イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アクティヴレイド -機動強襲室第八係- 2nd:第4話『再びのミュトス』感想

ハイテクで武装した八百八町夢日記、今週は少年犯罪者構成日記。
室長代理を仰せつかった黒騎さんが、持ち前の警官魂とインテリジェンスを駆使して、巨悪の帰還を受け止めるお話でした。
破天荒に見えて〆るところきっちり〆る黒騎さんの格好良さ、ハニバル・レクター気取りで事件解決に協力するミュトスくん改め次郎君との二人三脚、メンバー不足でもしっかり機能するダイハチの足腰の強さ。
前回あさみちゃんが大暴走して拾いきれなかった『アウトサイダーの格好良さ』を手堅くまとめていて、非常にダイハチらしいお話でした。

二期になってから主役力が上がっている黒騎さんは、ガサツな横紙破り野郎ですが実力があり、前線担当でも支持担当でも結果を出せる優秀な警察官です。
警察組織の存在意義を自分の頭で考えているからこそ、縄張りの枠を超えた横車も通すし、組織に居座って出世していくことにも貪欲。
自分のスタイル(気持ちよさ?)を通すために民間に降りた瀬名くんや、破天荒なところだけ真似して大惨事なあさみちゃんとは違う冷静さが、黒騎さんにはあると思います。

彼を見ていて気持ちが良いのは、行動に全て原理が伴っていることです。
ミュトスに面会に来ているのも、社会との繋がりを警官が保つことで少年犯罪者の社会復帰を促すという、法執行に伴う福祉の側面が大きい。
相談という形で事件解決の当事者に引っ張りこんだのも、戸籍を与えるために『弟』という立場、『次郎』という名前を与えたのも、かっこいいギアでアクションして犯罪者をぶん殴れば終わりではない、行政福祉組織としての警察機構について、しっかり考えているからこそでしょう。
ガサツな暴れん坊のように見えて、実は犯罪者を逮捕した後のことをクレバーに考え続けている黒騎さんのキャラクターは、僕はやっぱ好きです。

一期の頃からミュトスを気にかけていたのは、単純に袖すりあった他生の縁を大事にしているのか、はたまた『人生を捻じ曲げられちまったやつ』に特別な共感があるのか。
そこら辺は今後明らかになっていくところでしょうが、ミュトスが抱えていた寂しさや孤独をちゃんと考え、そこからの厚生のために親身になってあげる黒騎さんは、『私が正義』とか言い出さない安定感があります。
『犯罪者の更生には、社会全体でのケアが必要であり……』みたいなキレイ事ではなく、自分が足を運んで、自分が身元を引き受けるっていう具体的な個人主義が伴っているのも、信頼を強めてるね。


面倒見の良い頼れる大人としての側面だけではなく、グレートボスが席を外したため、第八室長の任務を背負うことになった組織人としての側面も今回はよく見えました。
組織内部の対立も巧く受け流し、意味なく楯突いて波風を起こすのではなく、建前を利用し事件解決を図る柔軟さ。
元犯罪者や、民間人をも取り込んだ規格破りの解決手段を取りつつ、同時に国の監視官を同席させる抜け目の無さ。
曲者集団ダイハチのエースらしく、ただの暴れん坊ではない立ち回りの巧さが随所に見られ、ヤングエリートの面目躍如という感じでした。
黒騎さんの横紙破りをメンバーが的確にサポートして、スイスイと事件捜査が進んでいく気持ちよさが良いよね。

こういう小狡い巧さはともすれば反感を買ってしまうわけですが、黒騎さんが持っている高い理想や人情味がしっかり描かれているので、クレバーなところが魅力として受け止められるのは、とてもうまい描き方だと思います。
これで最後まで完ぺきにこなしてしまうとイヤミが先にたつので、室長室をゴミで埋め尽くすとか、パンツ放りっぱなしのガサツな部分とか、上手いところ隙を見せて話を綴るのとか、非常に上手い。
シリーズ全体でも緩急の使い方が上手いアニメですが、それはキャラ描写にも言えるわけですね。

事件全体を見ると、くっそムカつく上から目線愉快犯・バードくんが帰還の挨拶をしつつ、厄介の種を混乱に乗じて持ち込むお話。
ただの自己陶酔型犯罪者かとおもいきや、自己紹介のついでに実利も拾っていく抜け目無さが描写されて、油断のならない的に緊張と期待が高まる展開でした。
やっぱ大きな敵は、崩れる直前までは大物っぷりが目立った方が、それを切り崩すヒーローの格好良さが映えて良いね。

そんなバードにメラメラ対抗心を燃やすミュトスくんも、黒騎さんのオトナな対応に乗っけられる形で事件にクビを釣っこみ、ダイハチのブレインとして活躍していました。
わざと怒らせて本気にさせる黒騎さんの手管に綺麗に乗せられている辺り、見た目ほど冷たい男じゃないのが判るのは、ミュトスくん好きな僕としては嬉しい限り。
熱血漢とクールブレインの組み合わせは定番ながら安定性のあるコンビでして、瀬名くんともども黒騎さんとワーギャー仲良くして、話を大いに盛り上げて欲しいですね。

ミュトスくんは社会的な立場を略奪されたことで、反社会的な行動と人格が形成されてしまったキャラクターなので、『警官』である黒騎さんが彼を拾い上げ、一緒に生きていくという今回の展開は『そうそう、こういう流れが欲しかったんですよ』という感じ。
次郎という『名前』は社会サービスを受ける資格であると同時に、社会からはじき出された彼が日常を取り戻していくための足場にもなるはずで、今後の社会復帰描写に期待が高まる。
まず『名前』という社会性の器を整えて、そっから『兄』の立場で次郎のに寄り添っていこうという黒騎さんのケアの仕方も、いい意味で公務員っぽくて面白いね。


というわけで、勝ち逃げしたラスボス候補が堂々の帰還を果たし、対する主人公も魅力全開で走り回るお話でした。
事件の捌き方が非常に的確だったおかげで、敵も味方も協力者も株がぐんぐん上がる、気持ちのいいエピソードだったと思います。
この『みんなお仕事できる感じ』はアクティヴレイドの大きな魅力だと思うので、前面に押し出してくれるとやっぱ楽しいね。

いろいろねじ曲がってしまったミュトスが復帰したことで、彼の厚生物語という要素も取り込んだアクティヴレイド二期。
バードがどんな陰謀を企んでいるかも含めて、今後ますます期待が高まってきました。
やっぱこの安定してオーソドックスで、それでいて熱のあるお話捌きは見てて楽しいなぁ。