シュタインズゲート ゼロを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
巨大な因果が渦を巻き、薄暗い陰謀が街を覆う。
でもそういうの一端休止!
今週は真夏のッ!! 橋田至恋愛ブートキャンプ~!!!
っていう感じの、橋田家の超時空ファミリーコメディ回。
切れ味鋭いギャグあり、ハートウォーミングな家族愛あり、不穏な伏線あり。
という感じの、もりもりてんこ盛りな明るいお話でした。オカリンは話に絡まんかったけども、鈴羽が抱え込んでいるものの重さ、ダルの決意に由季さんの母性と、キャラの表情をしっかり掘る側道でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
母と娘、感情の爆発とその受容を二役でリニアにこなす田村さんの圧倒的芸達者、堪能させてもらった
喪失とか運命とか陰謀とか、とにかく重たくて薄暗いものが話の中心にあるシュタゲ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
しかし同時に、ラボを中心に描かれる日常的な温もり、笑いの光もとても大事なモノであり、コメディ調の今回はそれを再確認するエピソードだ。
設立者である凶真はいないが、新しい仲間を加えラボも再生しつつある。
『今回は明るいお話ですよ~』というサインを出すためには、しっかり刺さる笑いを作るしかないが、そこは真帆たんのキャリー芸でバッチリ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
カバンだけがコロコロ転がってくる絵面、夏休みの小学生みたいな真帆たん新衣装と、あざとく面白い見せ場であった。ほんと真帆は可愛いな…可愛さの爆弾だな…
他にもラボメンのズレた指導とか、勘違い橋田の大暴走とか、コメディとしてのシュタゲを久々に楽しめた回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
ゼロは一回負けた後の話なんで忘れがちだけども、やっぱこういうなてことない日常の笑劇が楽しいからこそ、それが破壊される痛み、取り返そうという決意も良く見える。
後半のロマンスパートも良かったけども、前半ぼんくら共が雁首揃えて”ラボ”に集まるシーンが好きで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
牧瀬紅莉栖の死と不在によって、僕らが知ってる”ラボ”は今はないんだけども、その引力みたいなものは残っていて、みんなが集まる”場”として機能する。機能する所まで、回復してきている。
そこに真帆が追加され、岡部くんと紅莉栖がいないのが”ゼロの風景”なんだな、とも思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
まゆりが”ラボ”にオカリンを誘う姿、岡部くんがそれを拒絶する表情は、慌ただしいコメディの中でもしっかり描かれている。今はまだ、岡部くんはオカリンに戻れないのだ。戻れそうではあるんだが…。
今回橋田家が果たしたような、決定的な決意と再起。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
物語の主役として、岡部くんは近い将来必ずそこに至る。しかしそれは、今ではないということを、オカリンが話の中心から外れる今回、しっかり告げていた。
物語に於いて『今ではない』ということは『いつか必ず』ということだ。ここら辺の予感は大事
ギャグで流されてたけど、真帆がもってきた催眠学習装置は実質洗脳装置で、それが真帆≒レスキネンの元で開発されたってことは…という伏線も、丁寧に埋められていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
明るい家族笑劇でエピソードを満たしつつ、邪悪な影をひっそり見せる。トーンと情報の管理がうまい。
とはいえ、話の軸はダルと鈴羽と由季さんの、奇妙に捻れた家族愛である。親子であり、兄妹であい、同士でもある不思議な関係。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
遠い未来では銃弾に引き裂かれた母は、今は同じ年格好をして平和に笑っている。尋常な関係ではないけども、そこに確かに愛はある。
今回はダルの決意回と見せておいて、ゼロ鈴羽が自分の問題を解決する回だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
未来の地獄を回避するべく、己を戦士に追い込み、その圧力を岡部くんにも強要する鈴羽。張り詰めた救世主願望は、彼女を日常から浮かび上がらせ、未来の知識は彼女を孤独にする。
そういう重荷を、父母の恋を成就させるドタバタの果てに、母の胸で下ろす。溜め込んでた涙が溢れるシーンは、鈴羽が戦士でしかない自分を捨て、まだ平和な10年代日本を肯定したシーンでもあるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
母の胸は、そういう重荷を受け止めてくれる。たとえ、奇妙な関係に気づいていなくても。
ここら辺はかがり-まゆりの捻れた母子関係にも通じるところで、今後の足場を巧く作っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
人が人を慈しむ関係は、時間跳躍によって因果が捻れても生き残る。泣いている子供を抱き寄せて、しっかり泣かせてあげる優しさ。それは”母”の特権ではないが、おそらく普遍的な強みではある。
