イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

B-PROJECT 鼓動*アンビシャス:第4話『BREAK OUT STAR』感想

YOU SAY 夏が胸を刺激する!! 柔肌魅惑の男子アイドルアニメ、今週はアツいロックフェスだよ。
キャラ紹介エピを順調に終えてBプロ全体で挑む初の仕事でしたが、たっぷりとヤダ味を貯めこみつつ、北門さんと増長さん二人のリーダーの反目と和解を繰り込み、とっておきの飛び道具で一気に勝ちに行く、起伏のハッキリしたお話でした。
突っかかってくる仮面男子さんの言葉にもちゃんと一利あって、真っ当な彼がデレることでBプロ全体の値段が上がる構成も非常にグッド。
ネタ方面の火力を維持しつつ、じっくりお仕事アニメとしての地力で勝負するBプロらしさが、非常に鋭く生きたエピソードだったと思います。

今回はとにかくストレス&カタルシスのコントロールが上手く、キャラクターを困難に投げ込み、それを切り抜けることで物語の快楽を与えるという基本的構成がしっかりしていました。
出だしからして大遅刻から始まり、協力的ではないスタッフに万全ではない環境、積み重なる不運に共演者の反感と、貯まる貯まるストレス要素がガン溜まり。
しかし例えば、つばさちゃんが謝罪行脚するシーンは直接描かないとか、合間合間にアイドルたちのキャイキャイを挟むとか、場面が重くなり過ぎないよう細かい工夫が積み重なっていて、良く制御されていました。

今回提示されたストレスはフェス独特の空気をリアルに描いて作品のキメを出すと同時に、それを乗り越えることでBプロが世間に認められる理由としても機能します。
重たく描きすぎれば跳ね返すだけの説得力が足らなくなるわけで、仮面男子のネタっぽさとか巧く使って、重たいんだけど重すぎない、いい具合のバランスを徹底していたのはとても良かったです。
伊福部さんは構成作家が本業だけど、アイドルものアニメでも良い脚本書くのだなぁ、プリリズとか。


何よりも、ストレスがカタルシスに変わる切っ掛けがネタ・マジ両面において強いインパクトがあり、無茶苦茶な大逆転をうなずいて飲み込んでしまう説得力があった。
そらーTMRがHOT LIMT衣装で出てきたら、『あ、なんか上手く行きそう』って気持ちにもなるだろ、声本人だし。
細かいストレスを丁寧に積み上げて、西川貴教が持っているレジェンド性を最大限生かしてカタルシスへとひっくり返す展開は本当に上手くて、実はAパートで提示された個別の問題はあんま丁寧に処理していないことを忘れる、良い力技だった。
押し相撲で土俵際まで持っていけるパワーがあるなら、必ずしもロジックを貫き通す必要はない、ということだなぁ。

西山さんだけがカタルシスを連れて来ているわけではなく、唐突な半裸の説得力や、仮面男子さんの小言とかも良い仕事していた。
防衛部もビックリな視聴者サービスが展開される半裸ライブだけど、HOT LIMIT衣装っていう前ふりをちゃんと挟んでいるので、あんまりトンチキ過ぎないラインで展開したのが、ネタ火力を最大化して素晴らしかったですね。
Bプロの行動がかなりブッたるんで見えるのも事実で、そこら辺をちゃんと指摘した仮面さんが金剛くんに突っかかり、ステージを通して分かり合うことで、ステージ成功のカタルシスが大きくなっているもの見逃せない。
視聴者が感じているけど主役は言えないことを、ただの嫌味な悪役に言わせるのではなく、共感できるキャラクターに代弁させて話を転がしていくのは、観客をフィクションに前のめりにさせる上で大事な手管だね。

全体としてはこんな感じで、『夏フェス終えたんでアイドルすごろくが先のマスに進むぞ!』って説得力がよく出た、いい話だったと思います。
最後の最後で夜叉丸社長に責任を追わせることで、主人公への心象に傷をつけないまとめ方とか、非常に良かった。
ユニット紹介を終えての全体試練が気持ち良く終わったことで、先に進む説得力も出たし、『ドーム公演』という具体的なゴールもしっかり見えたし、凄くテクニカルで面白い話でした。


個別に見ていくと、Bプロを束として扱いつつ、アタマになる北門さんと増長さんのリーダーシップを描いていく展開でした。
THRIVEは飛び抜けて引っ張る人がいないわけだけど、メンバーで唯一オラれる金剛くんを仮面さん担当にすることで、存在感を出していた。
こんだけ人数いると誰かがまとめないといけないんだけど、ごっちゃごっちゃ拘って進行を止める北角さんも、問題あるのに掘り下げない増長さんの寝技主義も、両方問題がある描き方になってました。
二つのリーダーシップの形を二人のキャラクターに託し、結果として彼らが率いるユニット自体の個性化にも成功している描き方で、とても良かったですね。

描かれた問題点が解消する場としては、TMRと半裸の爆発力で全てを押し流した形になったので、実は不完全燃焼かな?
『ユニット単位では関係性が出来ていて、魅力の発揮方法も分かっているんだけど、Bプロとしてまとまると方向性が打ち出せない』という現状の描き方は、大きな発展性を感じさせるので問題点を保留したのは実は妙手だと思います。
今後もっと美味しい場面で対立して、その時グッと来る解決法を見せてくれるのだろう、ウム。

他メンバーはわりとピンポイントな描き方でしたが、楽屋の空気が悪くなった時にメシ持ってきて入れ替える辺り、阿修くんはやっぱり優秀だなぁと思った。
完全に天然でやってるのかもしれないけど、おそらくあの子根本的に優しくてかつ頭が良いので、周囲の状況変化とそれを操作する方法を常に考えているんだと思う。
あそこでグダグダ言い争っていても状況は良くならないわけで、ムードメーカーとしてしっかり仕事をして、後半の逆転の素地を作ってくれる頼もしさに、俺も胸キュンさ……。(唐突な阿修推しカムアウト)

ステージ作画は万全とはいえないけど、動かすのめんどくさそうな衣装でしっかり踊らせて、『このステージは俺達が勝ち取った報酬だ!』って感じを強化していた。
各ユニットごとの見せ場は半裸のご褒美感で見せて、つばさちゃんの衣装直しが間に合うか否かってサスペンスも作って、万全のステージをドドンとお出しする構成が非常に良かったですね。
複雑な衣装はカロリーが高いことまで考慮に入れての半裸だとしたら、今回の脚本ありえないほどテクニカルだな……すげぇや。


というわけで、ネタとマジが絶妙なバランスで入り混じった、非常に優れた全体回でした。
お仕事アニメとしてのディテールの快楽、アイドル成り上がり物語としての説得力、そして笑いに裏打ちされたトンチキな感動。
Bプロの強い所が最大限に発揮された、見事なシナリオだったと思います。

大川さん声の怪しいオッサンも出てきて、さてはてこっからどうなるのというBプロ。
来週は特別番組ってことですが、声優が出てきて喋んのかねぇ。
本編が面白く展開できるなら中休みも大歓迎なので、しっかりパワーを貯めて欲しいところですね。