イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アクティヴレイド -機動強襲室第八係- 2nd:第11話『偶像の夢』感想

成すべきことと成せることの間で悩む現実主義的空想科学警察アニメ、都知事と決着つける最終話一個前。
司法制度と行政手続という、一期でダイハチが悩まされてきた法の砦がメインメンバーに立ちふさがる中、民間協力者達がすごい勢いで横紙を破り大逆転の布石を整えていくお話でした。
稲城さんが最終話までラスボスとしての威厳を保ってダブルクライマックスと読んでいたんだけども、こっちは今回で決着させてバード相手に最終決戦となりましたね。

今回はダイハチメンバーが後手に回る中、次郎や小湊さんといった外部メンバーが頑張る話になりました。
二期で結構自由になった感じもしたけれども、よくよく考えれば稲城自身の後押しがあっての自由だったわけで、あくまで警察官なダイハチが相手取るには、やっぱ相性が悪い相手よね。
普通の犯罪者相手には武器になる法や行政のやり口も、改革路線ののぼりを立てて一気に都知事まで登った秀英が相手だと、抜け道を探して回避されると。

そんな中、一期ではダイハチに敵対的だったメンバーが意識せずスクラムを組み、都知事の足場を崩していく展開は、ちょっと変則的で面白かったです。
引退してからの方が凄みが増した前都知事、フリーになってから社会派路線に転向した小湊さん、そしてやっぱりべヌゥという切り札を隠し持っていたミュトス。
彼らが一期第7話で起きた長沼議員の不可解な死を掘り返し、稲城が求めた虚栄の決済日に破滅をお届けするのは、なかなかカタルシスがある構成だった。

ウィルウェアによる直接犯罪ではなく、犯罪の証拠となる情報を追い求めて状況が二転三転するのも、陰謀を戦ってるい感じが強く出ていて良かったな。
つーか《完全偽装》を《電脳神》で打ち消して、《暴露》相当の《天罰》で稲城に社会戦ダメージ与えた光景が俺には見えた。(N◎VAモノ特有の幻覚)
シナリオルールで『稲城には《制裁》効きません』って言われちゃ、確かにダイハチメンバーは打つ手ないから、次郎が頑張るしかないよね。

二期第2話で登場した記憶転写装置は、バードの生存ではなく証拠隠匿のために使われました。
今回べヌゥが見せたインチキ能力を考えると、DNAの公的記録を書き換えて死亡を装うのは簡単だったんだろうけども、せっかくハッタリの効いたギミックだったので、もうちょい派手な使い方してくれると俺好みだった。
しかしやっぱり、これまで各エピソードの中に埋められていた伏線がより集まり、一つの形を作っていくのはシリーズアニメの醍醐味ではあるね。


ダイハチメンバーはやれることを最大限やっているのだけど、それがなかなか結果につながらない、もどかしい展開。
バードの切り札がコロニー落としだったので、ウィルウェア本来の仕事である『災害復旧』で来週活躍するタメって感じかなぁ。
ミュトスが張り切っているのは稲城を落としてバードを引っ張り出すためであり、あくまで稲城に直接モチベーションがある黒騎&ボスがチェックメイトに繋がる手を打って欲しかった気持ちもあるが……まぁ二期の次郎は黒騎さんの身内なので、そこまで縁遠いわけではないか。

公僕として背筋を伸ばした捜査描写の合間に、人間としての弱さを見せるボスの描き方は、前回健気な痛ましさが目立っただけに非常に良かった。
追い込まれてからの黒騎と稲城のアクションシーンも、前回あれだけ顔面のガードを崩さない硬い組手だった稲城のフォームがバラッバラになってて、内心の動揺が巧く表現されていたと思う。
前回は稲城が『手合わせってことにしておいてやる』と法を弄ぶ立場だったのに対し、今回は公務執行妨害及び障害未遂で引っ張られる口実になるのも、状況の変化を反映していて面白い。
このアニメ状況自体は停滞すること無くスムーズに進んでいくんだけども、細かい感情表現も忘れずやって、キャラの人間味を出してくれるのが良いよね。

人間味という意味では、過剰に熱くなってからクレバーさを取り戻す黒騎くんが、まるで熱血刑事ドラマの主人公みたいで良かった。
黒幕が致命的な暴露ぶっ込まれて素直に崩れてくれる所も含めて、稲城編はオーソドックスな刑事ドラマの構成をしっかり踏襲していた気がする……身内に犯人と恋仲だった人がいる所とか。
SF考証やパワード・スーツアクションは最新鋭のナウさを整えつつ、根っこの部分ではオールド・スクールで堅牢な作りを維持するバランスが、ここでも維持されてた感じかな。

まぁ瀬名くんは本筋と並走して、個人的で難易度高いミッションに挑み続けてるけどね……。
凡河内さんとのサブプロット、お遊びではあるんだけども妙な緊張感があって笑えて、いい具合にお話豊かにしてくれてるね。
こっちの決着も気になるところだ。


そんなわけで、理想主義者故の稲城の暴走に応報を加え、法と正義を見せつける中ボス戦となりました。
空からかっこ良く駆けつけたあさみちゃん含めて、ダイハチの外にいるメンバーが活躍する形になったけども、細かい情の表現が良かったので、黒騎とボスの物語は綺麗に収まった印象です。
プロの表情が目立って心の奥底が見えない感じもあった二人を掘り下げる意味で、稲城はいい仕事したなぁ……。

一方心底ムカつくクソ劇場型犯罪社、バードくんの落ち物パズル(ターゲットは東京)は始まったばかり。
迫りくる大破壊を前に、ただの警察官たちには何が出来るのか。
2クールの総決算となる最終回、バッチリキメて気持ち良く見終わりたいですね。