イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/11/7

・ ヤマノススメセカンドシーズン:第17合目『高いところって、平気?』
相変わらず一生あおいの面倒見てるひなたのサラっとした愛情が逆しまに重たい登山アニメ、今回は公園でデート。
『年頃の女の子が生命力をキラッキラさせつつ、ただただ可愛い』というハードコア・ハッピーな感覚は調子いい時のアイカツにも似ていて、お肌がツヤツヤになる。
向日葵コンビは高校生とは思えないほど子供っぽいところがあるので、そういうのを前面に出されると俺のガードも表情もガンガン緩むネ。

今週は久々に四人で遊んでいて、そういう意味でも多幸感溢れる空間だった。
いやな、富士山登ってからこっち、向日葵チーム閉じたイチャイチャしすぎやねん。
好きだけどね、閉じたイチャイチャ。

重心移動を意識したアニメートが凄まじく上手く、スタッフ誰だろーと思ったら江畑諒真の一人原画&作監だった。
コンテより原画のほうが人数少ないってなかなかスゲェな。
天体のメソッドEDもそうなんですが、ヌルっとした生命力の在る動きでティーンの少女を描けるアニメーターであり、ヤマノススメとの相性は良いと思いました。
ヤマノススメは一人原画多めの作品で、時々凄い攻めをする。
話の展開にしても演出にしても作画にしても、油断できないところがヤマノススメのグッドな所。

 

・ 柩姫のチャイカ  AVENGING BATTLE:第5話『皇帝の遺産』
Drモローの島というか、昭和の特撮ノリだった皇帝ラボを縦横無尽にぶっ壊し、武器になる女の子を無事ゲットするお話。
量産型亞人の狙いすましたようなマヌケっぷりやら、謀反フラグをこれでもかと積み重ねるイズマッシさんとか、見事に悪の組織だった。
お陰で白と赤、双方のチャイカチームが共闘しての大乱戦が見れたので、このアニメのアクションが好きな男としては満足。

合流してからも良かったですが、分断されたままウロウロする所も結構好きで、特に赤白チャイカ+ハナカマキリ砲の珍道中はペーソスがあって良かった。
君らカタコトでコミュニケーションするのではなく、ガズ帝国語で喋ればよかったんでないかね。
まぁチャイカトーク可愛いからな……しょうがねぇな。
あとアカリが今回も平常運転の大暴走で、とても安心しました。

エピソード全体の仕事としては前回、チャイカ計画の真相を伝えたところで終わっているわけで、ダイナミックなアクションシーンはいわばオマケ。
なんだけど、バッサバッサと雑魚を撫で切りにする無双アクションは見ていて興奮するわけで、オマケをキッチリやるのは大事。
アニサマがワイヤーブレードで対空攻撃する所とか、フレデリカがイイ眼してた所とか、色々見どころがあったのう。

お話の方はハルトリンゲン御前試合に移行するみたいですが、あっちにはジレット隊長もいるし、今回蚊帳の外だった銀チャイカにスポットが当たる感じかな?
今回の島編もろくでもなかったですが、既にあらくれ共を集めてバトルロワイヤルさせてるとか、事前情報だけでろくでもねぇなハルトリンゲン。
さてはて、どうなる感じかな?

 

・ 四月は君の嘘:第5話『どんてんもよう』
春の嵐のように行き過ぎた最初のコンサートも一段落、少年は太陽に怯えつつその圧倒的な光に引き込まれ、少女は輝きを持たないがゆえに鈍く光ろうと努力するという回。
石浜真史新世界より監督・ヤマノススメ二期OP)と小島崇史(新世界よりキーアニメーター)の強力タッグが生み出す、圧倒的に端正で美麗な作画が青春の季節にパワーを与えていて、胸の奥がキュッとなる話だった。
どうにもならんね、チャームというものは。

今回も一話と同様、曇天のモノクロームと夕刻の金色世界が綺麗に対比され、それを公生くんの前に持ってきたかをりちゃんがどういう存在なのか、非常に分かりやすい演出がされていました。
心の動きというのは表現で伝えるのがなかなか難しい要素だと思うわけですが、演奏シーンだけではなく、青春の裏に潜むキラキラ爆弾の描写もこのアニメは切れ味が鋭く、視聴者に良く届く仕上がりになっています。
公生くんが今再獲得している人生の光がどれだけ視聴者に届くのかというのは、アニメの生き死にそれ自体を決定的に極めてしまう重大要素だと思うので、今回のようなキラーパスをしっかり出してくれるのは素晴らしい。
そういう意味では、要所要所で挟まれる中学生ポエムもいい仕事してるよなぁ。

自分自身才能があり、命を燃やしてヴァイオリンを弾くかをりちゃんという運命とも出会ってしまった以上、どんだけ否定しても公生くんはピアノを弾き直すしかない。
演奏という行為、表現という営為が持っている魔力を同じかをりちゃんは知っているし、死病でリミットが限られているからこそ、灰色で音のない世界で藻掻いている公生くんよりも、よく知っているかもしれない。
今回は作画・演出・演技その他、アニメを構成するすべての要素がきっちり咬み合って、怯えつつも手を伸ばし、かをりちゃんという運命に導いてもらう公生少年の揺れる心情が、よくよく表現されていたと思います。


