・Fate/UBW:第22話『冬の日、遠い家路』
士郎の決戦前夜、もしくはヒロインダービー・ゴールライン。
そんな感じの、最後の平穏回でございました。
凛ちゃんさんが志郎くんとお肌の接触を果たしてメインヒロインの座を揺るぎないものにし、セバ子は自分のクエストにケリを付けたことを伝え、退場しても大丈夫な姿勢を整える。
決戦の前準備としては、中々申し分ない仕上がりだったんじゃないかと。
魔力譲渡に関しては確実に恋の零距離格闘(隠語)にもつれ込むムードだったし、各種メタファーは確実にイドの海の奥底(隠語)を指し示していたけれども、まぁFateは健全なコンテンツだからね。
……美しい花瓶としてお尻を突き上げた姿勢を、何週間も強制されていたセバ子の立場はどうなるの? とかは聞いてはいけない。
これで凛ちゃんさんが『7つのチャクラ全てを回転させる程のクンダリーニーの達人であり、法会においては羅刹三体を相手とする』くらいの設定がありゃ、セックスマジックで魔力ブーストしなきゃ不自然なわけだが、あの子一応正当西洋魔術師だしさ。
迂回路をたどった結果、凛ちゃんさんのピュアピュアな思いがよく伝わるイメージシーンが描写できたのは、思いがけない収穫というか。
ぶっちゃけ気持ちの重なりあいでアーチャーに負けておるので、ああいう細かい感情と、あざといヒロインムーブの掛け算でヒロインの座を奪取しないといけんね、凛ちゃんは。
それにしたって、士郎はよくよく高飛びを覗き見られる男だな……ああ飛ぶってそういう……。
一方、『Fateルートで散々やったから、お前がグダグダと悩むシーンはすっ飛ばす!!』とGMに言われたセイバーは、物分かりよく自分の気持をまとめていた。
まぁUBWは凛とアーチャールートだからね、仕方ないね。
色々グダグダいってますが、アチャ男に目線奪われまくりな士郎を充填して描写したおかげで、同じ理想と挫折を背負っているセイバーの気持ちも覆い焼きで描写できており、気持ちにケリをつける流れは納まりがいいと思っています。
ポエミーな草原のシーンには叙情性もあったし、なかなかいい形で身辺整理出来たんじゃないでしょうか。
……今更ながら、僕はセイバーのことが相当好きなんだな、うん。
ワカメも華麗に増殖を繰り返し、ヒロイン兼ラスボスとしての準備を整えてました。
後はちゃっかり生き残っていた門番とチャンバラして、慢心してる王様に主人公力を見せつけて、聖杯ぶっ壊してワカメを助けるだけだな!!
……こうしてまとめると結構あるけど、残り話数でなんとか描写できるでしょう。
分割挟んで2クールに渡ったUBWも最終盤、どういう魅せ方をしてくれるのか、楽しみですね。
・シドニアの騎士 第九惑星戦役:第9話『任務』
僕のイザナ君がヒロインレースぶっちぎりの大躍進を見せたと思ったら、Bパートで死神との契約書にサインさせられる回。
あんだけムーディーな空気出して意味深な省略とかぶっこんだのに、特攻兵器で偵察とかマジあんまりじゃないですかーッ!!!
まぁ生存のための絶滅戦争の最中だからね……ラブコメしてようと世界は容赦してくれないよね……。(ブツブツ呟いて自分を納得させるマン)
Aパートはイザナと長道のスーパームーディーキャイキャイと、可愛いちんぽの人格的成長を見せる展開。
ポリゴン・ピクチュアズ渾身の風景描写が非常にいい仕事をしていて、イザナ君のヒロインレースもスリップストリームに突入だ。
長道も満更ではない気配を出していたので、このまま行けば勝てる……可変性が天下を取る時代が来るッ!! と拳を握りしめました。
手のアップで感情を見せる芝居が巧くて、いい感じに二人の気持ちの盛り上がりにシンクロできたのはとても良かった。
一方ヒロインレースもう一人の本命は、進展する二人にやきもきしたり、出歯亀に罪悪感を感じたりしてた。
前々回あたりからブーストしてきたラブコメ描写は、長道&イザナの関係の変化を描写すると同時に、戦争兵器だったつむぎの人格が成熟し、様々な感情との付き合い方を勉強するためのものでもあるんだね。
そこら辺は、気づけば衛士たちに受け入れられ、弦打に八つ当りするシーンからも感じ取れる。
あのシーンヘッドホンで聞くと弦打の悲鳴がすンごいスウィングをしていて、笑いが増幅される。
音響、いい仕事してるアニメだなぁ……つむぎのトンチキ効果音とかね。
そんな平和な日常で和ませておいてかーらーのー! という感じのBパートは、彼らが置かれている現実が絶望的に厳しいものであることを再確認させるような、急転直下の展開。
ここの回転をすごく急に行ったのは、視聴者にショックを与えるだけではなく、『Aパートみてェなゆっるい幸せが、ずっと続けばいいのになぁ』という気持ちを自然と抱かせ、作中人物と視聴者の気持ちが一体になる、いい仕掛けだったと思います。
モブもすっげーあっさり死んだしな……ハードな展開をサラッとやることで、もう一つのシドニアらしさを思い出させるのに十分なBパートだったと思います。
しかし、イザナ君が死ぬのは許さんよホント。
ここ三話でのヒロインプッシュは異常に良く効いており、星白の時と同じくぶっ殺してショックを与えるには最高のタイミングだというのは良く分かるが、マジ許さん。
巨大ガウナを前にしてどう帰還するのか、一切良いヴィジョンが見えないけれども、生き残ってくれ、イザナ君!!
