宝石の国を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
謎の巨大カタツムリにドロドロ(物理)にされた主人公を救うべく、宝石の国のお姫様が明後日の方向に大爆走。ダイヤの清らかさで世界が光り輝く中、闇の中膝を抱えるシンシャのツンデレが唸る!
妖精譚のような無邪気さが画面を駆け巡る、復活と変貌の第3話。
というわけで、三話目にして主役が全然動かない…物理的に動けない回である。まぁドロドロに溶かされ、謎のウミウシに変貌し、と思ったらそれは思い込みで殻に同化されていたんじゃあ、動きようもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
なので、代理主人公としてダイヤが後鰓類抱えて走り回ることになる。活動するヒロイン、ええな。
無用物として300年過ごしてきたフォスに、宝石たちは冷たい。というか、生き死にや幸福の観念が根っこから人類と違っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
性差がないのに『恋愛』に興味津々なダイヤは、人間に近づきすぎな変わり者なのだろう。でもそんなダイヤの異質さが、僕らにはとても輝いて見える。物理的にもビカビカだ
肺呼吸しないので水中でも会話できたり、ダイヤが疾走するとき体幹の加速に手足がついていってないので凄くバタバタしたり、宝石人が人間離れしている描写は、分厚くリッチに補強されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
人ではない彼らにとって、主人公がウミウシになるのはそこまで重大事ではない。それでもフォスはフォスだ。
無論、謎のウミウシとフォスを=で結んだのは、ダイヤのトンチンカンな思い込みだ。食事を摂り、排泄するウミウシは宝石人とも違う種族で、そこまでのモルフォーシスは宝石人でも出来ない…ようだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
人間離れした描写がどっしりしてるので、どんだけ人間離れしても納得できそうだけども。
フォスは炭素ではなくケイ素、もっと言えばケイ素に取り込まれたインクルージョンとして存在していて、鉱物質の殻の中に取り込まれてある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
鉱物としてのフォスを救出するとき、冷たいように見えた兄弟たちはみんな必死に、フォスを削り出し運び繋ぎ合わせてくれる。人と違えど、優しくはあるのだ。
そんな異質で同質な宝石人の間を、ダイヤとウミウシは駆け抜けていく。茅野さんの好演もあいまり、ダイヤの可憐さはマジヤバイ級に高まっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
誰も顧みない無用物に愛を注ぎ、優しく接してくれるお姫様。木々を駆け抜ける軽やかな歩みは、まるでこの世の理から解き放たれた妖精のようだ。
しかし彼女も、感情の重力から無縁なわけではない。ボルツと自分を比べる苦しみを、ウミウシに変容してしまった(と思い込んだ)フォスに打ち明け、無用である悲しみを共有しようと縋ったりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
人間のようで人でなし、天使のようで人間臭い。宝石人は面白い生命と感情、輝く個性を持っている。
ダイヤがフォスに優しいのは、無論善性の証明であるが、同時に同病相哀れむというか、ダイヤ自身の苦しさや寂しさを投影した結果でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
宝石人も哀れな生物種と同じように、身勝手で優しく、公正無私で尊大不遜な、矛盾に満ちた生き物だ。そのカルマが、生きるということなのだろう。
影と光、博愛とエゴイズムの間にいるのはシンシャも同じだ。無用物と己を蔑みつつ、そんな自分でも受け入れてくれる優しい人を探している、かなり極まったツンデレ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
夜を彷徨えば自分を本気で求めてくれた声が蘇り、月を見れば緑色のアホ面が目に浮かぶ。それを『恋』と見切ったダイヤ、慧眼である。
末っ子フォスの欠落に『何か』を見出し、求めていたのはダイヤもシンシャも同じで、でも宝石の国での立場はぜんぜん違う。爪弾きの害毒兵器と、光り輝くお姫様。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
そんな二人の間を繋いだってだけでも、フォスは無用の存在ではないのだ。バカでのんきで優しいだけで、人は結構人の役にたっているのだ。
己の毒性に自家中毒したシンシャは、自分の気持ちにも素直になれない。『月になんて行くな。君が君でいられる場所を見つけてあげる』と約束してくれたフォスを強く求めているのに、ダイヤには悪態ばかりついてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
そのネジレた毒性の奥にある気持ちを見抜ける素直さが、ダイヤの輝きなのだろう。
そしてシンシャの強さは、毒だけでなく知恵でもある。闇の中、一人で世界を見て月人と戦ったその知識は、フォスがどこにいるかを正確に見抜く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
