アイカツスターズを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
傲岸不遜なる太陽が、その熱量で全てを焼き尽くす。己すらも滅する焼尽を前に、少女は思い出を拾い集めるように、ドレスと曲と、ダンスを背負う。
母を求めて袋小路に陥ったエルザの孤独と、敵にすら頼られるゆめの世界を、残忍に対比させていく最終決戦前夜。
というわけで、エルザとの最終決戦である。母以外何も要らないエルザは、当然のように勝利とアイドル引退を決め込み、ゆめはそこからこぼれ落ちた全てを託されていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
二人がそこに行き着かなければならない必然を、この物語が積み上げられての決戦なのか。そこを考えながら見た。
エルザはパーフェクトで、故に人間の尊厳をどれだけバカにしても許される…とされる。当然それは大嘘で、才があろうと越えてはいけない一線というのは在る…はずだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
ファンにもVA生にも頼られつつ、『でも、エルザが一番』と言い切ったレイちゃんは今回、そのエルザの敗北を望む。
彼女は何を見ているのだろう。女王として相応しい器量を備えた過去のエルザ(の幻影)か、そこに夢を見た自分自身か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
なぜ、エルザは母以外の全てに背中を向け、VAを廃しアイドルをやめるのか。
エルザ自身はそれを語ら(語れ)ないし、レイちゃんもそこに踏み込むことはしない(出来ない)。
エルサの独善は、その才を腐らしていく毒の檻だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
『そういう生き方だと、何もかもがダメになっちゃうよ』と、真正面から誰かがぶつかることなく、彼女は凄くありふれてつまらない自閉で身を守りながら、最後のステージに向かう。
それを正すチャンスが作中無かったから、その破滅は約束された描写だ
終盤に至り、スターズは自分が描いてきたものにある程度以上誠実な運びを選んできたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
何かを成し遂げて確信を得たわけじゃないから、自信がないまま決戦に挑む。
強烈な繋がりを獲得できたわけじゃないから、ぼんやりと孤独なまますれ違う。
材料がない所から、急にそれらしい結論が生えてくるより、それは誠実な筆記だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
ただ、材料を用意する努力を、ここに至るまでの物語でしなかった(出来なかった、あるいは出来なかったと僕には思える)ことは、そういう誠実さとはまた別の問題だろう。
エルザは孤独で間違っていて、ゆめは多様で正しい。だから勝敗がつく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
その結論を先取りするように、エルザは常に部屋に閉じこもり、母の愛情とそこへのチケットである(という妄想を凝集した)太陽のドレスのカードを、ずっと見つめ続けた。
そりゃ負ける。負けるけども、正直な話をすれば。
僕が見たかったのはそこから出てなお不遜であるエルザ・フォルテであり、自分が傷ついてなおそこから出そうとする、騎咲レイだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
そういうものは出されなかったんだから、この願いは叶わなかった身勝手な寝言だ。そういうアニメじゃねーから。全く、その通り。
でもま、見たかったんだよ。
今回、エルザの反倫理と、それでも勝ってしまう完璧さはコンパクトに強調される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
太陽のドレスが出たから、完璧な彼女は、完璧であることを一切疑わないまま、だからこそ負ける。
転倒している。
完璧だから、太陽のドレスが出る。カードは実力を保証するものではなく、実力に伴って出るもので
あって欲しかったが、結果として描写は転倒する。中身を埋めて輪郭が定まるのではなく、既に確定した輪郭を埋めるように中身が推察されていく(しかない)、破滅への約束された道。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
孤独で敷き詰められた道を歩いて、母親が恋しいだけの子供は目の前の崖に気づかないまま、存分にふんぞり返って落ちる
それに相応しい描写は、ずっとエルザにつきまとっていたので、その結論自体に異議はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
ただ、あの子をクライマックスのために用意されたハリボテの魔王ではなく、血の通った一キャラクターとして扱うのであれば。
『それは間違っているよ』と、扉を開けて誰かが言いに来るタイミングが、もう少し早く来て欲しいと思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
別に差し伸べられた手を跳ね除けても良い。その高慢こそがエルザ・フォルテなのだと言ってくれても良い。ただ、一度は手を差し伸べて、幻像ではない一人の子供を、見てあげて欲しかった。
レイちゃんの最悪っぷりがなかなかこれまで通りで、相変わらずエルザに投射したエゴから出ずに正義で非難するし、そのくせ背負ったはずのVA一般生徒に質問するより早く四ツ星に足運ぶし、諦めが良いんだか悪いんだかわかんないし、非常に人間的だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
そういうナルシストしか扉に近づけなかったエルザが、扉の中にいる子供の存在に気づいてもらえないのは全く当然のことで、その危うさとやるせなさにあんま触れないまま、ゆめサイドの描写がみっしり太る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
それが良くないことだ、というのは、きららの涙にハンカチ出したあこで判る。
ただ、きららにとってのあこ、ゆめにとっての他者全てになってくれる存在は、エルザの周りにはいない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