・プリパラ:第48話『6月6日、絶交アイドル』
4クール目クライマックス! ……には少し早いですが、4月からやってきたアロマゲドンエピソードもとりあえずのまとめということで、前回分かたれた天使と悪魔が再び結びつく話。
全体的な感情のラインに間違いはないんですが、ちょっと時間と盛り上げが足らない印象も受ける。
無慈悲なシステムにより、せっかく盛り上がって結成したそらマゲドン・ミも即座に解散だ!
……二年目やるかどうか、判んない状態が結構長かったんかな、このザラッとした扱い。
己のカルマを克服しようともがくみかんの姿を見ることで、アロマが一歩前に進み、二人の閉じた世界が成長していくという基本的な流れは、しっかり扱っていたと思います。
それを踏まえた上で、これまでのクールで見られた大袈裟とすら言えるダイナミックな盛り上げが、今回も欲しかったというのは、正直あります。
アロマゲドン編は4クール目に突入して10話目でクライマックスですから、これまでの話数の使い方に比べ、2話ほど早く最高潮が来てる計算。
もう少し長く時間を使って、あろまとみかんの業の深さと、それを乗り越えるドラマをじっくり描いても良かったんではなかろうか、などと思う。
1クール目なら偽りの儀式をぶち壊してのトリオ結成、2目クールなら愛ゆえに憎んだ過去との和解、3クール目なら人形の死と復活。
バカげたコメディを本気で描きつつ、起こる出来事はそこに込められた感情にふさわしくドラマティックで、事件が派手に描かれればこそ感情の盛り上がりが引っ張られる側面は、たしかにあったと思います。
今回の話はみかんが己の食欲を我慢し、ケーキを再び作るというコンパクトなもの。
等身大の気持ちが伝わるといえばそうなんですが、やはりぶっ飛んだケレン味はプリパラの持ち味であり、あろまとみかんが魅力的であればこそ、強みを活かして料理して欲しかったなぁ、とか。
いきなり苦言から入ってしまいましたが、小学六年生の繊細な気持ちは嘘なく描かれていて、プリパラもう一つの強みはしっかり生きていました。
あろまの頑なな姿勢とか、生っぽい小学生の絶交加減とか、気持ちの上下はしっかり描かれていて、誤解を解いてお互いの世界拡張を認め合う落とし方もグッド。
『全部食べてしまいましたなの~』のところは異常に艶めかしかったがな!