夜の側からの贈り物を受け取って、光のお姫様が全力で走る。大好きなフォスをよみがえらせるために。ここの好意のリレー、ホント好き。
悲しいかな、昼の側に居場所がないシンシャはフォスの現状を知らないし、知ったとしても蘇生のために適切なアプローチは出来なかっただろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
それは誰にでも優しく、誰にでも愛されるダイヤだからこそ可能な、一大事業なのだ。各々の歪みに合わせて、噛み合う場所がきっとある。それは希望だ。
ひねくれシンシャが知恵を貸してくれたのも、フォスがまっすぐシンシャに愛を示したからだろう。そこには打算と道場がある。同じように無用で、居場所を見つけられない存在への憐れみが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
でも、それだけではない。ダイヤやシンシャの想いが、エゴイズムだけで出来てはいないように。
んで、そんな二人の愛情リレー(+兄弟と医者の手助け)で大復活を果たしたフォスは、異質生命であるウミウシと交流可能になった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
学者先生としては巧くいかなかったが、ドロドロに溶かされたおかげで他人が持たない異能を手に入れたわけだ。これがフォスの足場になるかは、今後を見ないと解らない。
死なず、穢れず、時間の海で溺れることのない宝石人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
貪り、糞をたれ、言葉が通じない肉の生命。
異質な二つが混じり合った結果、フォスは以前とは変わった。それが幸福なのか、不幸なのかはまだ分からないが、異質なものが混じり合う行為に可能性があるのは、ダイヤやシンシャを見れば判る。
ウミウシがどういう存在で、何を考えてフォスを溶かして取り込み、ダイヤに抱かれて宝石人の間を走っていたかは、まだ分からない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
月人と宝石人の長い戦いに割り込んできた異物は、一話限りのゲストか、はたまた世界の根幹に関わる第三極か。そこにアクセス可能なのが、主人公だけってのも面白い。
復活するなり長口舌をベラベラまくし立てるあたり、フォルは変わってないようにも見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
あのむせ返るようなクソガキ力と無邪気さは大好きなので、守って欲しいと思うけども、バキバキ回るカメラアングルで切り取られる戦闘の激しさと、宝石人の人外っぷりを見てると、変わってしまいそうな気もする
でもその変化は、恐ろしいばかりではないはずだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
一人ぼっちだったシンシャが、フォスと出会って揺らいでいるように。
ボルツとの関係に軋みを抱えたダイヤが、自分のため(にも)走り回って、フォスを助けたように。
人でなしの美しい存在は、人間が持つもっとも美しい可能性をしっかり備えている
それは見た目にはあんま美しくないし、クソも垂れる謎のウミウシでも同じ…と思いたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
キュルキュル言いながらダイヤに抱えられてるウミウシ、妙に可愛かったんで、対話してみたらクソ邪悪生命体でぶっ殺し合うしかねぇ! ってのは僕的には哀しい。仲良きことは美しきかな。
とは言うものの、月人だって宝石を『美しい』と思うがゆえに飾りたいのだろうし、愛は素直にいい結果を呼ぶとも限らない。ボルツにシンシャ、かなり強火のツンデレ多いからなぁこのアニメ…素晴らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
やっぱ超変則学園モノとして、感情の切断面が瑞々しいのが強いよ、とにかく。
エゴ、博愛、優しさ、対話。色んな輝きに満ちた人なき世界は、どう転がっていくのだろうか。鉱物と生物の結節点として新生したフォスは、どんな運命と感情に取り囲まれていくのだろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
今後のことも気になるけども、とにかくダイヤの可憐さ、シンシャの面倒くささが刺さる回でした。次回も楽しみ!
追記 変身譚
phosphophylliteを『フォス』という愛称に省略していたのは、今回の(そして多分今後の)metamorphosisを視野に入れ、共通語幹である『Phos』をピックアップするため…ってのは、ちと過剰な読みだろうな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
でも、フォスの主人公特権が『変化』にあるのは間違いない。
鉱物の不変性、無時間性がベーシックとしてある宝石人からはみ出したフォスは、無用の存在から変わっていく。変化が彼の特権だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月22日
そういう非常に人間的で普通のビルドゥングス・ロマンを睨みつつ、同時に一回死ぬことで共通言語を獲得するような、人類の範疇を超えた超越性も持っている。面白い主役だ