イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/10/4

・ プリパラ
囲碁アイドルシオンちゃん、初めてのプリパラという回。
天才バカ・四字熟語・囲碁ネタ・ポンコツ・意志が強いようでバカと、濃厚なキャラを持つシオンちゃんを前面に押し出したお話で、満足度高かったです。
いやー、語尾とか口癖とか気にならなくなるレベルでゴリゴリキャラ立てるね、プリパラは。

兎にも角にもシオンちゃんがポンコツなのにクール、クールなのにポンコツという美味しいキャラで、その両方を魅力に変える展開を、初段に持ってこれるこのアニメの強さを再確認。
あっという間にウサギに転がされるチョロ蔵なところとか、何でも囲碁で判定してぶっこ抜くところとか、いろんな側面が高速で展開され、ジェットコースターみたいな楽しさがあった。
ネタっぽい部分だけではなく、物事の本質を直感できる勘の良さはロジカルかつ丁寧にやってたしなあぁ……緩急鋭いわー。

普段のポンコツっぷりとステージでの天才のギャップがキャラの核にある部分、そこを歌声の説得力一本でぶちぬく部分は、らぁらと共通であり巧いライバルキャラだなぁと思いました。
艶と伸びのある歌声と、ガールズロックな曲との相性は非常にグッドナイス……服はパンクなんだけどさ。


シオンちゃん軸に回した話ではあるんですが、ドレッシングパフェの三人が持っている基本形が見える展開も周到に見せていて、こういう巧さ好きだな。
シオンが煽りドロシーが切れてレオナが間でワタワタするというのが、このおもしろポンコツトリオのデフォルト間合いなわけね。
小気味良く会話が飛び交い、ドロシーが全方位に噛み付くことでお話が回っていくという意味で、この凸凹した関係性はかなりいいと思います。
レオナが存在感を見せるお話があるとイイなぁ。

ぶっ飛んだ部分が目立つシオンとドロシーですが、キッチリ主人公サイドと因縁を取り、今後の展開の材料を手際よく揃えていたのはさすがでした。
アイドルへのハードルを囲碁の代用判定でぶっこ抜く手際といい、フックのある過去をあっという間に捏造する手腕といい、熟練のPC4みたいな動きで感心しちゃったよ。
そしてらぁらはまーた年上のお姉さんを籠絡して……アレはもう天性やね。

手際の良さという意味では、クマが手酌で調子に乗って手酌で心を新たにする展開は、1クールラストで盛り上がった流れに非常にうまく水を指し、もう一度物語が展開する土壌を均らすという難しい仕事をさらっとやってました。
クマがリセット役をやってくれたお陰で、完璧な終わり方を見せたソラミスマイルの新しい目標をすんなり受け入れることが出来るわけで、笑いを交えつつこういうシーンを入れてくるのは素晴らしい。
ゴミカスことウサギとの対比で、戯けつつ子供のことを考える名マネージャーというキャラ立ても出来るわけだしね。
本当にお釣りを取るのが巧いアニメだ。


第2クールを引っ張るメインキャラクターのお披露目回として、申し分のない出来でした。
こういう色の濃いキャラが、ただただ面白いだけではない部分を見せてくるのがプリパラの魅力であり、可笑しくてやがて哀しき神アイドルという展開に大いに期待が持てます。
取り敢えず来週は直接対決第一回目っぽいので、楽しみに待とうと思います。
……ソラミ負けるほうが美味しいかなぁ……。

 

・ ガンダム-Gのレコンギスタ-
新番組一発目はよりにもよって、富野由悠季15年ぶりのガンダム
なんというか、ジャングルの中をローラーコースターでぶっとばすような、疾走感と高揚感のある出だしでした。
いやー、ワケわかんなくておもしれぇな、このアニメ!

状況設定としてはUCが終わって時が行き過ぎ、軌道エレベーターを利用したエネルギー供給が行われている世界。
モロ宗教団体が超エネルギーの管理をやってる所がSFテイストですが、主人公はそこの防衛組織見習いであり、宇宙海賊を隠れ蓑にした地球軍と運命的衝突を果たしたよ、という感じか。
洪水のように社会・文化・組織・技術その他設定が、富野節全開の説明ゼリフとともに押し寄せてくる酩酊感。
異国に飛び込むときにはこれが無いといけないわけで、ワッと情報の海に溺れさせる手腕は流石。
気持よく溺れさせるように、建物や小物のデザインの切れ味を上げているのが良い。

お話の方もかなりの急展開であり、空からお姫様と天使が同時に落ちてくるわ、それを追いかけて敵が攻めてくるわ、息を休める暇のない流れ。
取り敢えず主人公が運命に出会ったことと、G-セルフという聖剣を抜ける特別な存在であることはわかったので、じっくりとこの後の展開を待つ。

