イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

うしおととら:第13話『遠野妖怪戦道行~其の弐~』感想

うしとら1クール目は本州ラストの妖怪バトル! つーわけで、情けは人のためならずというお話でした。
長との話し合いでいろいろ確定的な情報が出たり、新しいクエストを貰ったりもしましたが、同時にピンチと活劇の連続で楽しませるのを忘れない。
非常にうしとららしいクール折り返しだったんじゃないでしょうか。

本格的に化け物どもが命を狙ってくる今回は、とにかく数で押してくる遠野妖怪軍団のヤバさが良く伝わってきました。
倒しても倒しても次が来て、ジリジリと体力気力を奪ってくる人海戦術は、あくまで個として闘う潮には辛い相手だ。
頼れる相棒もいないしな。
孤独なピンチを深刻に演出できているからこそ、鎌鼬の、そしてとらの加勢がカタルシスとして強く機能するわけで、やっぱ見せ場の配分いいなぁと思います。

今回殴る役は主にとらが担当するので、潮は聞く役。
人間に化けて潮の器を探っていた長のことを考えると、潮の飾らない人格は最終的にはいい方向に報われる。
無論極めて不器用なので一時的な不利を招くことはあっても、潮が人を見て態度を変えたり、槍の魔力に飲まれる殺妖鬼だったりしたら、あのまま殺されていたわけで。
潮の素直な中学生ぽさってのは、等身大の人間として共感を寄せる足場になると同時に、真っ当故に失われがちな人道のど真ん中を迷わず踏破している、主人公の資質でもあるわけだ。

『お前とともに死ぬ』という決意を見せた鎌鼬といい、一宿一飯の恩義で繋がる長と潮といい、今回は任侠映画的といいますか、とても古い形の儒教的道徳が全面に出てました。
うしとらの世界で是とされているのはやはり仁義八徳の、言ってしまえば古臭い倫理なわけですけども、化け物が自分を殺しに来るヘヴィな状況でもそれを失わずいられるのは、キレイ事ではなく強さの必要な決意。
今回のようのエピソードの負荷が高まる中でも倫理を維持できるかっていう見せ方もあるし、槍が持っている魔性という設定を活かして状況を作る場合もあるけど、ちゃんと負荷をかけて真っ当な倫理を貫く大切さと難しさをお話に練りこんであるのは、凄く骨太なことだと思います。
こういうことを肌で感じさせることが出来るのが、沢山ある物語の強みのなかでも最大の一つだと思うわけです。


おとなしめだった潮に比べ、ツンデレ方面でもバトル方面でも大暴れなとらちゃん(旧姓長飛丸)。
潮を抑えて一鬼との決闘に挑むところは、『あ、こいつ俺のシナリオコネなんで俺が相手します。サンキュー潮』というPLの発言を幻視しました。
前のシーンの長との対話でテンション上がって、ちょっと領分を踏み出した潮がリアル。

昔の悪仲間が人間のガキ、しかも命がけの闘いを決着させなかった裏切り者の身内にデレデレしているのは、一鬼さんには納得いかんでしょう。
如何に長が理性的な対話で潮を認めたとしても、滾った感情はなかなか収まってくれない。
闘いにはそういう不条理をなんとか収め、条理に変える作用もあります。
ここら辺の『やりどころのない気持ちのはけ口としての暴力』は、ヒョウさんと同じ感じですね。

潮が妖怪との距離感に悩んだように、とらは潮が代表する人間との関係に今回悩んでいる。
だからすぐには動けず潮が危機になるわけですが、同時に潮に惹かれている自分を認めるには必要な時間でもあります。
今回のエピソードが1クール目のラストに来ているのは、無論尺の都合というのもあるでしょうが、とらが人間を認め潮を認め、このお話が『うしおととら』になるエピソードだからかなぁ、とか思いました。

ツンデレという言葉が生まれる前の存在なのに、とらちゃんのストロングツンデレスタイルは既に完成の域に入っていて、最高のタイミングで登場して救出したり、傷付いた潮に背中と肩を貸したり、「か、勘違いしないでよね! 別にアンタのためじゃなくて、アタシがアイツを気に食わないだけなんだからね!!」したり、流石金髪ロング。
妖怪と人間が出会い、時に反目しながら協力し、お互いを認め合うまでのお話として、1クール目は良くまとまってたなぁ。
お互いの気持を確認したから、こっから更に盛り上がるぞぅ!!(ラブコメ脳)

設定方向では潮ママンというヒロイン、白面の者というラスボス、両方の設定が公開され、終わりまでの筋道が見えるお話でした。
ラストにおいたのは、むしろこっちの意味合いのほうが大きいかな?
お話しをより大きい方に引っ張るパワーが強いエピソードだったと思います。

感情と設定、キャラクターと物語、バトルと対話。
色んなモノがまとまる受け皿として、二話使うだけのことはあるエピソードでした。
ここから北海道編に入り、いろんなキャラクターが登場し、更に話は盛り上がる。
うふふ、すっげぇ楽しみ。