだなぁと思う。
いやー、素晴らしくキモく、素晴らしいです。

内乱の予感を孕んだ世界で、過去の傷に苛まれつつ足踏みを続けるるぅ子。
二期が始まってしまった以上、彼女は闘争の果てに全き世界を再獲得するしかないわけですが、今回描かれた痛みの描写は丁寧で繊細で、残酷なもの。
"起きてほしくないことを起こす"ことがサスペンスの基本にして極意であるなら、"起きてほしくない"と思わせることに成功した、いいプロローグ・リブートだったなぁと思います。

そして来週はあき☆らっきー、鮮烈なる帰還らしい。
どんくらい根性ドブゲロの暴力女とかしているのか、今から楽しみですね。
このアニメ、ヒドい状況に置かれてる健気な子か、ヒドい状況に置かれてる性悪女しかいないネ!!

 

・ Fate/stay night [Unlimited Blade Works]
みんな大好きアーチャールートが、Ufotableの手でリブート。
ゲームと同じように、出だしは凛&アーチャー視点での導入でありました。
凛ちゃんさんはビックリするぐらい可愛らしくて素敵な女の子だし、アチャ男は空から降ってきた諏訪部声の王子様だし、グイグイ引き込みつつ設定説明はするし、アクションシーンはキレてるし、伏線もたっぷり埋まってるし、良いアニメである。

取り敢えず「どやぁあああ!! ワシラの凛可愛いやろ! 悶えろ! 悶え死ね!!」というスタッフ渾身のあざとい描写にノッカーウ(諏訪部繋がり)されました。
いや、こんなに可愛らしく描いちゃうと、この後志郎視点でセイバー軸の話回して「おいぃいい!! 凛ちゃんさんメインヒロインじゃねーのかよ!」という初見連中の暴動起きないのかね。
『現代の闇に潜む魔術師』といううわっついた設定を、これでもかとばかりに理想化された可愛げ全開、健気さ満開の凛への好感度でぐいっと飲み込ませる展開はグッドナイス。

そしてアーチャーは諏訪部声の概念存在みたいな、強くて頼りになり少し皮肉屋ででも優しくて影のある、こちらも理想化されたあざとい男ヒロインとして描写されました。
目線の演技の付け方がエロくて、おじさんドキドキしちゃったわ……(脳内乙女回路活性化か確認)
凛を姫抱っこしての超人ジャンプや、ランサーとの超人チャンバラで英霊たる部分もきっちり見せつけ、必要な要素をすべて詰めた導入でした。

二人の関係性も見事な少女漫画アトモスフィアを香らせつつ描写され、作品好感度をぐぐっと上げるのに十全な仕上がり。
この二人をずっと見ていたいと思わせる掛け合いが生まれてるのは、作品に前のめりになるのにいい足がかりですね。
UBWは主人公アチャ男、ヒロイン凛という側面もあるので、今回この二人の魅力をきっちり出したのはイイなぁ。

UFOらしい美麗な背景はただ綺麗なだけではなくて、"日常の裏側で展開される運命の戦い"つー作品の軸に言葉にならないパワーを付与していて、視聴者が「ああ、こんだけ綺麗な街なら英雄と魔術師の果てしないバトルも起こるわ」と思える仕事をしていました。
綺麗すぎてちょっとウソっぽいのが、むしろ展開される物語にしっくり来るというね。
士郎サイドに話が移った時に、世界の見え方が変わるのか変わらないのかは、ちょっとした注目ポイントですな。


あ、こっからネタバレトークになります。
UBWには士郎-エミヤを軸にした時空ミステリとしての側面がかなりあると思うのですが、その出題編として非常によく出来た構成でした。
これは本編でも結構丁寧に埋め込まれている要素であり、丁寧に逃さず拾ったなぁという印象。
とにかくアーチャーの目線と表情が、事の真相を知っていると別の見え方出来るように描写されていて、細やかだなぁと感心しました。
ただ謎を埋め込むだけではなく、表面的な言動とその裏っかわの心情を埋伏させるさせてあるのは、ドラマが盛り上がる約束を感じさせて、とても良いですね。
アルトリア見た時のリアクションが嬉しそうすぎて、どんだけ志郎セイバー好きなんだよまじ……ッて思った。
俺も好きだよ、あいつは歴史の教科書に載るくらい立派。("俺の前で流行に乗っただけのセイバーDisしたら殴るの構え"を取りつつ牽制)

エピローグとして期待される展開を、悠々と越えていった第一話でした。
こんだけ弓コンビを立てる話のあとでは、主人公たる剣コンビが超えなきゃいけんハードルもかなり上がったと思いますが、まぁ越えてくるでしょう。
そういう信頼をおいても大丈夫な、非常にしっかりとした出だしでした。
いやー、Fateおもしれぇな。