イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/11/5

・ 天体のメソッド:第5話『光の花』
柚季の止まっていた時間が七年目にして動き出し、振り上げたまま振り回していた拳がようやく下ろせるようになった回。
ビンタ二号は落ち着くべき所に落ち着いたので、ヘッドホンを付けたビンタ一号攻略が今後の課題になるんだと思うが、そこら辺はノエルが先鞭をつけていた。
汐音に関しては、『人の話を聞く気があるときは、必ずヘッドフォンを耳から外している』というのがいかにもこのアニメらしい直喩で、なかなか面白いと思います。


今回見てて再確認したのは、このアニメはやっぱり過去と後悔を巡るお話なんだな、ということ。
円盤追放という一見社会的活動に見える(もしくは、そう取れるように意図的に演出していた)柚季の空回りも、全ては七年前の桟橋での花火に絡みついた後悔を、どう落着させていいかわからない(というか解っていてもその通りに行動できない)内面的な問題なわけです。
だから、七年前の共犯者であるはずのこはるに拒絶されてからは一切の活動を止めているし、止まっていた過去を始動させた実行犯は、過去それ自体であるノエルになる。
写真の中で止まっている時間が問題解決のためのフェティッシュになるというのも、今後軸になるだろう汐音へのトスかな?

柚季のお話においては、花火が重要な仕事を担っている。
上がらない花火のために、七年分伸びた社会的な背丈を利用して電話をかけ、結局は中学生らしく何も動かせない乃々香の無駄な働きはしかし、七年分大きく硬くなってしまった子供たちの心と体を鑑みれば、やっておかなければいけない無駄なのだろう。
七年分の涙を吸い込んで付かない柚季の花火も、円盤を受け入れてしまった大人の世界からやってくるはずの打ち上げ花火も、今回は光の花を咲かせることはない。
手に入るのは湊太の持ってきたしょぼい線香花火と、ノエルが子供たちには見えないように魔法を使って打ち上げた、円盤の中の花火だけだ。

線香花火は七年前の子どもの世界と、多分七年後に否応なく属してしまうだろう大人の世界の丁度中間地点にいる、ちっぽけで無駄なことしか出来ない中学3年生たちの身の丈そのものだ。
そして綺麗過ぎる魔法として打ち上げられた円盤の花火は、過去の思い出を取り戻し、これから歩き直すことがいくらでも可能な中学3年生たちの可能性と夢であり、線香花火の小ささと空を支配する円盤の対比と同居は、そのまま今彼らが持っているものを示しているのだと思う。
成長することの出来ない子供でありながら、同時に失われた母親でもあるノエルがいなければ、その場には線香花火しか無かったことを考えると、この話は魔法の話でもあるのだろう。


天使が魔法を使い、人間が今できることをして、ようやく後悔は居場所を見つけて時間は前に進みだした。
まだ何処にも行けないままウロウロしている子供が一人いるけれども、彼女の時間もまた面倒くさい逡巡と衝突を経て動き出すことでしょう。
というよりも僕は、そうあって欲しいなと最早願う位置に在るわけです。
今回もまた、いいお話でした。

 

・ selector spread WIXOSS:第5話『この苛立は覚醒』
少女地獄草紙第五話目は、『バトキチ故郷に帰る』と『過去の2つの顔』二本立て。
るぅ-イオナラインに大きな変化が起きたことと、新キャラふたせの過去話がメインとなるお話でした。
遊興する禍津神こと繭さんの事情も、少し見えたかな。

一期では完全に意思疎通不可能なWIXOSSターミネーターとして描写されていたイオナさんですが、二次元世界の住人となり、散々るぅ子に袖にされた結果体温のあるアクションを起こすようになりました。
出だしが蟲っぽかったのはタマも同じことなので、やっぱ二期はイオナさんのルリグ人生生き直し講座が軸なんだなぁ。
るぅ子に何かを伝えたくて吠えたのに、タマという鏡を通じてしか思いを届ける手段がないイオナさんの苛立ちと切なさは、なかなか意地の悪いセッティングで素晴らしいと思います。

そういう意味では、ノンビリと絆・覚醒・大勝利のジャンプ文法に浮かれこいてるるぅ子の脳天気ぶりは、製作者サイドの意図通りイラッと来るやね。
獲得した人間性がるぅ子に通じてんだか通じてないんだかいまいちわからない、つうかあの子基本タマしか見てないので、二人の間に絆が芽生えたと格言はできかねるわけで、この生煮えではっきりしない関係描写は、WIXROSSにしかない強さだと思っています。
今回うじうじグダグダと悩んでいたバトルにしても、るぅ子が恐れている犠牲も、必要としている救済も両方持っているわけで、根本的に煮え切らない世界律でこのアニメは動いておるわけです。
世界全体を覆うルールと、どん底から始まったるぅ-イオナのラインが持ってるルールがシンクロ出来ているのは、残忍な世界を少女が革命していくお話としても、思春期の少女の成長譚としても、なかなか巧い作りだなぁと思いました。


一方小説家先生は、典型的なルリグと言いますか、セレクターを型に嵌めて現世の肉体を手に入れる詐欺師女郎でありながら、被害者に感情移入もしちゃうつー、これまた煮え切らない存在でした。
あの世界、一衣-遊月ラインみたいな正しさだけを追い求めることの出来る正道主義者は殆どいなくて、みんなふたせ-文緒ラインのように騙し騙され願いを背負って、自分勝手な贖罪に酔っ払って生き延びてるイキモノが殆どなんだろうなぁ。
そういう意味ではようやく"普通の元ルリグ"が舞台に上がった感じがあって、なかなか面白いキャラクターだと思います。

