イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/11/2

・ Fate/UBW:第4話『戦意の在処』
序盤の山場たるイリヤ襲来を終え、士郎くんが思う存分ギャルゲーする話。
余りのギャルゲー濃度に番組間違えたかと思ったが、セイバーを中心にみんな可愛く描かれていてとても良かったです。
イリヤの入浴シーンと言い美綴との問答といい、追加シーン多いなぁ。

この段階では士郎くんはちょっと自分の命を粗末に使うだけの普通の高校生なので、キラキラした日常の中でうまい飯を食い、可愛い女の子とキャイキャイし、セバ子に見とれる生活を入れ込んでおくのは、モチベーションを見せる意味で大事。
……とか思ったが、あの子魂が根本的に修羅場向けな気もする。
そこ強調する意味での、美綴との対話挿入だろうし。
しかし今回見せた(生)暖かい光景が彼の帰還するべき場所なのも事実なので、そういうところを綺麗に描いているのはグッドだと思います。

しかし今回ヒロインっぽい動きをしたのはイリヤ、セイバー、桜、藤宮、美綴、そしてツンデレアーツ緑帯の実力を見せつけた凛ちゃんさんか……。
リストアップしてみると多いな……おまけに同居だしな。
まるでギャルゲーですが、そういう所から桜が攫われーの似合わないボンテージ服を着せられーのな展開になるのが、Fateだからね。(古疵をえぐりに行くスタイル)


一方PC1が日常シーンばっかやるので、地道な情報収集に手番を回す凛ちゃんさん。
まぁ<魔術知識>取ってない浪漫ビルドだからね、士郎のスペック。
今回のギャルゲーちっくな士郎シーンと、薄暗い凛ちゃんさんのシーンどっちがFateの本道かといえば後者なわけで、アクションシーンをぶっこむ意味合いも含めて、巧く流れを引き戻した感じがあります。
UBWは各PCがハンドアウトをよく見て、自分のやりたい事と話の流れ、両方を巧みにコントロールしてる印象ですね。

死んだ目をした教師もちゃんと出したし、キャス子の陰謀も尻尾を掴んだし、サクサク進むUBWでした。
次回もう柳洞寺突貫っぽいオーラですが、食い足りない感がないのは凄い。
温度上げる所と下げる所、アクションする所と日常する所、両方しっかりやってメリハリ効いてるからだろうなぁ。
しっかしアレだな、凛ちゃんさんの「殺すわ」は、ヒイロの「お前を殺す」くらい信用ねぇな。

 

・ Gのレコンギスタ:第6話『強敵、デレンセン』
惚れた女の尻を追いかけ運命に流されるまま故国と剣を交える立場になってしまっている少年が、二度目の越えるべきではない一線を突破してしまう話でした。
一話ほぼ宇宙域での作戦行動という緊張感の在るセッティングに、京田コンテがズバッとハマって映像としてグイグイくるシーンが多かったですね。
実際のコンタクトまで13分ぐらい使っているのに、索敵行動と姿勢制御、細かい位置取りのディテールで見せてしまう作りは素晴らしかったです。

しかし戦闘とその下準備・後始末が血沸き肉踊るほど、死んでしまったデレンセン教官殿の取り返しのつかなさは刺さる。
ミノフスキー粒子散布という戦争を有利にするための戦術が、コミュニケーションを阻害して望まぬ殺生を生むというのは、どうにもやりきれなくイヤーな気分になる展開で、戦争前夜を描いているアニメとしてはとても正しく誠実だと思います。
登場人物各員は正しいことをしたいと願っているはずなのに、地滑り的に事態が最悪化していくのは戦争状況のドラマとして生々しく、どうにもやりきれない。
そして僕の感じているやりきれなさは、多分製作者側の狙い通りなんだろうなぁ。
素晴らしい。

状況だけではなく、死んでしまったデレンセン大尉の人物も、イヤーな気分にさせる大事な要素であります。
姫様が後出しで持ち上げてる部分もあるカーヒル大尉に比べ、デレンセン大尉は出番やベルリとの交流も多く、身近で立派な人だと感じられるキャラクターでした。
凄い勢いでキャピタル内部の政治抗争の道具として変化していくキャピタル・アーミーの中にあって、ベルリ救出という題目を本気で信じていたのはデレンセン大尉だけであり、そのことは今わの際の一言「ベルリ生徒であったか……」にも表れています。
そういう人物が自分を救出に来たのに、自分の手で殺してしまったというベルリくんの立場は実はカーヒル大尉を殺された姫様とシンクロする部分も多々あり、非常にイヤーな部分でヒロインと主人公が接近したなぁと思います。

ショックを受けつつも天才を救出し、人を殺した同じ日に人を助ける矛盾を行うベルリくん。
このアニメではモビルスーツが人命救助をするモチーフが何度も出てきていて、そういう相矛盾する要素を鋼鉄の巨人にまとめ上げ、ゴロンと提出したいのかなぁと一連の流れを見て思った。
混乱した状況の中で自分なりの理屈と、優先順位に基づいた的確な行動のとれる優秀な人材だというのが見えるシーンでしたが、そこで感情的になれない賢さが逆にシンドいというか、何というか。
思い返してみると、状況が要請する冷静な行動とどうにも出来ない心情の裂け目というのは、前回ベルリを褒めて泣いていた姫様とおんなじなわけで、こう言う部分でもヒロインと主人公の接近が起こっているわけです。

