イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/12/25

Fate/UBW:第11話『来訪者は軽やかに』
『今週はもう伝奇お休み! 看板!! 店じまい!!! 徹底的にラブコメ街道血反吐吐くまで!!!!(二度目)』という塩梅で、凛ちゃんさんがヒロイン力を稼……いだら最後にアチャ男が出てきて全部持って行く回。
アチャ男のヒロインポイントハイエナっぷりは、そろそろレギュレーションで禁止しても良いレベル。
凛ちゃんさんもロボット人間のこと本気で怒ったり、太腿を見せつけたり、健気にポイント稼ぎしてんだけどなぁ……。

話全体としてみると所謂タメ回であり、新能力に目覚めた士郎の代償と、そのメンテナンスにじっくり時間を使った。
麻痺した腕の描写がすごく細かくて、UBWの真骨頂はダメージ表現にあるという思いを強くする。(受けが上手いと攻めが強く見える、『バンプ=プロレス理論』信奉者の顔)
ダメージを深刻に描くことで、それを直してくれたアチャ男の株も上がるしね……此処でもお前がかっさらうんかい!!

そしてセバ子は今回も可憐で健気であり、特に目立ったアクションせず、士郎の側にいるだけでヒロインポイントを稼ぐシステムが完成していた。
いや、忠犬セバ公ッ面でアチャ男の前に立ったりしてたけどさ。
そんなセバ子が聖女陥落される前に第一期が終わりそうですが、どういうクリフハンガーをするのか。
そしてHP(ヒロイン・ポイント)ハイエナとHPハゲタカに囲まれた凛ちゃんさんに、一発逆転の秘策はあるのか。
UBW折り返し、楽しみだなぁ。

 

・神撃のバハムート:第11話『All Roads Lead to Abos』
最終話前にサブキャラのプロットを片っ端から片付ける! というわけで、天使が壊滅しバッカスが頑張る回。
横殴り部隊が活躍したお陰で、前回ヒキの絶望感から『なんとかなるかも』という気持ちになれたのは、エピローグ前としては嬉しい流れ。
主人公もメインヒロインも台詞無かったが、そこら辺は出番の徹底ということで、来週大暴れでしょ。
……その前に主人公蘇生しないとイカンけどね。

いろんなキャラの見せ場があった今回、一番株を上げたのは間違いなくミカエルさんであり、マルチネがジャンヌ落としに使った『神は人間を愛していない』というロジックを、体を張って否定してました。
定番といえば定番なんだけど、口移しの解毒をやるために片腕ふっ飛ばしたり、神バハらしい丁寧な画面作りが効いて、素直で綺麗なシーンに仕上がっていた。
彼が活躍する素地を作るために、ウリエルとラファエルは偉いあっさり死んだがな。

見事落下芸を披露してたカイザルも、ダークファバロをあっさり倒したりしてた。
あのシーンは無言で始まりあっさり殺すところが、逆に二人の複雑な関係を表現できていて良い。
一見無駄なようにも見えるトリッキーな奇策が、ファバロの強さを支えていたというね。
旅の中でカイザルが大きく変化したのが、獲物の交換で判るというのもグッドでした。

ようやくゴッドパワーを前回にしたバッカスとか、悪役ポジションを維持したまま共闘するアザゼルとか、やっぱ裏があったおじさんとか、他のキャラも輝いていた。
何より横殴り部隊をまとめ上げ、状況を直接変化させる解毒剤を生成し、ロケットパンチ(使い捨て)してまで仲間を救いに来たリタは、キャラ立ちと頼もしさを両立させたいい脇役よな。
神バハは真ん中から端っこまで、キャラのあんこがみっしり詰まってて全部食いどころなのが強いよなぁ。

しかしどんなに仕上がっていてもサイドはサイド。
来週来るであろう、ヒーローとヒロインの最後の追い上げに、期待が高まります。
いや、思いの外ベルゼビュート一派が崩れなくてさ……。
早いとこ憎いあンちくしょうの横っ面に、全力パンチをねじ込んで欲しいもんですマジ。