世界に溺れつつも前のめりに見れるのは、状況が止まっているタイミングが少なく、アクションシーンと平行して世界を見せているからだと思います。
ビンタしたりされたり、高いところから落ちかけたり、崩壊する場所から脱出したり、高速飛行する機械の上でむき出しの風を受けたり、とにかく状況が落ち着かない。
危機的状況にキャラを常時追い込むことで、それに対する対応が生まれ、キャラが見えてくるということかな。
そういう意味では2話ラスト、主人公ベルリが初の殺人を敢行した時のリアクションは、ワンワン泣く姫様と合わせて色々見えてくる良いシーンだった。

ロボットの描き方は巨大戦闘機械というよりも巨人であり、人間っぽい動きの付け方が、乗ってる人の体温を感じさせていた。
一話冒頭で姫様を恐る恐るマニュピレータで受け止めたり、妙にむき出しの風を浴びるシーンが多かったり、機械によって延長されてなお存在する身体感覚みてーのを重視してんのかな、とか感じた。
あんま『ウッヒョーロボットかっけー!!』という興奮一本で持っていかず、キャラの置かれた状況で盛り上げていきたいのだろうか。


キャラの話をすると、ベルリくんはエキセントリックな要素もありつつ根っこは誠実な好青年で、好みのタイプ。
姫様も思いの外ポンコツかつ善人で、同じように好みだ。
露骨に足手まといで厄介モノなラライヤちゃんを、教官を含めて学校の人達が優しく扱ってる所もかなり好き。
キャラクターのニンがいいのは、お話を好きになる上で大事だなぁとか思ったよ。
高垣さんが声やってる幼馴染が姫様に早速ジャブを打ちまくっていて、色んな所に火種を用意してるんすね。

あ、あと主席がソッコー仮面被ってて爆笑した。
悪堕ち早いなお前!!
ベルリくんも姫様の国のスーツ着てたし、これからは今いる国を飛び出して姫様国に行き着く流れかな?


まとめると、雑然として温度差が激しく、分かりにくくて解りやすくて、面白いアニメだった。
理路整然と綺麗に並べるアニメも僕は好きですが、このくらいグチャグチャで、同時にその裏側に確かな意図を感じるアニメも好きです。
物語はまだまだはじまったばかり。
異質な世界で繰り広げられる、少年と少女のお話がどうなるのか、とても楽しみですね。

 


・ アイカツ
色んなモノが一新されつつ、名残るものは名残るアイカツ三年目。
世界観は継続だし、半年かけてあかりちゃんを視聴者に馴染ませるという飛び道具の効果もあり、何よりも丁寧な劇作哲学を維持していて、興味深く見れました。
見慣れたアイカツへの安心感と、変化した部分の新鮮さが相俟った、面白い三期第一話という感じ。

生来の天才・星宮いちごに変わり、天性の凡人として主役の任を受けた大空あかり。
"あまりにも成功しすぎた主人公の後釜"という重責を背負いつつ、"あこがれの芽生え"の段階(一期で言えば第一話)は二期でやったので、トップアイドルのマネジャー争奪オーディションという、一期二話を踏まえたお話が展開されました。
青い髪のパートナーと鍛錬を重ねる展開も同じですが、アイカツらしいトンチキさは先取り気味に継承してて、キッチリ崖登りしてました。
美味しいシーンは迷わずリフレインさせるアイカツの貪欲さ、俺は好きです。

あおい姐さんの立場にいるスミレちゃんは、入学前からいちごの親友であり最初のファンですらあった姐さんとは大きく異なり、半年間会話もなかった『美人だけど、なんとなく近寄りがたい女の子』という立場。
強引にユウちゃんをすっ飛ばしてまで白紙な状態で出会わせ、初対面のぎこちなさを丁寧に描写し、いちご&あおいの『初手から仕上がった関係』とはまた別の距離感を、画面に乗せてきました。
天才・いちご-凡人・あかりの対比といい、前作の成功点を踏まえつつ、それを壊さないように別角度から攻める気概が画面の端々から感じられ、なかなかいいリスタートだと思います。


スミレちゃんは『スターライトの学友≒ライバル』という、考えて見れば当然だけど、アイカツ世界が持っている優しい毒に甘く溶かされて、気付けばなぁなぁになっている価値観を持っており、それを理由に人と距離を置いていた女の子です。
蘭ちゃんさんもいちあおとコンタクトするまでは似たようなこと言ってた気がしますが、あっという間に鈍らになってたわけで、優しい世界を際立たせるスパイスとして、スミレちゃんが気にかけている厳しさがどこまで維持できるのかは未知数です。
しかしまぁ、傷つきたくない・傷つけたくないという思いは優しさと臆病さから生まれるものであり、そういう態度一つから心根が見えてくる巧みさは損なわれておりません。

