イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

くまみこ:第5話『ウラハラ』感想

今季の東北アニメの異能力とか出てこなくて登場人物の内面がくっそろくでもない方、五話目はツンデレディスコミュニケーション
前回さっそうと登場した響ちゃんで畳み掛ける話でして、彼女のツンデレ属性を堪能し、まちのポンコツ加減を楽しみ、ナツの一見常識人ぶった腐れっぷりを味わい、よしおのサイコ力に戦慄するという、まあいつもどおりのくまみこでした。
だがこの甘味と苦味が混じりすぎてよく判んなくなった上に、アニメになって更に危険度を増したペド力をトッピングした味わいがあまりにも……美味い……。(くまみこジャンキーの顔)
実際、お風呂シーンの小学四年生っぷりはあまりにもKIKENであり、メリケンで放送したら契約した奴ら全員FBI特別捜査班にリストアップされるレベルだった。

くまみこの笑いは非常に正しくディスコミュニケーションの笑いでして、巧く本意が伝わらないすれ違い、本当のことを隠して無知(無邪気とも言う)を楽しむ笑いであります。
クマの檻の妙にボキャブラリー豊かな小学生と、くまみこチームとの認識のすれ違いの笑い。
あまりに空気読めなさすぎてヤバい領域に突っ込んでいるまちと、どうにか致命傷を与えず真実を理解させようとするナツとのギャップ。
もっと言えば、可愛らしい絵柄と設定に隠された、毒と生臭さが生み出す差異。

トンチキな状況に追い込まれたキャラクターが持つギャップを盛り上げ、差別を拡大していくことで笑いに繋げるというスタイルは、シニカルで知的でスタンダードな笑いの作り方だと思います。
どんどん誤解と無知が加速し、とんでもなくヒドイことになって思わず笑ってしまう今回のエピソードは、くまみこが秘めている笑いの構造が良く見えるお話だったと思います。
ギャップが笑いを生むのならそこには差別と抑圧があるんですが、笑いの中でそのギャップはある程度無化され、『ヤバい差別』は『笑えるネタ』に変化する。
ここら辺は響の暴力とか、よしおのサイコっぷりとか、まちの弱々しい精神とかを『笑えるネタ』として飲み込ませている、大事なポイントだと思います。(完全に毒気が抜けきっていないヤバさもまた、くまみこの力だとは思うけど)


論理的な部分はさておき、暴力ヤンキーとして上位に立っていた響ちゃんがあっという間にチョロ蔵の地金をさらけ出し、人間関係ヒエラルキーの最下層に落ち込む今回は、響の好感度を上げる意味でも大事な話でした。
まぁ暴力型のツンツン小娘のまんまだと、いかにしまむらの魔力で仲良くなっても好きになるの限度あるしね……弱さ見せるの大事。
そういう意味では、無敵に超鈍感&常時我が道を行くっぷりを誇るよしおの好感度が低めなのもなっとくなんだよなぁ……アイツ、マジで人間の体温分からない系男子……。

そういうエアリード能力のなさはまちにも遺伝していて、ぶっ飛んだポンコツ(と呼ぶのもおこがましい人間廃棄物)っぷりを発揮していました。
元々そういう子だからナツが大事に育てたのか、過保護の結果弱々しく育ってしまったのかは永遠の謎ですが、少なくともこのポンコツっぷりを自己への依存に変えて思う存分欲求を満たしているクソクマのクソっぷりは、マジ尋常じゃないと思う。
まちはただのポンコツではなく、とびきり可愛いポンコツなので依存させたくなる気持ちもわかるがね……。
その上で『アバタもエクボ』というにはハード・コア過ぎるぶっ壊れ方を容赦なく描写して、生ぬるいゆる系とは一線を画す毒をドバドバ流し込んでいるスタイルはやっぱ独特であり素敵。

そんな感じで、勘違いとディスコミュニケーションの地獄はどんどん連鎖し、事態は制御不能に加速し、最終的に暴力とドカーンと爆発しエロスで強引にまとめ上げる。
この展開も『キャラクターにも世界にも満ちている毒気を、如何にも好きそうな諸要素できっちりコーティングして飲み込ませる』というくまみこの基本戦術に忠実で、そういうお話で存在感を示せる響もこのクッソろくでもなくてキッチュでポップな世界の住人だと、素直に受け入れられるエピソードでした。
この『登場人物全員ろくでなし、だけど正統派ゆるふわに可愛らしい』という『萌えアウトレイジビヨンド』に相応しい、いびつで可愛いキャラよね、響ちゃんは。