戦士ではない自分、コメディを演じられる自分を肯定したことで、鈴羽の精神には柔軟性が生まれ、より靭やかになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
日常から受け取った強さを武器に、運命を弄ぶ邪悪へ挑む。ラストの鈴羽の表情は、物語の向かう先を鮮明に描き、素晴らしかった。
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眼力のある”絵”一枚で、エピソードに漂っていたコメディの心地よさ、日常の温もりをスパッと切る。次からは厳しい非日常、残酷な陰謀にまた立ち向かっていくんだよと、何も言わずに伝えて、ムードを切り替える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
物語のジャンクションが明瞭なのは良いアニメ。切断面がスパッとしとるの。
なぜ鈴羽は戦士になったのか。そのオリジンをちゃんと描いた結果、視聴者としても彼女の張り詰め方に納得がいき、これまでの(そしてこれからの)行動を飲み込めるようになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
自分を守るために、母親が肉ミンチにされました。シンプルながら、強い理由だ。
これを見せることで、鈴羽は迷走から開放され安定する。その姿を見て、視聴者(つうか僕)も自分の中の鈴羽に居場所を与える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
オカリンの抗うつ症状がヒドく、話をかき回す切り込み隊長として使えない分、ゼロは話の推進力を鈴羽の不安定さに頼ってい。ようやく、そこから開放された感じ。
かけがえのない日常の中で、交換される愛情。それが戦士をどう強くするか、なにを救済するかは、かがりとの絡みを見ないと判断できないだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
エピソード一つで盛り上がりを閉じずに、別のエピ、別のキャラにしっかり繋げる。ビルの上のかがりは、期待感を燃やし切る良い引きだった。
母の優しさと同時に、父の強さもしっかり描かれていて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
ラボメンの無責任な盛り上がりに巻き込まれ、純情をズタズタにされたのに、鈴羽の告白はしっかり受け止めて力に変える。信頼に信頼で、愛情に愛情で答える。
やっぱ橋田は、最高にカッコいいクソオタクであった。ほんっと好き。
ダルの恋愛チキンっぷり、鈴羽のトラウマと孤立。恋愛ブートキャンプを通じて色んなモノが癒やされ、改変されていく回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
鈴羽から溢れた涙を母が受け止める様子を、汗まみれのコーヒー2つで魅せる”絵”が強い。2つと見せかけて3つなのも、最高にいい。
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時空改変によって、いろいろ奇妙にパッチワークされているが、橋田家には強い絆が生きている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
それは”家族”という繋がりが無条件に与えてくれるものではなく、時にお笑いも交えて必死に、繋がりを掴み取ろう、守り育もうと頑張っている結果だ。
誰かの思いを真面目に受け止め、それに答える努力。
それがあって初めて、人と人を引きつける引力が生まれる。優しさはなかなか巧く伝わらないけど、それを伝える努力こそが愛なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
橋田家の超時空ファミリーコメディを通じて、作品の根っこにあるものを丁寧に描くエピソードだったと思います。
今回ラボや橋田家に漂っていた、トンチキながら温かい引力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
岡部くんやかがりは現在そこから離れてしまっているけども、いつか必ずそこにたどり着ける。
久々の明るい調子でコメディをやり、世界には絶望だけがあるわけじゃないと見せたことで、そういう希望もしっかり生まれる回でした。
失われてなお、強く刻まれた記憶。破滅の未来で、確かにあった家族の愛は、形を変えて今もある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
冒頭とラスト、二枚の写真で変わったもの、受け継がれているものの中に、鈴羽とダルが守りたいものがしっかり凝集されていて、とても良かったです。
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姿形は変われども、けして消えないものがある。運命の波に弄ばれ、悪意の陰謀に傷ついても、けして奪えぬものがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
無印からずっとそういうモノを追ってきたシュタゲ、まだまだ乗り越えるべき壁は山程あります。でも今回の日常コメディが、それは乗り越えられるとしっかり教えてくれる。
シリアスとシリアスの間で息抜きさせる配置ながら、しっかり作品のエッセンスを交えて描ききる、とても良いエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月25日
今回確認したモノ、橋田家が手に入れた価値を、今度はキャラを変えトーンを変え、このアニメは語り直す。そのときには別の切れ味、面白さを堪能できるはず。楽しみです。