 

・天体のメソッド:第12話『円盤のない街』
『与えるためには、まず奪うべし』というわけで、ノエルのいない世界を20分かけて描写し、『やっぱノエルいねぇとニッコリ出来ねぇな』という結論を乃々香と視聴者の心に染み渡らせる回。
『ボクのこと、忘れてください』と言う側はいいかもしれねぇが、言われて取り残される側は一体どうしたらいいのよ!! ってなったら白ワンピ+麦わら+黒髪ロングというエロゲヒロイン三種の神器を装備した汐音が頼もしくノエキチッ面で登場してヒキ。
『Q なんで奇跡が起きたんですか?』『A 汐音の好感度が一番高かったから』という感想が思わず浮かぶ、昔なつかしエロゲっぽい展開でした。
いや、元からエロゲっぽかったし、『エロゲっぽさって』いう印象そのものを作ったのが、このアニメの原案・脚本なんだけどさ。

このアニメは印象を具体的なアイテムにして使うのが上手いので、世界線がずれた時の違和感や寂しさを、物品を映すだけで演出できるのがスゲー強い。
円盤グッズで埋まっていた土産物屋、ペットボトルロケット、怪獣の顔看板、乃々香の家の揺り椅子。
要所要所でしっかり演技をしてきたフェティッシュが、円盤のない街では別の顔をしている。
これを映すことで変わってしまった世界と、そこに取り残されている乃々香の寂しさが良く見える。

空虚を強調できているから、汐音が登場した時の安心感もあるしね。
10話くらいかけて攻略した対象が、主人公の大ピンチで駆けつけるという文法はスパロボに近いものがあるな。
外界への遮断を意味してたヘッドフォンを、手に持ってすらいないのはなかなか面白い。

変わってしまったものもあれば、変わっていないもの、変わったはずなんだけど維持されているものもある。
ノエルが苦労して解した心の頑なさはすっかり取れていて、『幼馴染が東京から戻ってきたら、意味分かんない女の子の話を初めた』つー状況でも、『判んねぇなりに苦しそうだし、なんとか解決しなきゃな』という態度を取っている三人はとても良い。
汐音に関しては今までの蓄積が重いからね……あれくらいのノエキチ&ノノキチだと、記憶くらい残ってるよねウン。
あと乃々香は『あの子は泣いていたんだ!』って想い出すのは、今までの経験が生きていて素晴らしい。


天メソは過去から現在、現在から未来へと繋がる想いのラインが非常に素直で、過去の思い出を絶対視するでもなく、現実の世知辛い干渉も絶対的敵視に晒されるでもなく、バランスの良い時間感覚を持っています。
『円盤のない街』の描写でも、ノエルを憶えている乃々香にとっては苦界なんだけど、覚えていない人にはそう悪くない世界、『普通の世界』として描写されていて、必ずしも乃々香の主観が世界を飲み込んではいない。
主人公の認識とは別に世界も他人も存在していて、かつ主人公はそこに影響を及ぼしうるという、言ってみれば至極当たり前で健全なお話として、今までの天メソは書かれていたと思います。
現実に適応し、子供が大人になっていく時間の流れもまた、比較的肯定的に描かれている。
その途中で擦り切れたり、失ってしまったりしてしまうものへの優しい視点はしっかり保ちつつも、変化それ自体を否定したり、敵視したりする態度は見られないわけです。

そういう視点を維持するなら、今回の因果巻き直しは発生させず、ノエルのいない世界でノエルを覚えたまま生きていく、というお話でも正直良かったかな、と思っています。
エロゲ文法で言うなら、それこそグッドエンド的な。
しかし今回時間と因果を歪めてまで、ノエルの欠落と乃々香の決意を見せたということは、このアニメはトゥルーエンドに入る、ということです。
僕が天メソの強みだと勝手に思っている『健全な現実認識』と、今回の大胆な因果改変をどうすりあわわせるのか。
それはさておき、可愛い可愛いノエルちゃんも合わせて六人でニッコリ出来るのか。
最終回、とても楽しみです。