少女☆歌劇 レヴュースタァライトを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
実芭蕉少女は、永遠を夢見る。輝いていた一瞬を、静止したフレームに閉じ込めるために。星の輝きで時を巻き戻して、同じ時間を繰り返す。
みんなが大事な、頼れるみんなの台場なな。そんな彼女と世界の真実を暴く、どんでん返しの第七話。
と、いうわけで。第4話以来レヴューのない回であり、おそらくこれまでの最重要回である。いやー、驚くと同時に得心が行く回であり、これまで埋め込んできた物語的地雷が連鎖爆裂するエピソードでもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
面白いよこのアニメホント!!(今更の激情投下)
タイトルにもなっているとおり、大場ななの秘密を探る話であり、永遠に繰り返す"第99回"の主であるばななちゃんを掘り下げるということは、お話全体を切開することにも繋がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
不可思議なレビューが、実際時を巻き戻す不可思議な力を持っていたこと。この物語が異質な力に支えられていること。
そこら辺も驚きつつ納得したし、ばななちゃんの秘めた闇、その奥に震える脆い純情のアンバランスも、予感があっただけに衝撃でもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
こういう不意打ちがアンフェアに思えず、覗き込めば覗き込むほどに納得を生むのは、良い作りだなぁと思う。
さて、静止したフレームの中に静止画の青春を閉じ込めていると判明したばななちゃん。過去にこんなこと↓を書いたわけだが、静止した永遠の中で微睡みたい人、身近にいたわハッハッハ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
このまま成長すると、ダメな大人になります。スタドラのヘッドもこの系譜だな…。https://t.co/vPxxarcGHf
既に青春期を終えてしまったダメ大人に比べて、ばななちゃんは未だ未熟というか不安定というか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
永遠の先にある世界の果てを見てしまって、既に失った一瞬をもとめるというよりは、先に待つ無限を恐れて時間を止めてしまっている、ただの少女ではある。子供なのだ、色んな意味で。
オーディションに参加する前から、大場ななは『みんなのなな』だった。みんなを支えるだけの足腰を持ち、食事からメンタルから、様々な形で支援をしてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
その超人的な献身は、彼女自身の強さだ。パーティーの食事を準備したのが誰か、カエルの装飾が教えてくれる。
(C)Project Revue Starlight pic.twitter.com/WG08UC4VGa
そんな彼女にとって、第99回公演はみんなが、そして自分が最大限に輝ける舞台であり、望みうる最高だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
彼女が切り取る永遠が、全て静止画であるのは示唆的だ。動きを止め、前進を止めたフレームの中の美。縫い留められた永遠。
(C)Project Revue Starlight pic.twitter.com/5YwZSrv8GF
レヴューの勝者となることで、彼女の望みは現実化してしまう。時間は巻き戻り、定められた退歩と進歩を繰り返す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
それは静止でも永遠でもなく、潮の満ち引きのように行ったり来たりを繰り返している。永遠の中でも、台本はシワクチャになり、アカシアは枯れる。
(C)Project Revue Starlight pic.twitter.com/RtefyHSAmC
ななが作り出す永遠の舞台の中でも、時間は勝手に流れていく。彼女自身が望む永遠が実は、既に内破の可能性を秘めていること…ばなな自身が、再演ではなく二度目の初演を何処かで望んでいることを、このアニメは冷酷に切り取っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
ループに紛れ込んひかりちゃんは、ななのシャドウかもしれない。
過去の話しを思い返しても、少女たちは一年前の舞台を慈しみつつ、先に進むことを望んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
30位ドベで滑り込んだ双葉は、自分が主役になり香子と並べる可能性に賭けた。
非才でも純那ちゃんは自分星を探し、まひるは自分の中の光を見つけ直す。華恋だって、後ろに下がる自分を追い越したい。
ばななが後ろに下がり、瞳を隠して自分の作り出した舞台を見守ることは、そんな彼女たちの野心を縛り付けることでもある。『守ってあげる』といいつつ、ひとりひとりの星を食いつぶしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
多分『みんなのなな』は、そんな事はわかっている。それでも、正しい方向に進めないときだってある。
そういうモジャモジャしたものを劇的空間でぶっ壊すために、レヴューがあるわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
日常ののっぺりした空間では生まれない、感情と真実が凝縮した瞬間。
そこで勝ち続けている以上、ななの中にも光がある。その眩しさから、ななは目をそらしていく。
携帯電話が目隠しとして、"みんな"の願いと"わたし"の真実から目をそらしているななの状況を、巧く見せている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
