イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ブブキ・ブランキ:第3話『心臓と手足』感想

異質な世界をワケの解らないまま高速で転がっていく異能力戦隊合体ロボット青春アニメ、今回は少しテンポを落とした解説回。
子供たちを保護してくれる堀野さんという大人が出てきて、アジトという腰を落ち着ける場所が出てきて、一希文庫という情報倉庫が出てきて、第1話題2話でかっ飛ばした部分を拾いに行く展開。
ぶっちぎりの狂犬眼鏡だと思ってた木乃亜ちゃんが思いの外話が分かったり、何かとマウント取りたがる柊くんの負け犬オーラだったり、普段はほんわかしてるのに敵を見ると修羅の顔になる黄金ちゃんが面白かったり、キャラの性格も見える回だったな。

なーんも知らない主人公に合わせる形で、三話目にして世界観や歴史なんかがいろいろ開示されていました。
ブランキは歴史の影に潜んだ巨大な力で、ブブキを継承する家に受け継がれてきたのだけれども、24年前のママンと礼央子様との正面衝突で表に出て、ママンは島に上がって東くんが生まれたと。
それから14年後(現在からは10年前)に第1話Aパートの事件がおりて、脳のないブランキであるデラシネが地上に大量落下し、炎帝を操る礼央子が英雄気取りで全部叩き潰し、ママンに罪をなすりつける形で東京の女王に就任。
この時に四天王を使って、黄金ちゃんの家族とかぶっ殺したのだろう。
柊くんをはじめとする王舞系のブブキ使いも大量の冷や飯を食わされ、東くんと心臓が帰還して王舞が復活し、話が動き始めたという感じか。

こうしてまとめてもらうと、炎帝と王舞という二つのブランキが世界を左右できる超パワーであり、親世代の戦争が子供世代に引き継がれて話が回っているのがわかる。
父親を復活させたい柊くん、ママンの真実を確かめたい東くん、親の仇を取りたい黄金ちゃんと、子供チームはみんな親の因縁を引きずっているわけだな。
木乃亜と静流も過程に色々事情を抱えているのか、はたまたそんなことはないのかは、彼女らの告白ターンが回ってこないと見えてこないポイントだな。

『悪い大人』として子供チームに立ちふさがってる礼央子たちだけど、一般兵士の反感とか見てると、支配体制も盤石じゃない感じがする。
ブブキ使いを駆り立てているのは、10年前に捏造した『デラシネ殺しの英雄』としての名声を独占し、権力基盤を揺るがさせないためかな。
アバンで炎帝が大暴れしてぶっ壊してたデラシネだけど、一部は海底でいつ覚めるとも知らない眠りについているようで、礼央子の権力基盤はこれに対抗できる唯一の武力って側面が強いのだろう。
宝島での事件に礼央子が咬んでいた場合、とんでもないマッチポンプだな……自分で落として、自分で倒して、高い居場所を作るという。


勢い良く進んできたお話が落ち着いたおかげで、情報が出ただけではなくキャラの日常も見えてきたのは良かった。
木乃亜が結構話のわかるタイプのキチガイだったり、使命に燃えて戦ってばかりいるようでいて、ブブキ使いにも平和な日常ってのがあるのが分かったりしたのは、緩急効いててグッドだ。
3Dメシで『ウマそう』って感じたの今回が初めてで、表現力の向上に感心したりもする。

柊くんだけは勢い殺さずフルスロットルで噴上がりっぱなしだけど、今回殴りあって少しは落ち着くのだろうか。
堀野さん曰く『心臓と手足は王様と下僕じゃない』らしいし、心臓担当の東くんも別に上に乗っかりたいわけじゃないんだが、色々張り詰めて気を許せない状況ではあるのだろう。
しかしぶっちゃけ、毎回噛み付いてこられると面倒くさい上にウザいので、そろそろ自分を省みて素直になってくれると嬉しいわな。

そういう落ち着きを担当しているかと思った黄金ちゃんは、『悪い大人』代表の的場井さんを見るなり子育て期の雌ライオンみたいな表情になって襲いかかるのが、ギャップがあって俺は好き。
ここら辺は小澤さんの演技が良い仕事をしてる所で、甘えん坊っぽい普段モードと、スイッチ入った時の猛獣モードを巧く切り替えて、ギャップを鮮やかに見せてくれている。
EDでの描き方とか、一応デラシネへの抑止力として機能している所とか、礼央子一派は単純な敵と言い切れない部分もあるんだけど、的場井さんは『悪い大人』頑張りすぎヘイト稼ぎ過ぎだと思う。
今後ベビーターンするにしても、的場井さんはいないんだろうな……この人どうにかしないと、黄金ちゃんのお話落ち着かないし。

メシくったり勉強したり風呂入ったりという日常的シーンを入れて回転数を落としつつも、最後は的場井さんの襲撃でもう一度エンジンを入れなおしヒキを作る。
やっぱこのアニメはお話が転がる速さに重点し、状況をゴロゴロと回しながら展開するのが面白い所です。
しかし一度状況を整理し戦闘以外の空気を出すことで、一息ついてお話を飲み込む余裕が生まれたのはありがたい。
こういった緩急を上手く使って、話をどこに転がしていくのか、なかなか楽しみになってきました。
ブブキ使いたちの因縁がどこに収まっていくのか、今後も見守りたい所です。