イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。:OVAクリスマススペシャル『みんなでお祝いしてみた。』感想

地方で! JKが!! アイドルする!!!
青春とローカルとアイドルをしっかり混ぜて描き切った名作アニメのOVAが、ドドンとやって来ました。
自分たちの強みをよく分かった作りで、はっきり言って大満足。
やっぱおもしれーなろこどる……最高や。

今回は『普通の女子校生』部分にクローズアップしたお話で、奈々子と友人の暖かい関係、縁さんの穏やかな捕食者っぷりが丁寧に描かれていました。
ろこどるもドルである以上、基本的に仕事現場が舞台になるわけですが、このアニメは等身大の女子高生が背伸びせずアイドルを頑張る所が良いわけで、その足場になる学校の描写はキャラが深まって嬉しい。
優しい世界を声高に叫ぶわけではないけど、じんわりと伝わってくる情の暖かみはやっぱりこのアニメ独特のものでして、本当に良い気持ちで見れるアニメです。
素晴らしい。

あと縁さんのクソレズっぷりが更に加速していて、年下の女の子の下腹部に頭埋めた時は『このアマッ! クソレズシャア!!』って感じでした。
八ヶ月の間に両親と友人という外堀をうめつくし、ミニスカサンタコスで『おい、奈々子お前バックリいかれてこいよ、クリスマスだし』と言わんばかりの送り出しが成される辺り、縁さんの政治手腕はやはり恐ろしい。
そしてそういう計算一切抜きに、奈々子の柔肌に溺れたくて溺れたくてしょうがないダメっぷりが素晴らしい。
やっぱ俺は取り繕うとしてもむき出しになってしまう、一種暴力的ですらある好意って好みの題材だなぁ……テーマが好みに合うだけではなく、描き方も良いのだ、奈々子が純情なままコントロール権を握って、確実に良い方向に二人の関係を引っ張りあげてる所とか。
お願い一発目に『一緒にお風呂入って!!』が来る辺り、本当に捕食者過ぎてすげぇ。

奈々子はとにかく柔らかく可愛く描かれていて、視聴者が無理なく『ああこりゃ無理だ、そらバックリいくわ』と納得できるよう演出されていました。
縁さんの性欲とのシンクロナイズはさておき、可愛いモノがちゃんと可愛く健気に描かれているってのは、表現として基本的で要のところだと思います。
一生懸命で、感受性が強く優しい子なんだけど、ドタドタと手際が悪くスマートにはやれない奈々子の良さ(と少しの悪さ)を丁寧に描くことで、彼女がアイドルとして、人間として愛される理由を体感できるってのは凄いことですね。
何でもスマートにこなすけどナナニウムを補充しないと死ぬ縁さんと、いい対比になってんだよな、この特性。

ドルの部分の描写は少なめでしたが、ロコの部分である流川の風景は相変わらず丁寧に描写され、この話が持っている『辺境でもなし、都会でもなし』という江戸川流域の心地よさが巧く抽出されていました。
どこにでもありそうなんだけど、流川にしかない風景をしっかり描くことで、このアニメが持っている土着性という強み、地に足の着いた面白さが加速しているわけで、大事なところをとにかく外さないアニメです。
個人的には、夕焼けの帰宅風景の背の低さが好きだな。

というわけで、ろこどるが好きだった人間が望むものが、みっしりと詰まった最高のクリスマスプレゼントでした。
この空気、このキャラクター、この関係性……控えめに言って最高や。
あえて言えばドル分が少なめだったのは残念ですが、まぁ単発のOVA……第二弾あんの!?
ドル方面にクローズアップしても、今回と同じように柔らかな空気を芳醇に見せても、どちらでも絶対満足させてくれる。
そういう期待と確信を更に強めてくれるような、素晴らしい特別編でした。
いやー、良いアニメだわほんと。