そういうふうに、愛され気にされる資格を切り分けるものが何なのか、『ラスボス』の殻のなかでエルザを腐敗させてしまった運命がどこから出るかを、ずっと考えている。
『みんな』のゆめと、『わたし』のエルザ。比べれば、ゆめが勝つべくして勝つのは当然だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
今回思い出を拾い集め、敗者の願いを背負っていく流れも、それを追いかけている。ただそこに、VA一般生徒も、エルザフォルテのファンも存在はしない。
エルザ自身がそれに、全力で背中を向けたのだから当然。
ではあるが、顔も名前もない存在を引きつける魔力はエルザにあった(ようだ)し、それで引きつけてしまった他者には尊厳の重たさと、望まざるとて生まれてしまった絆の温もりがある…はずだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
だが、そういう声は忙しない進行の中で取りこぼされて、拾い上げられることはない。
ゆめが拾い上げていく涙は、顔も声も持っている存在に限定されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
それが名もなき無力な存在の願いを代表する『アイドル』からの信託なのか、それとも一個人としてのエールを出ないのか。
そういう大きな(だと僕が思う)ものを、スターズは大概の場合取りこぼしてきたように思う。
『勝つ』栄光から遠い場所に在るあこが、一番そういうものを拾い上げられている(ように僕には見える)のは、なんとも皮肉な当然だなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
シリーズを貫通してきた、広範を装いつつどこか狭くて、よそよそしいロジックから離れた存在だからこそ、あこは情を大事に出来たのかもしれない。
レイちゃんがエルザの母の扉をたたき、全ての根源にいる存在を引っ張り出そうとする動きもまた、情なのだろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
そこで核心に解決を委託するしかなくて、自分自身が解決の当事者…王子様にならない(なれない)あたりが、レイちゃんだなぁ、と思う。
いろいろな不自由(あるいは自由)に縛り付けられ、いろいろな敗北(あるいは勝利)に傷つけられながら、アイドルたちは決戦の舞台に上がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
用意された筋書きではなく、もっと柔らかく大きく当たり前なものにアプローチできる権限とチャンスを、ファイナリストたちはともに剥奪されて闘う。
倫理的な完璧さから切り離されたパーフェクト・エルザも、確たる倫理の核をこの段階に至っても獲得できないゆめも、窮屈に見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
最終決戦のステージが小さい。全人類をすくい上げて余りある、大きな概念が踊り回る大団円には程遠い。
そういうアニメじゃねーから。全く正しい。
でもまぁ俺は、そういうのが見たかったんだよ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
ゆめは多分、核心を次週のステージで掴むのだろう。エルザに優越する何か、ゆめだけの夢、アイドルの一番星。
それに僕が納得することは、多分ない。納得してほしいのだろうし、したいけども、出来ないだろう。
ことここに及んで、レイちゃんが代任されたVA生の言葉を、一度も発しなかったこと。(『アイドル』に誰かの涙を拭って、勝者に託す権限があると見ていることは、あこときららの描写から明白ではある)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
発することで、エルザとの関係と物語をより複雑なステージに投げ込めなかったこと。
『完璧なエルザ』という幻像を求め続けて、孤独なエルザ・フォルテの実像を見れなかった自分の殻を。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
そこに騎士と女王の関係を投影して、身勝手なエゴの泥に微睡む喜びでエルザの殻を補強したことを。
バラバラバラにして精査することなく、ゆめに託してしまう物分りの良さ(あるいは悪さ)が。
どうにもやるせなかった。たかが悪役、たかが脇役、そこまで掘り下げなくても良い。そんな余裕はない。わかってる。わかっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
でも、そういうものの輪郭を描いたなら、バラバラに自分の手で切り崩して、その中にある泥と輝きを、自分の手で再構築してあげて欲しかった。
身勝手でズルいレイちゃんが、それでも好きなエルザは、ゆめと母の手でバラバラに解体され、再構築される。下手すると改心なぞして、『正しく』なるかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
その決定的な一打を、圧倒的に間違え続けた王子様に、ちゃんとやらせてあげて欲しかった。
ローラがバラバラに壊れた心を、控室の扉の奥で自力で直して、ヘアスタイルを整えてから、ゆめにお行儀よく抱きしめられたように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
定められた役割と勝ち負けを出ないよう、丁寧な配慮をされて物語は転がる。もう終端が見える。僕が何を言っても、当然遠吠えだ。
スターズのロジックと世界に、巧く接合できなかった時点で、僕はずっと遠吠えしてきた。なんで見続けちゃったのかなぁ、という想いが、無いと言えば大嘘だ。スターズが好きな人はこの吠え声を聞いて、いい気分にはならないだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
でも、吠えたいんだよ、今。ずっと。
ゆめが来週手に入れるだろうもの、エルザが来週打ち砕かれるだろうもの。その輪郭は、今回の運び方、有限の尺をどう配分するかで、ある程度推測できる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月23日
そ僕の頭のなかにモクモクと、湧き上がってきてしまうそれが、ただの妄想であることを期待して、来週を待つ。かくあれかし。