イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

デュラララ!!×2結:第31話『犬猿もただならず』感想

運命の結節点として沸騰を始めた夜闇の街語り、今回は平和島静雄の発火点。
前回掘り下げた三人組のその後なんかをちょろっと触りつつも、愛と怒りの戦士シズちゃんがむせ返るような主人公力を発揮し、己の戦いに飛び込んでいく話でした。
怒りと怪力を抑えこみつつも、あくまで冷静に話をしようとする姿に、バーサーカーとして自分を持て余していた時代を思い出して少し感激。
ほんと、シズちゃんは作中の出来事を活かして、怪物から人間に舞い戻ったキャラだなぁ。

三人組はそれぞれのマッチアップ相手との話を終え、そろそろお話をまとめる勝負どころに赴く感じに。
成熟した良い人が聞き役の二人に比べ、帝人くんの受け役がクレイジーサイコブラコンブラコン女なのは、まぁ人徳というやつだ。
しかし帝人くんがまだサイコではなかった頃(正確には怪物の自分を制御できていた頃。そういう意味でも、静雄とは対照的なキャラよな)に、善意の暴走でぶっ壊した波江さんが相手に回るのは、因果といえば因果だ。
昔自分が発した『現実だからこそハッピーエンド』という言葉にぶっ刺される姿は、無様でもあれ哀れでもあり、自業自得でもありってところか。

三人組に取り付いた大人たちはみな、お話を終わらせなきゃいけない作者の使者でして。
口々に『お前らがグダグダ思春期とどろんこレスリングしてると、いつまでたっても話がまとまらないから、モチベーションの一番大事な部分を確認して、悔いのないようにエンディングまで行こうね?』と言うのが仕事です。
紀田くんにしても杏里にしても、自分大事で素直にならなかった結果話がこじれている訳で。
波江さんはクレイジーサイコだけど、幸せだったダラーズの幻影であるチャットルームをぶっ壊し、秘匿されている情報を全部公開し、サイコ力全開で破滅にまっしぐらな帝人のお話が終われるよう、色々整理してくれている人なのです。
まぁ不要品をダイナマイトで爆破するような、荒っぽいやり方だけどさ。

そういうキャラがいろいろ整理をしてくれたおかげで、三人の話はようやく収まりそうな気配があるけど、実際に動き出すのはこれからだしなぁ。
帝人くんがヤクザに貰った危険なおもちゃがどう事態をかき回すかも読めないし、紀田くんが最期踏ん張れるかも分からねぇ。
しかしま、収まるようにしか収まらんし、どう転んでも面白そうなのでじっくり待とう。


グダグダ悩む子供に比べ、まず行動し、自分の意志をしっかり持ち、筋を通して体を張る好感度120%の主人公シズちゃん。
セルティを助ける理由が綺麗事ではなく、怪物と呼ばれた自分に似ていたからという心の痛みに関わる所だったり、ヴァローナとの穏やかな日々を思い出してそこを守ろうと言葉を使ったり、とにかく男前力高かった。
『女だから』という理由もあるんでしょうが、鯨木さん相手にもまず言葉を使い、相手の事情を受け取ろうとする所とか、これまでの物語で培った器の大きさを感じさせ素晴らしい。
セルティに鯨木さんにヴァローナと、周り女だらけの一見愁嘆場なんだけど、シズちゃんとしては何よりも義理と人情で動いている湿り気のなさも好きです。

あと久々にシズちゃんの超暴力描写が冴え渡っていて、人間がピンボールのごとく飛び交う姿とか、落下してくるクレーンを鉄山靠で跳ね返す偉業とか、見ていて気持ちが良かった。
やっぱ人間やめてるシズちゃんが大暴れしているのを見ると、気分がスカッとするなぁ。
この後イザヤとタイマンになった時、さらなる超暴力描写が見れるのか、ウザヤがウザくかわしまくるのか、そこら辺はわからんが楽しみなのだ。

シズちゃんはリッパーナイトの時点で自分の中の怪物との対話を終えていて、そういう意味でも、自分の中の闘争本能を制御しきれていないヴァローナの先輩なのだ。
そんなヴァローナも、シズちゃんが本気で向かい合うことで自分の中の怪物と対話し、穏やかな結論にたどり着ける。
ここら辺はセルティからシズちゃんへ、そしてヴァローナへと繋がる『人間らしい怪物』の系譜を感じ取ることが出来て、ちょっと心温まる展開でした。

そしてそんなハートウォーミングな空間を認められないゴミクズ人間、折原臨也。
周囲の被害も関係なく、観察者気取りで鉄骨やらクレーンやら落とす辺りホントゴミ人間だと思いますが、シズちゃんがガン切れして殺しに行ったので、奴の余命もあと僅かでしょう。
とは言うものの殺しちゃうとなんかイザヤの思う壺っぽいので、怒りという怪物を制御し切り、殺さないで完勝して欲しいところだ。
ここでセルティに背中を向けてイザヤに行った辺り、シズちゃんのお話が落ち着くルートが見えた気がする……セルティ拾いに行くのは、やっぱ新羅になるのかねぇ。

そんな新羅にどうやらマジ惚れっぽいアクションを起こしている鯨木さんですが、結構寂しい人だった。
怪物である自分を愛して欲しくて、しかしそんな存在はいなかった結果悪党になってしまった鯨木さんは、やっぱり人間味がありすぎてラスボスには向かない。
同時にそういう理由があれば非道が許されるわけでもないので、鯨木さんもお話をどう落とすか、楽しみなキャラになったなぁ。
とりあえずセルティの首がパイルダー・オンしたらまた話が一つ転がるだろうから、新羅と合わせてそっからかね。

つうわけで、人間と怪物の間でウロウロしている人たちが、自分の道を見つけ始めるエピソードでした。
シズちゃんとウザヤが歩く道はだいたい見えてきたけど、まだまだ自分の物語がどこに収まるか判明しないメンバーばかり。
そこら辺の有象無象の落とし所を準備しつつ、結末までの道を整えていく話がもう少し続く感じでしょうか。
いろんな連中の思惑や物語がこんがらがっているので、それを収めるとなると手間はかかるわけだけど、その絡まり具合といろんな準備自体が、僕は面白くて好きです。
クライマックスが始まり、終局に向けて加速が始まるとより面白くなりそうなので、期待して見守ります。