前回の『お腹が空いたら誰からでも食べるなの~』発言といい、スタッフにみかん=ニンフェット
として描写したくて仕方がない病気の人がいるな……。
というわけで、一旦アロマゲドンのお話は一段落つけて、別の方向を探っていく感じに。
システムのクソみたいな介入で強制的に場が平たくなったので、ソラミ+ゲドン以外の組み合わせも可能だしな。
……どう考えても後付ちゃぶ台返しで悪手なんだけど、めが姉&めが兄のシステムギャグで強引に笑いに変えて視聴者に飲み込ませてるのは、凄いことだと思うよ。
・GO! プリンセスプリキュア:第19話『はっけ~ん! 寮でみつけたタカラモノ!』
トワイのベビーターンという一大イベントに向けて、お話のペースを落として整理を付ける回でした。
あまり派手なイベントのない地道な回なのですが、梅雨に相応しい、しっとりとしたお話運びに仕上がっていました。
今まで積み上げてきたものを再確認する流れは、要素の蓄積をしっかりやってるプリプリにはとてもマッチしたエピソード。
こういう話が合間に挟まると、お話全体の見取り図を描きやすくなって、とても良いですね。
いつもとは違う取り合わせで話を進めることで、人間関係の風通しが良くなるのもグッドでした。
今回のテーマを一言で言えば『自分では気づかない成長/変化を、他者を鏡にして確認する』というもの。
はるかは謙虚なキャラなので、自分で『どや!! アタイプリキュアとしてバリバリやろ!!』とか胸張られても困る。
なので、自然と他人が彼女の成長を教える形になります。
他人に教えられた成長を、実感のないものとして受け流すのではなく、最終的に自分の血肉に変えているところが、はるかの主人公力高いところですね。
成長の指摘をいつも仲良しプリキュア三人組でやるのではなく、寮イベントという形で普段交流の少ないメンバーに担当させ、風通しを良くしたのはとても良い。
世界救済というヘヴィなミッションを共有する三人の関係が、濃く強く密接なものになってくのはある意味仕方ないのですが、同時に閉鎖された感じが出てきてしまうのも事実。
しっとりと煮詰まった関係も良いっちゃ良いんですが、プリキュアがヒーローであり一般的な綺麗事をいう立場である以上、社会に対して開かれた存在であることは大事です。
ゆうきくん回で時ちょっとぶつかった一般人の子と交流させて、トラブルのフォローもしておく欲張りな人選は、なかなか技ありでした。
庶民からプリンセスに駆け上がる最中のはるかにとって、これまでの道程は『成長』。
一方最初から能力が高かったみなみ&きららにとっては、出来なかった何かが出来るようになる『成長』というよりも、資質をより良い方向に発露するようになった『変化』に近いわけです。
みなみであれば幼馴染であり生徒会の同士でもあるせいらが、きららには今まで距離のあったクラスメイトが、それぞれの立場から『変化』を言葉にする。
ここら辺の指摘もしっかり行っており、キャラクターの個性をよく見た演出がされているな、と思います。
宝探しイベントの規模も中身も抑えめで、悪く言えば貧乏臭い(ノーブル学園なのに)展開とも取れるわけですが、派手なことの起きない日常を描くことで、彼女たちが過ごす日々をスケッチしたエピソードとしての粒が立った感じも受けます。
こういう何ということのない日々をカメラで切り取ることで、プリキュアたちへの親近感も増すし、今回のテーマである『自分では気づかない成長』が積み重ねられる時間へのイマジネーションも育つ。
緩急取り混ぜて休みの時間を作りつつも、各話ごとのテーマをしっかり設定し丁寧に表現するプリプリの強みを、再確認できるエピソードでした。
一方前回人生初の挫折を喫したトワイ様は、傷心に導かれるまま謎のお城へ。
『こっちのスケジュールは決まってるんだから、はようフラグ立てろや』とばかりに現れた変身アイテムには、ちょっと笑ってしまった。
カナタとの兄妹フラグといい、メインと切り離されている間に一気に話を進めようという意志を感じます。
そして今作のヒロイン、カナタ王子は暗黒の国のレジスタンスとして、バリバリ戦いまくっていた。
プリキュアをリモコンで操るのではなく、自分の闘いを決死の覚悟で全うしているカナタは、ほんと良いヒロインだなぁ。
ホープキングダム常時暗闇の暗黒郷だし、心の支えになるお供は二人共プリキュア探索に出しちゃってるし、馬以外伴もない孤闘を戦い抜いてるカナタは、プリプリ最強のメンタルやも知れん。
聞いてんのか神。(前作への益体もないジャブ)
個人的には、完全に愛の戦士と化してしまったシャットさんが今後どうなるかが、とても気になる。
『あの人の笑顔のために戦う!!』って、それただのヒーローじゃん。
ダークでもなんでもないじゃん。(そういうの大好きおじさん)
善堕ちしたトワイへの愛が重すぎるって理解を拒み憎しみに変わるパターンなのか、はたまた愛を知って早期退場パターンなのか、目が離せんね。
箸休めというには贅沢な、しっかりとした骨格のある梅雨回でした。
お話のテンポを落とし、イベントを起こさないことで普段日の当たらない場所を掘り下げるという、中々テクニカルかつ大事なお話だったと思います。
長期シリーズモノにこういうお話がしっかり入っていると、安心感が生まれ、とても良いですね。