ずっと正義だと信じていた故国は戦略級兵器を勝手に作っているわ、軍事組織がノシてきているは、結果的に恩師をぶっ殺して敵国に認められるわ、ベルリくんを取り巻く環境は正に激流。
その中心点にGセルフという超兵器があり、それを運用して助けたり殺したりしているのはベルリくん自身だというのは、どうにも皮肉極まります。
運命に上がらえないまま死人の数は増えていき、国家間の緊張と組織の野望は膨張していく。
さて、ベルリくんはこれからどうなるのか。
とても楽しみです。

 

・ 四月は君の嘘:第4話『旅立ち』
『男有馬公生ヴァイオリニスト人生生き直し、もしくはプロローグ・エンド』というお話。
一話ほぼ丸々ステージングであり、同時に公生くんが囚われている檻と、その出方をもう一度見せる回でもありました。
あとまぁ、アシストに徹させることで、逆にかをりちゃんの蝋燭の燃やし方を見せる回でもあったか。

公正くんが追い込まれている苦しい状況の演出は、非常に鋭く良かったです。
音が聞こえない状況の息苦しさというのは譜面の檻に閉じ込められているというよりも、母以外の他者が見えない関係性で生きてきたのに、それを失ってしまった故の呼吸困難なんだろうなぁ。
実際のピアノ伴奏をガチャガチャにした説得力が、「タッチを柔らかく使え」という母の教えの尻尾を噛んで復活する流れは、音の聞こえないまで追い込んだのも母親なら、そこから抜けさせたのも母親という公生くんのマザー・コンプレックスを巧く表していて、こりゃ一筋縄では筋道付かんぞと思いました。
そういう意味で、かをりちゃんは文字通り横っ面をいきなり殴りつけてきた、男有馬公生・人生初の母親以外の女性なわけだ。
椿ちゃんまじ勝ち目ねぇ……また残忍に自覚させられていたけども。

しかし彼女はヒキで華麗にぶっ倒れたわけで、この後の演奏人生を寄り添って暮らすのは無理そう。
手順を踏んでおしとやかに音楽家のキャリアを積んでいく余裕が無いからこそ、ダイレクトに観客と繋がり、生きた証を少しでも回収したい気持ちが彼女の演奏には在るのでしょう。
生き死にのことはやはりデリケートな題材だと思うので、感動ポルノにならんよう扱って欲しい所です。
……まぁこのアニメなら多分ダイジョブだと思うわけですけどね。

とまれ、有馬公生復活の舞台は失敗して成功して失敗して終わりました。
かをりちゃんも伏せていた札を見せて、序章の転がし方としては非常に宜しい塩梅。
ここから繋ぐ音楽と青春の人生舞台は、どんな感じになるんでしょうかね。
これからの展開も楽しみです。

 

・ プリパラ!:第18話『レオナ、全力ダッシュなの!』
常に攻め続ける女児アニことプリパラ、ジェンダー闘争の最前線に身を投じる回でした。
と言いたいところなんだけど、プリパラ世界は非常に性差意識が成熟しているらしく、女の子のアバターでアイドルしててもさらっと受け入れられていた。
そういうところに気を配った扱い、凄く好きよ。

とは言うもののレオナが投げた爆弾の威力は大きく、そっちばっかに目が行きがちなわけですが、脇キャラの描写も鋭く深く、とってもグッドナイスでした。
第13話とかでもそうだったんですが、ポンコツに見えて要所要所で年長者っぽい落ち着きと包容力を見せ、自分で言っているように変化してきてるソフィの描き方はとても良いと思います。
今回一番切れ味が良かったのは実はシオンだと思っていて、囲碁チャンプとして確立した自信を振り回すことで話を引っ張ると同時に、レオナの受身の姿勢を長所と捉え直す柔軟性もしっかり見せることで、ドレパのリーダーとして懐の深さを見せました。
無論主役であるレオナの強味と弱味をしっかり描写して、本質を変えることなく前進していく軸の太さあっての、脇役の光り方なのですが。

あと、想像以上にズブズブに弟依存症だったドロシーな。
前回その片鱗は見せてはいたんだが、思いの外レオナレオナ言っていて、引っ込み思案な弟を守っているうちにそういう立場それ自体に依存し始めたのかなぁと考えると、優しい子なのね。
らぁらの大声にしてもそふぃの虚弱にしても、このアニメは一般的にマイナスと取られる資質をポジティブに捉え直し、プリパラという夢の国で力に変える構造を持っているので、ドロシーの過度の優しさも前向きに捉えているわけです。
バカネタしかやっていないように見えて、コンプレックスや迫害に繋がりそうな要素を非常にソフトかつ丁寧に扱う姿勢は、プリパラの凄い良いところだなぁ。

そんな感じで、粒の立った素晴らしいレオナ個別回だったと思います。
次回は過去エピ絡めつつのみれぃ&クマ回らしく、今回の出来を見ると期待も高まります。
やっぱ個別エピに切れ味の在る長期シリーズはつえーなー。