裏方に引いた彼女は、実は舞台全体をコントロールする支配者でもある。しかし、そんな彼女が一番、世界から遠い。
(C)Project Revue Starlight pic.twitter.com/BwrspjlRTH
光が実は自分から出ていて、しかしその眩しさから目を背けてしまう。これはひかりの嫉妬のレヴューと同じ構図であり、華恋という反射物がないのは異なっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
99組、似通った部分を多く持ちつつ、それぞれ個別の闇と光を抱えたものたち。https://t.co/S47qsXiIN3
なながたどり着いた勝利の果ては、バナナ色の光で埋め尽くされている。それは彼女が遠いと感じている光で、同時に彼女自身から溢れる光だ。(なにしろ、真矢様に勝ってんだから執念と実力はある。ループ経験者だし)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
でも、ななはそれを見ない。見れない。
(C)Project Revue Starlight pic.twitter.com/oeuZghWF5w
日常パートが、ななの影響下にあるある種の舞台だと認識すると、特定のアングルが多用されること、その風景にリアリティが薄いことにも、納得がいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
やはり現実と舞台のねじれた二層構造は、計画的に演出されていたのだろう。https://t.co/pMeCFqihWk
ななの静止した檻に、誰が切り込んでいくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
主役たる華恋は、静止した永遠を否定する。4つにまとまっていたグループはその瞬間、ルームメイトごとに分かれる。斜めの境界線がある種の歪みを備え、なかなか面白い構図だ。https://t.co/pMeCFqihWk pic.twitter.com/7PeMAnMZvv
僕は純那ちゃんが好きなので、お話の一番最初に敗者となった彼女が、でっかい仕事をしてくれると嬉しいな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
ルームメイトである彼女の前では、ななは目を覆い隠すカメラ(永遠製造装置)を放して、生身の瞳で向き合っているのよね…。
(C)Project Revue Starlight pic.twitter.com/S9yGuAarA2
ちと脱線するが、純那ちゃんは『メガネを外すと本心が見える』という眼鏡キャラの記号論から半歩ズレて、『メガネを掛けると本来の自分になる』ってキャラなのよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
スタァライトは萌記号を大量に投入しつつ、そこにクリティカルなねじれを入れるのが巧い。
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新入生を前に、気合の入った自分を見せようとする時も『新しいメガネ』をかけているわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
陳腐化した眼鏡キャラ・メガネっ子の記号を背負わせつつ、自分らしくひねった味わいで演出し、キャラに人間味を背負わせる語り口は、やっぱ好きである。
僕の純那ちゃんLOVEはさておき、傷つくことで新たに立ち上がる不死鳥の決意を、ななのループは踏みつける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
結末の変わらない物語では、端役は端役、負けは負けのままだ。トップも敗北の危機を感じ取れず、約束された玉座に立ち続ける。
上も下も、そんなこと望んでいないのは、これまでを見れば判る。
しかしなな単独では、もはやそこから降りることはできないことが、今回丁寧に描写される。奥深い闇の底で、深海魚のように世界を睨む姿は、笑顔だからこそ恐ろしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
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一歩引いたところから、永遠製造装置で静止した世界を切り取るなな。そこに踏み込める特権は、やっぱり天堂真矢にある…のだが、真矢では勝てない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
トップに居るからこその誇りと驕り、プライドが足を払った形なのかなぁ…。
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真矢様のストイックで公平な、敗者のプライドすら視野に入れた"正しさ"は、ななの支配する舞台では幕に遮断され、届かない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
そこに一刀投げ込んだひかりちゃんが、なにかするのか。そも、ひかりちゃんはなぜイレギュラーとして迷い込んだのか。これは彼女のエピソードを待つ必要があろう。
クラゲのかくれんぼの時も、まひるの時もそうだったけども、ひかりちゃんは望まれぬ闖入者として場を乱しつつ、結果としてそのカオスがいい方向に向く傾向がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
なな相手にもそういう光明を、無神経にビカビカ光らして欲しいもんだが…あの笑顔の仮面は手強そうだなぁ…レヴューに賭けるしかねぇ。
小物に目を向けると、カエルが目立つ。純那に真心込めてお出ししたおうどんにも、カエルのお箸。望み通りの静止した永遠を飾り立てた机にも、大量のカエル。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