この世界のゴミクズっぷりを煮詰めて生まれたような黒幕こと繭さんの事情を、よくよく知ってるふたせがメインに踊りでたことで、根本的な設定周りにもタッチする回でした。
繭さん、行動原理があまりに私欲と自己防衛に偏ってるので、「黒の少女だの白の少女だの、クズ女の寝言なんじゃねぇの?」という疑問を禁じ得ない。
が、ゴミクズ女が神様になっちゃってるがゆえにこの世界は悲惨で中途半端で残忍なわけで、幼稚な寝言にしか聞こえないあれそれも、おそらく世界の根っこに関係する重要ポイントなんだろうなぁ。
ココらへんの妄言と真実が高速でカットバックする感覚も、このアニメの特色だなぁと思います。

白と黒、妄想と真実、仁愛と私欲、嘘と本当。
天秤の両極が危ういダンスを続ける少女の地獄も、まだまだ終りが見えません。
さて、次に傾くのは誰のどんなバランスなんでしょうね。
底意地の悪い楽しさを徹底してくれるこのアニメ、とても好きです。

 

・ 神撃のバハムート:第5話『Rescue in Sword Valley』
第一部完! ッて感じで、敵飛行要塞に突入し分断され活劇して救出するまで一話にまとめあげたスーパーアクション回。
悪魔側の事情も説明しーの登場人物の心情も見せーの、凄くたくさんの事をしておいて、焦ってる感じが一切ない滑らかなお話運びに感心。
無論、血沸き肉踊るアクションと神話級のど派手さが炸裂してた合戦シーンも素晴らしい。
ホンマ銭爆弾の落とし方を、一切間違えないアニメやで……。

派手な部分も凄かったんですが、今回一番いいなぁと思ったのはお話の岩盤になるモチベーション周りの処理でした。
主人公サイドが非常に泥臭く裏切ったり小銭を稼いだり情に流されたりしているので、神話級にカッコつけた悪魔だの天使だのとは交わらないかもなーとか思っていた所に、アザゼルさんが黒幕ッ面でべらべらカイザルを煽ってくれたお陰で、小汚い(元)賞金稼ぎと(元)貴族が超パワーを秘めたデーモンロードに一発カマさなきゃいけない理由が、しっかり出来ました。
キャラが物語の中にいる理由を疎かにせず、足場になる部分をしっかり描写してくれるのはほんとうに有難い。

なんだかんだ悪ぶりつつも、昔馴染みと今の道連れを気にして死地に赴いちゃうファバロとか、悪魔に色々そそのかされつつも一目惚れした女を信じ続けるカイザルとか、憎まれ口を叩きつつみんなを助けるために的確な行動(主にロケットパンチとドラゴンゾンビ作成)する年長者とか、散々強キャラアピールしてきたのに必要なタイミングではヒロインムーブも出来るアミーラとか、キャラの個別描写も良かったなぁ。
特に襲いかかってきた時のカイザルのギリギリ感は秀逸で、『こいつどんだけヒロインなんだよ……』と思うと同時に、ファバロが全部悪い! と思いこむことで何とか世界を維持してる切なさが鼻水と涙だらけの汚ッい顔に表れていて素晴らしかったです。
ファバロは覚悟を見せるために賞金稼ぎ辞めちゃったけど、話がどう転ぶのかなぁ。
作中の言葉を借りれば『それは風が教えてくれること」ですかね。
これキーワードにした見せ方も、雰囲気あって良かったですね。ブレカナっぽいというか。


ワーブゲード遮断による首切りから始まって、カタパルトに矢ぶすま、空を疾走するドラゴンライダー軍団にジャンヌの英雄的一撃と、聖騎士団の圧倒的武力描写は正しくバハの強みを最大限活かしてました。
それだけで押し切るのではなく、ファバロサイドの小狡い動きと巧く噛み合わせることで、各々が身を置いてる環境の違いも説明されてるつーのが痺れる。
大砲撃の隙間を縫ってチョコマカチョコマカ逃げまわってるところは、人間三大欲求の一つである『運命とか神と悪魔の宿命の戦いとかに巻き込まれて、くっだらねくて小汚い人間の意地を押し通したーい』欲求を最高に満たす素晴らしいシーンでした。
拷問の専門家であるパズズを、知恵とコンビネーションを駆使して車輪裂きでぶっ倒す所も、洒落てて良かったなぁ……。
予算と時間をかけたアクションシーンが上滑りすること無く、しっかり仕事をしてるのがバハのスゲーところだとつくづく思います。

高速で展開しつつ中身もたっぷりなので何かが終わった満足感でいっぱいですが、アーミラの出生やらファバロ&カイザルの仇討ち、神魔宿命の戦いの行方などなど、解決してないことはいっぱい。
何よりタイトルになってるバハムートさんが『何かが起こる……何かが起こーる!!』と意味ありげに持ち上げられているだけなので、そこら辺で何かが起きないと俺が困っちゃうわけよ。
二人と二人の珍道中から四人の珍道中になるのか、はたまた別の転がし方をしてくるのか、今後の展開にも期待がメラメラ燃え上がる回でした。
いやー面白い、マジ面白い。