ルパン三世 PART5を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
国を巡って大泥棒が、少女と鉄火場を駆ける。戦線復帰なったルパン三世、丁々発止の立ち回り。レジェンドビッチの薫陶を受けたアミも、電脳怪盗として可憐な仕事を見せる。
王女は善を求めて乱を演じ、志士は死して国賊の汚名を着た。巨悪の意味を問EP3、ラストエピソード。
というわけで、四話に渡ったドルマ王女編も最終回、クーデターに決着が付き、アミの成長がよく判るエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
相棒役を不二子から受け取り、国より大きなものを盗みに来たルパン。そしてその二人きりの友達も、何とか最終決戦に間に合う形に。
こうして終わってみると、ルパン一味はあくまで脇役、主役はアミとドルマ王女だったなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
人間が血を流して死ぬこと。生き残るためには命を奪うこと。理想は時に犠牲を必要とすること。そんな厳しい世界でも、自分にできることがある実感。
少女たちは。クーデターという通過儀礼で大人になる
大人はその導き役、あるいは反面教師に徹していた印象だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
こう考えると、第13話が青春物語として良い仕上がりだったことが、よく効いている。
大悪党になる決意を固め、少女たちはもう学園には帰れない。それでも、ヤクのバター鍋を一緒に食べた奇妙な日々は、宝石のように二人の心に残る。初恋もまた
マック先生、マクガイア、あるいはウーゴ。色んな顔をもっていた金髪の男は、乱れた国を一つにまとめるべく、生贄役を買って出る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
血を流すことでしか収まりどころを見つけられない、生々しい政治。最後の授業は、彼に恋したドルマにはあまりに厳しいが、王女は見事に合格してみせた。
そんな王女の通過儀礼も、聖人の皮を被った俗物の吐露も、全てネット越しに公開してみせたアミ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
ルパンも追い込まれた網膜パターンすら騙す、電子魔術師のデビュー戦として、なかなか鮮やかな仕上がりだった。グッと度胸が増して見えるのは、不二子の薫陶が効いたか。
アミが爆弾で人を殺し、機械の目を欺いて手に入れたかったものは、形のないものだ。小悪党は利を求め、大悪党は理想を追う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
ウーゴの願いを無言で受け取ったドルマ王女も、大僧正の卑劣な申し出を蹴り飛ばしたルパンも、みな大きなロマンを追う。そのためには、悪くなければいけない。
そんな悪党たちの、誇り高いタフさを書きたかったクーデター編でもあったかな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
最後に少女らしい初恋に帰還し、しかし戻れない一線を超えて”大人(あるいは悪党)”になっていく二人の少女の勇姿。アミの悪党修行が印象的だっただけに、爽やかでいい終わりだ。
そんなアミの告白を、なんとわなしの二枚目半で躱すルパン。あいも変わらず、色恋に盗まれる相手は一人だけと決めている、ズルい泥棒である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
アミ相手には虚言…ってわけでもないが、その場を巧くごまかす言葉も出てくる。だが本命相手には、むき出しの泥棒として生き様でぶつかるしかない。
やはりルパン三世にとって、峰不二子は永遠に追いつけない最高の宝なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
追いつけないからこそ追い求め、追われるから逃げる。そこには、アミがどれだけ魅力的な少女でも追いつけない”歴史”がある。ルパン三世が”ルパン”であり続けるための、大事なオヤクソク。
『ルパン三世にとって、峰不二子という女はいかなる存在か』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
それはルパンが明言するものではなく、視聴者が考え、追い求めるお宝でもある。謎は暴かれれば、宝は手に入ってしまえば、輝きを喪う。
でも、不二子だって本気の答えが欲しくなる。そういうキャラクターの血潮にちゃんと答えた展開だった。
盗み、盗まれる。国家の正当性を示すレガリアを、大悪党の覚悟を決めた未来の王女に手渡す。悪しき混沌を裁き、秩序を回復する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
ルパンの立ち回りは、泥棒という”悪”にしか選べない手段で、紛れもない”善”を獲得するためのものだ。不二子相手に見せた矛盾が、より大きな立場でも今回良く見える。
結局パダールでは顔を合わせることがなかった銭形は、壁越しに不二子と語り合い、彼女の気持ちを受け止める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
不器用に不二子を慰めるのは、彼が”警察官”だからだ。善なる手段で善を為そうとする、世界でも稀有な人種。ちょっとコミカルなとっつぁんの姿が、ルパンをよく照らしていた。
そんなかっこいい大人達(あるいは大人候補)を際だたせるべく、徹底して情けなく薄汚れていた大僧正。悪役として、とても良い立ち回りだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
やっぱゴミクズ以下のゲスが出てこないと、誇り高い大悪党の凄みも目立たんからな! 分かりやすいデミ虫マジ大事!!