あかりちゃんは今回「美人だなぁ……」言い過ぎ頬染過ぎでしたが、これは距離を作るスミレちゃんに対しグイグイ行くための動機付けであり、同時に『スミレちゃん=美人』というキャラ記号を、あかりちゃんを通して視聴者に飲み込ませる手法なわけです。
興味を持ちつつも発話のタイミングはスムーズに行かず、せっかく生まれた会話もすぐに立ち消えてしまい、興味も今までの経験も異なる二人は、紅茶を飲むにもどこかズレている。
一緒にアイドル活動を始めるまでのギコチなさの描写は特筆すべき巧さがあって、此処ですれ違いが発生しているからこそ、後半アイカツを通じて打ち解けていくシーンの説得力が生まれる。
崖登ったり露骨な販促をブチかましたり、エキセントリックな部分のフックの強さが目立つアイカツですが、キャラの細やかな心情をどう映像に乗せ、視聴者に届けるのかという土台の強さがあるからこそ、フックがフックとして機能していると再確認できます。

そして、噛み合わない二人が理解し合う手段はいつもの様に過剰に身体的であり、走って踊って崖を登ることで、絆が深まっていきます。
アイカツ世界は体を動かし汗を流すことで全てが解決していく、超がつくほどの身体的世界です。
アイカツ世界ではマイナスの感情を他者に向けることが許されない以上、許容される負の感情は自罰、不甲斐なさへの憤りのみであり、それを解消する手段として"体をイジメる"シーンが多用されているのは、なかなか面白いところだと思います。
言葉でお互いの距離を探っていた時のあやふやなギコちなさが、汗を流し始めるなりどこかに飛んで行くのは、とてもアイカツ的な表現ですね。


そんな感じでお互いを理解し合い、臨んだオーディションもまた、二期を踏襲するようにスミレちゃんの勝利。
あかりちゃんはターンの時腕が下る弱点を指摘されていたのに、改善できないままステージに上がっており、割と納得の負け。
とは言うものの、視聴者としてはとしては迷いなくスペシャルアピール出せてるだけで感慨もひとしおであり、『キュートフラッシュ決めただけやんけ。何驚いとんねん!』『そりゃ驚くぜ。アイカツ見てたやつなら誰だってな……!!』という感じ(アイカツ老け顔お兄さん爆誕)

3Dステージでの細かいブレも含めて、ストーリー内部の要素を丁寧に織り込んで、ステージを作るのは流石だと思います。
3Dモデリングも一新されてましたけど、やや頭身が下がって主線が太くなり、アニメ作画によせた感じかな?
新楽曲も非常にグッドで、ステージング単品の仕上がりはアイカツの強みですね、やっぱ。
OP出だしのビッグバンド感すごく好きよ。


実は今回のお話、『美人だけど、なんとなく近寄りがたい女の子』に初見で惹きつけられ、判っていこうとするあかりちゃんの視座以外にも、スミレちゃんの視点から終盤は語られています。
スミレちゃんが恐れ遠ざけてきた『他人と競いあい、傷つけてしまうこと』は必ずしも悪いことではなく、ポジティブな意味合いも持っているということをあかりちゃんから学ぶシーンで、物語の主客はひっくり返っているわけです。
それを表すアイコンとして、タロットカードの上下がアバンとエンディング前で入れ替わっているのは、非常にテクニカルかつ効果的な演出です。

あかりちゃんにとって、突然の雨とユウちゃんとの離別は"予期せぬ不運"ですが、スミレちゃんにとっては今まで持ち得なかった視点を与えてくれる"運命の出会い"でもある。
そして、あかりちゃん自身にとっても"不運や失敗"は彼女のアイドル活動を変化させる可能性に満ちた"運命の出会い"であり、そのことは実はアバン(もっと言えば彼女が登場した76話)で言った「これもいい経験」という言葉で既に示されている。
捉え方でひとつの事象が正反対の意味を持ってくるのは正にタロットの正逆そのものであり、一つのアイコンに多重な意味をもたせ、テーマの扱いに一貫性をもたせるのは、本当に巧いですね。


そんな感じで、新体制のおおまかな構図を視聴者に見せつつ、継続する部分と変化させる部分両方に気を配った、素晴らしい三期第一話でした。
二期の頃よりはるかにレズ濃度が上がってるあかりちゃんに不安を覚えなくもないですが、まぁスミレちゃん美少女だししょうがないね。
氷上さんからスミレちゃんに呼び名が変わり、確実に変化した二人の関係はどこに向かっていくのか。
アイカツ、三期になっても目が離せませんね。