THE REFLECTIONを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月2日
英雄の誕生は無辜の血によって贖われる。激突する善と悪。失われる命と囮の光。繰り返される死によって、ヒーローとヴィランの魂が顕になっていくエピソード。
動くところは動き、静かに見せるところは穏やか。特殊な作画表現が演出力につながっていた。
というわけで、主役が一同に介し、レイス一味と大激突…したのは良いが、どんどん犠牲が出る回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月2日
英雄の戦いはショーではなく、安全な観客席で楽しむものでもない。絶対に出てはいけない巻き添えは生まれるし、それでも前に進まねばならない。無辜の血は、英雄の覚悟を試す試金石なのだ。
チームVSチームの戦闘は、このアニメらしいまったり感もありつつ、能力を駆使した乱戦で見応えがあった。エクスオン組の実直な戦い方と、アイガイの劇場型戦闘が噛み合っていない感じも、その後の展開を巧く光らせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月2日
アイガイだけが、ショービズのルールで戦闘に参加している…『いた』のだな。
アクションの中で価値観が示されるのもとてもヒロイックなところで、とにかく親子を守ろうと力を使うエレノアと、ようやく手に入れた城を無遠慮に破壊するアイガイの対比は、それぞれの正義を象徴していて面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月2日
『ビッグウィールは夢と希望で出来ているので、金属操作は効かない』とかも凄く良い。
しかし暴力は暴力であり、ショーではない。派手なアクションを喜んでいるうちにエレノアは豹人間にボッコボコにされ、ババァは人間が死ぬべきではない死に方をする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月2日
娘を助けるために命を使ったババァの能力が、エレノアと同じ転移系なのが非常に示唆的だ。彼女もまた、英雄だった。
この作品が考える、ヒーローの資質とは何か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月2日
人死へのエクスオンとアイガイの対応で、それはクッキリと見えてくる。失われる命、守らなければならなかったの果たせなかった使命を前に、アイガイはいつものC調を捨て、作中一番派手な技でアイガイを殴り飛ばす。本気にならなきゃいけないシーンなのだ
エクスオンのシリアストーンは、唐突には映らない。己のを何も語らないまま、ずっと何かを守るために戦ってきた彼を僕らは見てきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月2日
なので、命に関わるシーンでは本気になるだろうな、という予感…というか信頼があった。それがちゃんと証明されたのは、嬉しいことだ。人死は喜べないが。
一方アイガイは空気を読まずにLA紹介をする。ヒーロー=スターだと言い切る。大きな灯台の足元には、巨大な暗がりが出来る。アイガイは一番大事で、いちばん身近なものを見失ってしまっているのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月2日
そしてそれは、レイスによって再教育される。アイガイが奪われたのと同じものを奪われることで。
赤く明滅する死の空間。この作品の特徴である独特の描画が、アイガイの喪失感、否定しようのない死を剥き出しにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月2日
エレノアがアイガイとアメリカ巡礼して学んだ道を、アイガイもまたあるき始める。そのための対価と言うには、仲間の命は重すぎる。英雄の通過儀礼とはいえ、なかなかしんどい。
浮かれポンチで命を大事にできないチーム・アイガイ。その喪失がこんなに痛いのは、色々間違えてしまったイアンをけして見捨てず、仲間として支えてくれた彼らを、地味に丁寧に描いてきた結果だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月2日
ちょっと間違っていたかもしれないけど、死ぬほどじゃなかった。普通に楽しい良い奴らだった。
そういう人が死ぬ。床屋やってる普通の親子とか、普通に人生に苦しんでその果てに喜びを見つけている人たちが、無価値と断じられて勝手に殺される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月2日
レイス一味の悪辣さは、そういう部分にある。人間の一番大事で、ともすれば見落としてしまいそうな光を踏みつけにする傲慢。
一人アコースティック・ギター(『虚飾を取り払った自己』の分かりやすいアイコン)を握るイアンの前で、レイスが煽り倒すシーンも良い前フリになっていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月2日
ヒーローごっこは悪の役にしか立っていなかった。灯台…スターは本来の使命を果たせなかった。お前は無用どころか、悪用される便利な道具だ。
それを証明するような汚れた金と、音楽への未練を象徴するギターを投げ捨てて、イアンは失われた生命の源へと走る。それはもう届かない。エクスオンやエレノアが奪われたものを、アイガイも追体験する。そこから、イアン・イゼットの物語が始まる。アイガイは過剰なIを捨て、失われた愛を追うのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月2日
災厄を予感していたかのように、一人で着れるアイガイスーツVer2と言葉を残してくれていた仲間。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月2日
それを奪ったレイスを前に、アイガイはもうプロジェクション・マッピングを使わないだろう。誰かに見せるためではなく、金や名声を取り戻すためではなく、失われた己のために歌うのだろう。
エクスオンに殴られても生まれなかったヒーローの実感は、己の半身をもぎ取られる痛みを通過儀礼にして、アイガイに宿った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月2日
此処から先が楽しみであるが、それにしたって容赦がない。その本気っぷりがテーマとキャラを際立たせてもいるので、見ている側としては心地よい痛みか。
灯台は偽りの光を放つだけではなく、道に迷った船を導くことだって出来るはずだ。足元の闇に注意をはらいつつ、影のヒーローたるエクスオンには掴めない星を、アイガイは掴めるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月2日
復讐の闇にとらわれるルートもあると思うので、油断はできない。が、イアン・イゼットの今後は非常に楽しみだ。
一方、死と無力を経験して更に覚悟を決めたエレノアは、エクスオンに戦士ではなく囮としての仕事を期待され(たと思って)暴走していた。これも偽りの灯台か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月2日
エクスオン兄さん、軽いミキシン声なのに生き様は背中で見せる高倉健だからなぁ…思春期真っ只中の女の子とは、ちと相性が悪い。
アイガイを用済みと切り捨てたレイスは、エレノアには未だ執着を持っている。囮の仕事をしっかり果たし、スティール・ルーラーを釣りだしたエレノア。彼女にもまた、さらなる通過儀礼が襲いかかりそうだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月2日
キャラの起源と変化が明瞭なので、人数多いのに個性があってワクワクするのは、非常にいいな。
喪失によって英雄は生まれる。アイガイを偽りのスターから本物のヒーローへと強引に転身させる、血生臭く暖かい話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月2日
かなり戯画化されたデザインなんだけども、死がおぞましく痛いのはやっぱ良い。英雄譚では、そこホント大事なんで。善悪の渦が加速するこのアニメ、来週が非常に楽しみです。