そして、まだ底が知れない新世代の悪党たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
国家だけが軍という暴力を保持できた時代から、PMCという経済化された軍隊を金で動かせる時代へ。
冷戦時代の構図を引きずっていたパダールクーデターだが、その決着は国家の存在感、唯一性が薄れた時代を、確かに反映している。
最新鋭のセキュリティを魔人像に隠していた大僧正は、結局アミのテクノロジーに刺された。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
旧弊な国家を改革したいと願っていたドルマは、アミの用意した最新メディアを活用し、望む未来を血で描いた。
テクノロジーをいかに使いこなすかが、キャラクターの高潔と覚悟を試す試金石になってる回だったな
国家も不幸も半分になると、メガ・キャピタリズム時代の理想を語るエンゾ。彼もまた、理想のために小悪を飲み込める大悪党なのか。”ルパン”に対峙するにふさわしい、器量と理想と実力を持っているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
ラスボスお目見えもまた、EP3の仕事の一つだったかな。アミちゃんも目付けられてたし。
ここら辺の因縁が今後、どう発火するか。パダールでのイニシエーションで成長したアミは、どんな活躍をするか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
一つの青春が終わる物語として食べごたえがあり、次に繋がる布石もあり。なかなか良いエピソードだったと思います。やっぱドルマ王女がいいキャラで、彼女に肩入れするアミも目立った。
そしてそんなアミを助け、傷つき、導く不二子とルパンも、主役では描けない陰りと頼もしさを巧く出し、魅力的だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
”ルパンと峰不二子”という永久のミステリに、PART5なりの答え(と、誠実な判断保留、視聴者への謎掛け)を出したのも、味わい深かった。
個人的にはウーゴが好きなキャラでした。自分からは失われてしまった祖国と正義を、新しいカリスマに託すため死にゆく、汚れ役の工作員。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
C組織と個人の矛盾を噛み締め、時代を描く血の絵の具。彼がいたことで、ドルマの顔も深く掘れた感じがします。いいキャラだったな。
というわけで、クーデターという巨大な渦に、色んなキャラが巻き込まれつつスタイルを見せたEP3、良い終わり方をしました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
ここで創った”良いもん見たな…次どうなるかな”という期待感、キャラへの信頼と理解をしっかり生かして、次なるエピソードを楽しみに待ちたいですね。
とその合間に、怪盗探偵の短編が一挟まる、と。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
”ジム・バーネット”は”ルパンの名探偵”で初代が名乗っていた偽名。”ルパン三世”だけでなく、アルセーヌ・ルパンを取り巻く大きな文脈を積極的に取り込むのは、PART5の特徴なのかな。
なかなか面白い題材、どう料理するかは楽しみ。
初代からのネタと言えばアルベール・ダンドレジーだけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
フランスがパダール・クーデターにどういう対応するか、判断を預けられる所まで出世してたな…。
彼の目的は”国を盗む”だけど、大僧正とは違って焦らず、一歩ずつお宝に近づく正道を歩いている。面白い書き方だった。
追記 初恋の話が出来る子供、したくても出来ない大人。アミをメインに置いたことで、不自由さや不格好さ含めた”ルパン三世”はより鮮明になってると思う。
ルパン追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
たくさんの血が流れ、あるいは血を流して無邪気な時代に別れを告げた、二人の少女。彼女たちは決別の儀礼として、己たちの初恋をしっかり言葉に乗せ共有する。
これに対しルパンは、己の初恋が誰に対し、どんなものであるかをけして言葉にできない。預けられもしない。
先週五右衛門が悩んでいた『俺たちはルパンの仲間か?』という問いに、さりげない#友達二人”という言葉を添え、ただただ行動を持って答える姿勢と合わせて、大人はなかなか素直に言葉を使えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
”カッコいい大人”のアイコンである『ルパン三世』なら、なおさらだ。
言葉にゃしないが理解ってくれよ、俺の宝の輝きを。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
そんな狡さと弱さを込めて、ルパンは友情も初恋も明言はしない。しかし何となく感じ取れる材料は、しっかりエピソードの中にある。それがルパンのスタイルなのだ。
少女二人の哀しい恋バナは、そういうモノに照射してとても良かった。