イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ミス・モノクローム -The Animation 3-:第13話『MONOCHROME3』感想

優しい世界の機械歌姫譚もついに最終回、モノクロさんの歩みはまだまだ続く! な終わり方でした。
ボケやキチ要素は抑えめにして、アイドルの舞台を成り立たせている全要素をしっかり写して、感謝と決意を込める結構マジメな終わり方。
(一応)アイドル成り上がり物語だった二期の終わり方に相応しい、優しくて前向きな最終回でした。

穏やかに真面目に展開する今回の話、パンチが足りないという印象もある。
しかしモノクロさんがここまで歩いてきたことの意味、巻き込んだ人たちの数を考えると、ファンと交流しスタッフに感謝するシーンをしっかり移すことには、誠実さがあると思う。
ボケ倒したりトンチキなことをしたりしつつも、モノクロさんは『前に出る』という目標を持って人を集め、後輩を作り、ツアーを始動させ完結させた。
例えコメディの中でもその歩みは立派なものだし、同時にいろんな人を巻き込む責任のある行為であって、それを考えれば今回ボケが少なかったのは凄くいい事なのだ。

モノクロさんがやって来たこと。
アンドロイドがアイドルとして世の中に出て、あんまり辛いことはなかったけど、頑張って人間社会の中で居場所を手に入れるということ。
それがモノクロさん一人で完結せず、今回触れ合った小さなファンや、お礼を言ったスタッフや後輩にどんどん広がっていくということ。
コメディの面白さについつい見逃しがちになってしまうけれども、それはとても大事なことだし、その重要性をスタッフが理解し大事に扱ったからこそ、僕はこのアニメをとても好きになったのだ。
無論ネジの外れたキチネタやボケっぱなしの笑いの作り方も魅力だけど、それは先週たっぷり見せているのだから、最終回はこれでいい。
これが良いのだ。
あきこからの花を一瞬、しかし確かに映している心配りとか、やっぱ最高だと思います。

とは言うものの、『終わる』ことよりも『続く』ことを強調した最終回ではあった。
Kikukoの背中を追いかけ続けることがモノクロさんのエンジンになっているので、全国ツアー大成功程度ではエンドマークには成り得ないのだけれども、それだけではない意味があったように思う。
すっげーキモい発言になるが、モノクロさんはあの世界で生きていて、カメラが彼女の生き方を掴まえる時間が終わったとしても、生きてアイドルを続ける。
愛情を込めた創作物が時に宿す独自性を、最大限尊重したからこそ、彼女のアイドル生活はどんどん広がって、今回見せたような繋がりもどんどん増していく、終わりのない物語として終わるのではないか、と。
彼女の人生の物語をとても楽しんだ、入れ込み過ぎのキモいファンとしてはそう願うわけです。

まさかの3rdまで含めて、モノクロさんのお話を半年見せてもらいました。
見終わって思うのは、やっぱ最高だなってことです。
適切にネジを外した品の良いギャグ、トンチキな異物が確実に居場所を作っていく手応え、アウトサイダーへの優しい目線。
僕の見たいものがすべて適切適量に詰め込まれた、優しくて少し毒のある、良く出来たお話。
正直客観的な出来の判断が出来ないくらい僕はこのアニメ好きなんですが、でもやっぱり、好きになれるだけではなく、良く出来たアニメーションだったと思います。
次があるのか無いのか分からないけど、今はとてもお礼が言いたい。
ミス・モノクローム、良いアニメでした、ありがとう。