ひかりの海月、まひるのジャガイモのように、大事なフェティッシュになるのかしら。
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二刀流と合わせて、裏方と役者両方を演じる両生類、ということか。過去に"かえる"傾向をダジャレ混じりに描いているのか。未来を目指すものの願いを、分厚い面の皮で受け流す無表情っぷりか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
色々読めるが、それは今後の描写の中で精度を上げていくだろう。
名前繋がりで考えると、大場は多様性を意味する”diversity”か、逸脱や相違を意味する"divergence"か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
永遠を求めつつ、様々な角度からほころぶ彼女の檻を見ていると、両方であり両方でない気もする。まぁ、身勝手なファンの妄想なんだけどもさ。
妄想を続けると、可憐はばななが押し付ける停滞に抗う"current"…流転する現在そのものなのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
役者と舞台を整えても、同じ舞台は二度とない。自動的に変転してしまう今を、決死の覚悟で肯定し、自分星を掴み取る。その中で、傷も痛みも意味をもってくる。
ここまでの物語で、そういうぶっとい価値観を重ねて見せてきた以上、可憐が代表する『変わりたい』という叫びが、ななの永遠を切り崩す足場にもなるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
なにしろ、大場なな自身がそういう変化を、永遠と同じくらい求め続けているのだから。
異常な状態を生み出してる張本人なのに、善性も弱さも優しさも力強く感じ取れ、恐れると同時に好きになってしまう運びに仕上げたのは、本当に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
黄色いフレームで切り取られた檻を、ななちゃんは楽園という。でも、その評定は何処か苦しそうだ。
皆が去っていった寮を、がらんと眺めるなな。そのバロックなパースペクティブが、空疎でおぞましく…でもそこに、純那ちゃんはいるのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
ラスボスの巨大な質量を描きつつ、それが実は等身大の少女の震えを伴っていることを、丁寧に見せる。
(C)Project Revue Starlight pic.twitter.com/9QXgBs1cwt
とても面白いエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
第4話と同じく、レヴューをしないことでレヴューの意味を顕にしている回なんだけども、魂をぶつけ合って『アタシ再生産』に至るのは、今後の後半戦なのよね。面白い作りだなぁ。https://t.co/r5lbHkj0KA
あ、キリンが正しく悪魔的に、誘惑し詭弁を弄し、少女たちの願いを結構誠実にすくい上げるキャラだとわかったのも良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
アイツラ、演劇少女のエゴと願いがバチバチいうこのアニメに前のめりな視聴者…つまり僕らの良くない鏡でもあんだな。安全圏から地獄を見守りたいという。
キリンの用意したレヴューの構造を乗り越えることで、演劇少女の生が躍動する形になるなら、これはある種のメタフィクション演劇ともなり、新たな二層構造が現出・破綻するわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
さてはてどうなるか、非常に楽しみである。面白けりゃなんでもいいんだな、あのキリン…。
作品の真実、舞台の秘密。その裏に潜む一人の少女の、身勝手で誠実な祈りと呪い。お話を駆動させている大きな装置がみえて、しかしまだまだ見えないものがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
レヴュースターライト後半戦、確実に面白くなるだろう折り返しでした。さーてどうなるかな…来週のひかりちゃん回楽しみだ。
じっさいひかりちゃんが介入することで、華恋はオーディションに参戦し、純那ちゃんもまひるちゃんも負の意味、自分星を見つけてるんだよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
イレギュラーなドミノが、繰り返す戦いの意味を変えているなあ、やっぱひかりちゃんは大事なキャラよ。来週ほんま大事になりそう、マジ楽しみ。
追記 歌うことが少女の特権なら、歌わないカエルであるバナナは少女を超越した誰かなのか、はたまた未熟なオタマジャクシか。マジ面白くなってきたぞ。
スタァライト追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
EDテーマがインストだったのも、『私を星に届かせて』という願いは、既に星を手にしているばななには関係ないから歌わない、ということなのだろう。
星を掴んでも、その輝きが己のものだと思えないなら、舞台は永遠に続く。歌う特権を略奪できるのは、一体誰か。
追記 まぁ種で増える原種や栽培種もあるけどさ、バナナ。一般的には徒花よね……なお、花言葉は『風格』
スタァライト追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月25日
栽培種のバナナは可食部分を増やすために品種改良を繰り返した結果、三倍体で増える種無しの植物となった。
掛け合わせても変化の可能性が極端に少ない生態を持つこの植物が、静止した永遠を求める大場ななに重ねられてるのには、何らか意味を見てしまう。さてはて、どうなるか。