そんな回だからこそ、椿ちゃんの凡人人生が痛ましいというか愛おしいというか、何というかこうもーキュッとするわけですよ。
椿ちゃんは音楽の魔力を知ることの出来ない、ステージに立てない大多数代表なわけで、公正くんが見ている世界、知っている快楽を理解できない。
だけど優しいから、快楽の場所であるステージで公生くんが獲得した痛みには強く共感しているし、結局のところ演奏以外で天才が満たされないこともうっすらと感覚している。
だからこそ、かをりちゃんに引き合わせたのだろうし。

椿ちゃんの痛ましいところは、天才の隣に立てない自分を強く自覚して、資格が無いから一歩引いて、背中を押すだけで満足しようとして、ミンナが憧れるかっこいい先輩と付き合ってみたりもしてという、賢くて優しい部分だと思います。
実際の話かをりちゃんには色んな意味で勝てないと思うし、あり得る可能性として中学生であの子が死んじゃったら公生くんにとってかをりちゃんは神様になっちゃうだろうし、最初から負けの見えてる試合ではある。
だから投げないというのは賢い立ち回りではあるんだが……それは嘘なので痛ましい。

嘘といえばかをりちゃんが入院の回数を偽ってましたが、そういうの切ないんでやめてくれますかね……。
このお話に出てくる中学生たちは、みんな臆病で賢くて、周囲のことを慮って嘘をつく優しい子たちばかりです。
そういう子たちのお話が、今回みたいなセンシティブで柔らかい表現で紡がれてるってのは、幸せなことですよ。

子供たちの不安定で幸せな現状というのは、今回非常にクリアに届きました。
では、演奏という爆弾を持っているこの子たちは一体どういうふうに、人生を転がしていくのか。
今後が楽しみですね。

 


・ アイカツ!:第107話『2人のドリーマー』
芸能人はカードが命! ということで、三年目初のデザイナー回。
いちご-あかりラインに揃えてか、新デザイナーも天羽さんの弟子、瀬名翼くんが担当することになりました。
今までのアイカツにおいて、デザイナーはみんな大人であり『頼りに行く対象』だったわけですが、セナくんはあかりちゃんにグイッと年齢を近づけ『一緒に成長していく対象』に変わりました。
主人公三人組だけではなく、色んな部分で変化させているなぁと感じますね。

その瀬名くん、夢にまっすぐと胸を張って邁進する好青年であり、ビックリするくらいまともだった。
今までの男デザイナーが『サイバネひきこもり』『吸血鬼ポーザー』『オカマ』『クソピエロ』という、味の濃いメンバーだったのもありますが、いきなり押しかけていまいち言語化できていない情熱を叩きつけてくるあかりちゃんにも真摯に対応する人格者。
あかりちゃんと二人三脚で一流になっていくのであれば、この真っ直ぐさは凄く良い。
染色する時しっかりジャージになってる生真面目さとか、僕は凄い好きです。

情熱と天性のアイドル力で突っ走るあかりちゃんと、落ち着いていて真面目でバランスのとれた瀬名くんのコンビは、恋愛関係というよりも共に高みを目指す同志として、凄く爽やかな距離感を持っています。
いや、恋愛に行ってもいいんだけどね、瀬名くん生き方がカッコイイからね。
二人の間合いがどう転ぶかはさておき、凡人たるあかりちゃんの成長譚になるだろうアイカツ!三年目には優れたサイドキックが絶対に必要であり、瀬名くんはその位置を埋める良いキャラだなぁと思いました。


出来上がったロマンスコーデはオデットモチーフであり、振付も白鳥の湖風。
衣装とコリオが噛み合っていい塩梅なのですが、曲がビッグバンド・ジャズというのは惜しかった印象です。
水面の反射、水しぶき、どこまでも抜ける奥行きなどなど、ステージの描写とかは凄く良かったんですけどねぇ。
オーラもスムーズに出るようになって、スペシャルアピールも少しづつ派手になって、じわじわと実力をつけてる描写がステージでも表現されてるのは流石です。

描写といえば、食堂で相談する時スミレちゃんとひなきちゃんが隣同士だったのは、異常にホッコリ出来る神めいた演出だった。
こうしてジワジワ間合いが詰まって仲良くなってることを示してくれる細かい気配り、非常に有難い。
初コンタクトの時の硬さを見てたらどーなっちゃうのという印象だった二人だけど、オッサンの杞憂だったみたいですね。
いや、良かった良かった。

106話続けてきてはじめて、星宮いちごが登場しないエピソードとなった今回。
あまりにも完璧で、あまりにも完成された主人公を真ん中においたことで大きな利点と、無視できない欠点を抱えてきたアイカツ! というお話も、ようやく別の形が見えてきたのかなと思える展開でした。
別の角度から物語に切り込んでいっても、今までアイカツ!が持っていた細やかさ、大胆さ、優しさ……つまりアニメとしての強さはやっぱり失われていなくて、1エピソードでキャラの魅力をグイッと突きつけてくるパワーも健在。
三年目のアイカツ! やっぱおもしれぇわと思わせる、素晴らしい回だったと思います。